異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

モフキャット討伐


「……も、モフラ……なのか?」 

 近づいてくる2メートル強のモフモフが、そのザラザラした舌で頬を舐める。

 ああ……この痛気持ちい感じ、間違いない。モフラは決まって私の頬を舐めてくるんだった。懐かしさで胸の中が温かいもので満たされる。

『にゃあ……』

 そう心配すんな。悲しくて泣いているわけじゃあないんだ。

 止まらない涙を舐め取るのに忙しいモフラをきゅっと抱きしめる。


 10年経っても、お互い大きくなっても、お前はちっとも変わらないんだな。危険を顧みずに助けに来てくれたんだな。

『うにゃん……ごろごろ……』

 首根っこをカリカリしてやると、心地良さそうに喉を鳴らす。


「お待たせモフラ。今度こそ……一緒に暮らそうぜ」


*** 


「じゃあセシリアさん、モフラ、牛獣人たちのことは頼みますね!」

「ああ、任せろ。カケルっちも頑張って搾乳師見つけて来いよな」
『うにゃっ!!』

 一旦牛獣人たちは、屋敷に送り届けて、後の案内はセシリアさんに任せることにした。まあアイシャたちもいるから大丈夫だろう。

 すでに彼らのための職場と寝床は用意済みだが、細かい要望などがあれば、戻ってから対応しようと思っている。少しでも快適な環境こそが、最高の牛乳を生み出すのだから。

 それにしても、モフラは本当に素晴らしい子だった。事情を話したら、猫パンチだけで許してくれたんだよな。悪気はなかったとはいえ、騙していたわけだから、もっと嫌われるかと心配していたんだけど。

 おまけに、なんとモフラを追放した極悪モフキャット一党の住処まで教えてもらった。ふふふ。 


「というわけで、俺と美琴は極悪モフキャットを倒しに行くから、クロエたちは先に王都へ行って搾乳師の件、調べておいてくれないか?」

 当然みんなからジト目の集中砲火は免れない。

「御主兄様、お一人につき1匹だけですからね!! いいですね!!」

 クロエよ、なぜ特売セール品みたいな意地悪するんだい?

 くっ、先手を打たれてしまった。仕方あるまい。許してくれただけでよしとしなければ。

「貴方様、ボクもいきたいな!!」

 こっそりウインクをするサラ。お前……モフキャット枠を増やすために……ありがとう。


***


「これはまた……」

 積み上げられた獣人たちの骨。

 魔物は瘴気や魔力を吸収して成長するから、基本的には食べる必要はないはずなんだが、俺たちだって経験値や素材のために魔物を倒しまくっているんだから、悪くなんて言えない。

 だから悪だとはまったく思わないが、近隣の町や村に無視できない被害が出ているそうだし、モフラによれば、遊びで獣人を殺したりオモチャにしている魔物を放置することは出来ない。

 そう、俺はこの国の公爵であり、モフモフ大臣でもあるのだから、民の命を守らなければならないのだ。


「というわけで、いくぞ美琴、サラ」

「でも先輩、あんな可愛いモフモフしている魔物倒せるの?」
「ふふっ、貴方様だったら、くっ、俺には斬れない……とかいいそう」

 くっ、たしかに不安はある。特にあの可愛らしさの塊のようなモフラと触れ合ったばかりなのだ。そう簡単に割り切れるのだろうか? しかも俺や美琴は、生粋のモフラー。厳しい戦いになるだろう。

「もう……だったら私が毛を全部焼いてあげようか? それならモフモフじゃなくなるし?」
「……サラ」
「ん? な~に?」
「名案だ。それならば行けそうな気がしてきた」

「ふふん。でしょう? だったら感謝を形にして欲しいかな?」

 悪戯っぽく口角を上げるサラ。ふふっ、わかっているさ。触手だな?

「異空間だね先輩。ふふふ、サラ、覚悟はいいかね?」
「ふえっ!? 美琴もくるつもり?」

 悪い笑顔を浮かべる美琴に苦笑いのサラ。

「もちのろんだよ。ぐふふふ」

 たしかに美琴だけのけものには出来ないが、その笑い方はこわいぞ?

「よし、あいにくモフキャットたちも不在みたいだし、ちょっと休憩がてら異空間へ行くか」


「これでもボクは高貴なエルフの王女……このような辱め……くっ、殺せ!」
「だ、駄目……勇者なのに、魔物に負けちゃう……お、堕ちちゃうううう!?」

『ぬうう……この火の大精霊たるこの我が、醜悪な触手に……くはあああ!?』
『お、お兄様……だ、ダメです……触手でそんな悪戯してはダメええええええ!?』

 はい……楽しかったです。みんなめちゃくちゃノリノリでね。まったくどこでそんなノリ覚えてきたのやら。え? ヨツバのラノベ? 何やってんの!! グッジョブ!! ぜひ読ませてもらいます。 
 
 
 さて、気を取り直して、モフキャット討伐だ。お? ちょうど戻ってきたな。


『ぎゃはははは!! 大漁大量!! またオモチャが手に入ったぜ』

 獣人の子どもたちをさらってきた3匹のモフキャットたち。子どもたちは幸いまだ息はあるようだ。


「頼むぞ……サラ」
「ふふん、任せて」

『うわあああ!? な、なんだ? け、毛が……あたいの美しい毛並みがああああ!?』

 サラの精霊火魔法によって、モフキャットの毛が燃えてなくなる。

「いまだ、『ソウルセイバー!!』」

 痛みを感じさせず、命のみを刈り取る死神の奥義が炸裂する。
 これで討伐完了だ。



『はっ!? あたいは一体……そうか……あんたがご主人さまってわけだね?』

 俺をその黄色い猫目で舐めまわすように見つめるのは、新たに召喚獣となったモフキャットのモフル、フワリ、ナデルの3匹。当然全員全裸の美少女だ。

「これからよろしくな。ほら、みんなこれを着ろ」
『わかったにゃふう!!』

 モフを生かすために、ふわりとした巫女服を用意した。

「とはいえ、初めてだから着方がわからないだろ? 俺が手取り足取り……え? 大丈夫? ……そうか」

 今さらだが、なぜ召喚獣たちは服の着方を知っているんだ? 

『そりゃあ、カケルくんの魂と繋がっているんだから当然だね』

 そうか……ありがとうリエル。

 でもさ、1匹ぐらい空気読んでくれてもいいと思うんだ……。


 無事念願のモフキャットを手に入れたが、どこか腑に落ちないカケルであった。  


  

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