異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
侵入者たち
あれ? 俺はたしか、料理を作り終えて、少しだけ休憩したはず……。
いつの間にか、見慣れた白い部屋にいることに驚く。
『突然ごめんなさい、カケルくん』
「イリゼ様……また淋しくなってしまったんですか?」
『そうそう……って、違うわよ!? いえ、違わないけど違うの!!』
なるほど……淋しいけれど、呼んだ理由は他にあると。
とりあえず可愛い女神様を抱きしめながら話を聞く。
『実は、邪神にも関係があることなんだけど……』
やはり、それか。イリゼ様が俺を呼ぶとしたら、その可能性が高いと思っていた。
『侵入者がいるわ。しかも凶悪なのが複数』
とても穏やかとは言えない発言に、気が引き締まる。
「侵入者……? 外部の世界から……という意味ですか?」
『さすがカケルくん。その通りよ。邪神が作った内部世界だけど、そのままだといずれリソース不足で世界そのものが枯渇してしまうものなの。だから、邪神は見つからないようにこっそりと外部への穴を開けて……いわば空気穴みたいなものだと考えてくれればいいわ……定期的にリソースを外部から補給している。その穴を通じてどうやら厄介な存在が地上に逃げ出したみたいなのよ』
なんでも、その穴を発見次第潰しているらしいんだけど、いたちごっこで、なかなか埒が明かないそうだ。
それで、邪神側も、見つかるとトカゲのしっぽ切りみたいに切断してしまうので、その際に穴から侵入してきた異物が逃げ出してしまったというわけだ。
「それで、その侵入者っていうのは、何者なんです?」
『他の管理者の世界から流れ着いた悪意かしら……』
「それって、別の神様の世界ってことですよね? その神様の責任では?」
『それはそうなんだけど、神の中にも、邪神化してしまうケースが稀にあって、逮捕される最後のあがきで、暴発することがあるの。その時に流れ出たものが、回収しきれずに今回のように漂着するケースもあるのよ……』
神様も邪神化することがあるのか……たしかに人間くさい神様多いしな……。
『それで、今回のようなケースでは、漂着した、あるいは発見した神が処理することになっているから、カケルくん、ヨロシクね? 頼りにしてるわ♡』
いや、ハートマーク付けられても困るんですが……。
「ちなみに、俺で勝てますか? そいつらに……」
『そうね……相性もあるけど、勝てると思うわよ。普通に。私も協力するし』
それを聞いて安心した。ただでさえ、邪神のことがあるのに、これ以上強力な敵は正直要らない。
「それで……そいつらはどこに……ってもしかして?」
『ふふっ、さすがはカケルくん。そうよ、グリモワール帝国。そこが彼らの逃げ込んだ場所。悪意は、悪意のある場所に惹かれてゆくものなのよ』
ちっ、やはりか。最近の派手な動きはちょっと異常だと思っていたんだよな。
『それで、逃げ込んだ指名手配犯だけど、正体は判明しているわ……』
いったいどんなヤバい奴らなんだろう。でも、少しでも情報が多いのは正直助かる。
『まずは下着泥棒とのぞき常習犯と満員電車痴漢の常習犯ね……』
これは……危険……なのか? あと、痴漢の奴は、電車限定なのか!? だったら安全じゃないのか? この世界電車無いし。
『カケルくん……甘く見ては駄目よ? 奴は『どこでも電車内フィールド』というユニークスキルをもっているわ。つまり、どこでも電車内になるってわけ』
それは……危険だ。とても野放しには出来ない。まさか他の二人も普通でない力を持っているのか?
『そうね、下着泥棒の『下着スティール』を防ぐ手段はないわ。のぞき魔の『女性限定透視』も凶悪なスキルよ?』
くっ、揃いも揃って羨ましいスキル持ちやがって!! 絶対に許さねえっ!!
『そして幹部格の男はカケルくんの敵よ!『豊乳化』のスキルを使って、まな板撲滅の野望を叶えようとしている』
なんだって!? そんなの許せるわけないだろう?
『そして、一番最悪なのが、ボス格。重度の魔物女フェチで、世界征服をして、すべての人間の魔物化、ただしモフモフを除くを狙っているのよ!』
最悪だな。このクズがっ!?
「イリゼ様、俺がひとり残らず始末してきます」
『頼もしいわ、カケルくん。奴らの肉体はとっくに滅びているから、遠慮なく魂を刈り取ってちょうだい。彼らのユニークスキルは、カケルくんにあげるわ』
……マジですか? 俄然やる気が爆上げなんですけど!?
『ふふっ、やる気が出たところで、私の相手もお願いできるかしら?』
「もちろんです。今の俺は危険ですよ?」
『きゃあ……私、食べられちゃうの?』
潤んだ瞳で上目遣いされたらたまらない。イリゼ様、いただきます!!
***
『…………あの、なぜ私はお二人がイチャイチャしているところを見せつけられているのでしょうか?』
呼び出されたキリハさんがご立腹だ。
『キリハ、悪いんだけど、カケルくんと一緒に侵入者を排除してきて』
『ふえっ!? 侵入者って、あのエロ犯罪者どもですよね? 嫌です、下着取られたり、裸見られたり、痴漢されたらどうするんですか!?』
たしかに精神的なダメージは計り知れない。キリハさんが大人しくやられるとは思えないけどね。
『ふふっ、大丈夫よ、全部カケルくんが瞬殺してくれるから』
『……それなら、私は必要ないのでは?』
『ふーん。せっかく二人でお出かけできる言い訳作ってあげたのに……』
『行きます!! 行かせてください、お願いします』
『ねえ……カケル』
「はい、なんですかキリハさん?」
燃えるような赤い瞳が炎のように揺らめいている。
『べ、別に、あんたと一緒にデートしたいから来たわけじゃないんだからね! イリゼ様の命令だから仕方なく……』
「そうですか。俺はキリハさんとデート出来て嬉しいですよ? デートじゃなくて任務ですけどね?」
『ふえっ!? ば、バーカ、生意気言わないの!!』
赤い顔を見せまいと後ろを向くキリハさん。
『ほら、さっさと、みんなに報告してきなさいよ。勝手に居なくなったら心配するわよ?』
「わかりました。ちょっと、行ってきますね」
***
とりあえず、婚約者たちがお茶会をしている場所へ転移する。
「――――というわけで、ちょっとグリモワール帝国に行ってくる。女性には危険な相手だから、みんなは留守番だな」
「なるほど、でも、御主兄様から隠し事の匂いがします……ヒルデガルド?」
『そうですね。「侵入者どもをぶちのめして、エロスキルゲットだぜ。んふふ……」だそうです』
「「「…………」」」
ヒルデガルドさん? 台無しだよ!?
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