異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
賑やかに夜は更けて
「ふふっ、眠れないのですか? アーシェさま」
寝室で私が寝付くまで添い寝をしてくれていたシャルロットが、優しく髪を撫でてくれる。
「……シャル姉さま。今日はなんだか色んなことが有りすぎて」
一旦寝ることを諦めて、上半身をゆっくりと起こす。正直頭が爆発しそうで、とても眠れる状態ではない。
「そんなことだろうと思いまして、ちゃんと手は打ってあります」
シャルロットがニヤリと笑みを浮かべる。こういう笑い方をするときは、たいてい良からぬことを考えていることが多いと、長年の付き合いで嫌というほど知っている。
とても嫌な予感がするが、その手とやらを確認しないわけにもいかないからな。
「あの……それはどういう……?」
「英雄殿をお呼びしました」
「なんだ、驚かすな、そうか英雄殿を……って、なんだって!?」
もはや寝ている場合ではないと、慌てて飛び起きる。っていうか、もし私が熟睡していたらどうするつもりだったんだと内心ツッコミを入れざるを得ない。まあ、切れ者のシャルロットのことだから、その時は自分が相手をするつもりだったんだろうけど。
「ふふっ、そんなに慌てなくても良いではないですか、もう婚約者なんですし」
「い、いや、だって、心の準備とか、体の準備とか色々あってだな……って、そもそも余計寝れないではないか!!」
「いいえ、私の調査によると、もれなくぐっすり眠れるそうです。それこそ天にも昇るような心地よい眠りだとか……」
「あわわわわわ……こ、怖い、怖いぞシャル姉さま……」
少なくとも、普通ではないことぐらい私にもわかる。どうしよう、心臓が早鐘のようだ。
「大丈夫ですよ、ではおやすみなさい、ゆっくりお楽しみくださいね」
「……待て、シャル姉さま、お前も一緒にいてもらう」
藁をもつかむ気持ちで、がっしり掴んで離さない、もう死んでも離さないと今決めた。
「ひ、ひぃい……は、離してください、アーシェさま、お願い離して……」
慌てるシャル姉さまを見て、やっぱり貴女も怖いんじゃないかと呆れ返る。私だけ怖い思いはまっぴらだからな!
「お待たせ、アーシェ、シャルロット」
「「で、出たああああああああ!?」」
「……俺はおばけじゃないぞ」
***
――――アヴァロン王宮、浮遊庭園内 ワイバーン厩舎――――
「まだ寝ていなかったのか、エレイン」
「カケル殿……この子たちの世話は私の仕事だからな、今日はたくさん飛んでもらったから……」
王女なのに、こんなに手を傷だらけにして……。
「綺麗だな」
彼女の両手を掴んで抱きしめる。
「ふえっ!? い、いや、汚いぞ」
「そんなことないよエレイン、俺には輝いて見える。お前の手も、その真っ直ぐな心も」
「あわわ、そんなことなくて、今だって、カケル殿と、その、妄想してるから……」
可哀想なぐらい真っ赤になるエレイン。お前のその素直なところも最高に愛してる。
「ふふっ、そんなこと言ったら、俺なんて真っ黒だぞ? 今だって、エレインで妄想しまくっているからな」
「ひぅ!? わ、わわ私で妄想!?」
「ああ、もしよかったら、これから妄想を本当にしたいんだけど、どうかな?」
「…………是非、お願いします」
『きゅるるるるる!』
「……なんか、ドーラも! って言ってるけど?」
「……何も聞こえません、聞いてません! さあ、行こう、カケル殿!」
***
その日、カルラとフレアの二人は、揃って憧れの英雄の婚約者になれたことを街の高級店で大いに祝い、深夜の帰宅となってしまっていた。
「ほら、カルラ、あんた飲みすぎじゃないの?」
ふにゃふにゃのカルラに肩を貸すフレア。
「ふへへ、良いんでしゅよお、フレア……今日はおめでたい日なんでしゅからあ……」
「まったく、何で私までこんな遅くまで付き合わされることになってんのよ! 寝室に黒髪の君が来てるかもしれないでしょ!」
「ダイジョブですってええ、どうせ私たちまでは回ってこないですからあ……」
「ぐっ、確かにそうかもしれないけど、万一ってこともあるのよ?」
カルラをベッドに降ろしながら反論するフレア。
「でもお、やっぱりいないじゃないですか?」
「馬鹿ね、それでも準備はしておくものよ」
ミヅハからもらった特製下着を身に着けるフレア。完全に勝負下着だ。
「うわあ……それ何? すっごい可愛い! それに綺麗……ね、触っていい?」
「別にいいけど……うはあ!? ちょっと、どこ触ってんのよ!?」
「すごい……すべすべで気持ち良い……ねえ、その下着、私にも貸してよ!」
「駄目です! 欲しいなら、頼んであげるから、我慢しなさい」
「いやっ! 貸してくれないなら……うりうり……!」
「はう!? ち、ちょっと、や、やめなさいってばあ……」
「…………」
「……あの、黒髪の君、いつからここに?」
「フレアが、勝負下着を触られているあたりからだな……一応ノックもしたし、声もかけたんだけどね。俺に遠慮しないで続きをどうぞ」
「「いやああああああああああああ!?」」
「あわわわ……え、英雄しゃま……」
「大丈夫だカルラ、お前の下着もちゃんと持ってきたから」
「ふえっ!? わ、私の下着を!? え、英雄さまが!?」
「そうだ、さあ今付けてやるから服を脱いで……」
「ひえええええ!?」
「よし、これで完了、かわいいぞカルラ!」
「ふえええん! は、恥ずかしかったでしゅ……でも、サイズピッタリで気持ちがいい……」
「よし、じゃあ脱がすぞ」
「ええええええ!? 今、付けたばかりじゃないですかああ!?」
「ククク、カルラ、貴女面白過ぎ……」
「フレア、お前も今脱がしてやるからな?」
「ふえっ!? あ、あの、まだ心の準備が……いやあああ!?」
こうして、キャメロニアの夜は、賑やかに更けてゆくのであった。
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