異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
カケルの極秘特典映像集
「あら……その制服、そう……貴女が『世界一の受付嬢』リストルテね?」
「はじめまして、貴女が『叡智』フランソワーズね?」
しばし見つめあった後、ふふふ、と笑いあう二人。互いに鑑定の使い手である以上、本来自己紹介など不要ではある。
ただし、フランソワーズの方がレベルが高いため、リストルテが確認できるのは、名前などの基本情報のみとなるが。
「うれしいわ。あのリストルテに知ってもらえているなんて」
「……貴女を知らないギルド関係者なんていないと思いますけどね?」
「ふふっ、そうかもしれないわね……」
少し笑顔に影が差すフランソワーズ。
「ごめんなさい……アストレアは……その、大変だったんですよね……」
リストルテが知っているのは、あくまで数字としての被害状況であって、フランソワーズとは立場が違う。自分の周りの人々の10人のうち7人がいなくなる……そんな状況想像できるわけがないではないか。
「いいえ、こちらこそごめんなさい。ふふっ、今は落ち込んでいる暇なんてないぐらい忙しいのよ? 正直、元の規模に回復するには、数十年単位の年月がかかりそうですけれどね」
にこりと微笑むフランソワーズは本当に美しい。思わず見惚れてしまうリストルテ。
こんな受付嬢がいるのなら、もし自分が冒険者なら通ってしまうだろうなあとリストルテは内心苦笑いする。
「そんなにお忙しいのに、こちらに来てしまって大丈夫なんですか?」
口に出した後、いやみに聞こえてしまったかと、すぐに後悔するリストルテだが、フランソワーズは、気にしたそぶりも見せずに、かすかに頬を紅潮させる。
「実は……働き詰めだった私を気遣ってギルドマスターがお休みを下さったんです。それで……ですね……私の命の恩人にどうしても御礼が言いたくて……」
さっきまでとは別人のように、急に照れ始めるフランソワーズ。あまりの可愛らしさに内心悶えるリストルテだが、なんとか自制に成功する。
「……もしかして、その恩人って……?」
「はい……英雄カケルさまです」
実際にフランソワーズを助けたのは、カケル本人ではないのだが、魔人帝国を打ち破り、捜索を指揮したのは間違いない。それに、彼女にとって大切な人々が多くカケルに助けられたのもまた事実。
さらには、冒険者ギルドの再建から、街の復興まで、信じられないほどの貢献を現在進行形でしているのだ。もっと言えば、アストレアという国、そして王家そのものが、カケルによって救われたといっても過言ではない。
フランソワーズが命の恩人だと言ったのは、決して大げさなものではなく本心からのものであるのだ。
「フランソワーズは、英雄さまにお会いしたことは?」
そうたずねながらも、内心無いだろうなと半ば確信しているリストルテ。こんな美女と出会って、あの英雄がお嫁さんにしないなど有り得ないというのが理由だ。
カケルに対してかなり失礼なイメージを持っているリストルテだが、第三者からみれば、出会った美女を片っ端からお嫁さんにしているようにしか見えないのもまた事実。これはいたしかたないだろう。
「いいえ……でも、私には見えていたのです。英雄カケルさまの戦いも、そのお心も……」
「それって……『叡智の泉』の力で?」
彼女が『叡智』と呼ばれる理由であるユニークスキル『叡智の泉』は、内面に存在する泉に見たいものが映像として映し出されるという恐ろしいものだ。
有効範囲はもちろんあるものの、例えば王都セントレアの中であれば、逃げも隠れもできない。それゆえ、彼女はギルドの受付嬢でありながらも、犯罪者の捜査などにも大いに貢献していた。
「ええ……カケルさまはそれはもう格好良くて……完全に一目ぼれしてしまいました……」
もはや単なる恋する乙女だが、リストルテにとっても他人事ではない。
「そ、そうなの? やっぱりそうなんだ……」
話では嫌というほど聞いてはいるが、実際に見たわけではない。フランソワーズほどの女性が一目ぼれするのであれば、相当格好良いのは間違いなさそうだと納得するリストルテ。
もっとも、見た目で惚れるほど、リストルテのプライドは安くはない。あくまで人柄よね。と自身に言い聞かせるのだが、言い聞かせている時点で手遅れなのは明白だ。本人はまったく気付いていないけれども。
「ふふっ、どうやらリストルテもカケルさまにご執心みたいね? ねえ、私たちお友達にならない?」
フランソワーズもいざ屋敷にやってきたのはいいものの、どうして良いかわからなくて途方に暮れていたのだ。自分と同じような立場のリストルテに強い共感を覚えたのも無理はない。
「ふえっ!? も、もちろん、喜んで! 私も一人で困っていたところなの!」
当然のように申し出を快諾するリストルテ。この短いやり取りの中で、すっかり彼女の魅力にまいってしまっていたのだ。
「そうだ! もし良かったら、カケルさまのお姿見ます?」
「え? そんなことできるの?」
願ってもない提案に興味津々のリストルテ。
「ふふっ、ただし、ちょっと恥ずかしいから、続きは私の部屋でしましょう」
二人は、フランソワーズに用意された客室へと移動する。
「……じゃあ、リストルテ、服を全部脱いでちょうだい」
そういって服を脱ぎだすフランソワーズ。
「ふえっ!? い、いや、私はそういう趣味は……」
「ち、違います。全裸で抱き合わないと、映像が共有できないのです」
慌てて後ずさるリストルテに赤い顔でジト目するフランソワーズ。
「そ、そうなんだ? たしかに恥ずかしいわね……それで、どんな映像があるの?」
服を脱ぎながらすでに映像のことで頭がいっぱいのリストルテ。
「えっと……魔人たちと戦っているカケルさま、戦いの後、涙するカケルさま、ソフィアさまを相手に眠り姫を演ずるカケルさま、お姉さまたちとイチャイチャするカケルさま……」
「ん? お姉さまって?」
「あ、ユスティティア殿下とセレスティーナ殿下。私の従姉です」
「……あの、もしかしてフランソワーズって王族なの?」
「はい、一応公爵家の令嬢ですよ」
いまさら呼び捨てしてしまったと慌てるが、もう友人なのだから気にしないと割り切るリストルテ。
「あと……ですね、え、エッチなのも……あります……よ?」
真っ赤な顔で爆弾発言をするフランソワーズ。実は結構むっつりタイプなのか? 恐るべきはスキルの力。リストルテまでおかしな気分になってきてしまう。
裸で抱き合いながらそんな映像を見て大丈夫なのか?
心配しながらも、見ること自体は決定しているリストルテであった。
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