異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
怒ってなんていませんよ?
『お兄様、フレアさま、コーヒー2つお持ちいたしました』
「おお、ミヅハ、ありがとう。最初からお前に頼めば良かったよ」
『ふふっ、そうですよ、お兄様はモグタンに何を期待しているのです?』
いつの間にか現れた、これまたとんでもない美少女……いや、美の化身と言った方が正確でしょうか。容赦無く私の女としての自信が削られてゆきます。
どうやら黒髪の君の妹君のようですが、こんなに綺麗な人と比べたら、他の女性など、どんぐ実の背比べ、誤差の範囲なのでしょうね。
なるほど、勇者さまが、外見は関係ないとおっしゃる意味が分かりました。失礼ながら、決して美女とは言えない、あのカルラですら婚約者になれたのですからね。
後は可愛いと感じてもらうか、既成事実で押し通すだけなんですけど、どちらも意外に難しいのですよね。マーリンみたいに空間魔法が使えれば既成事実も作りやすいのですが……
「ありがとうございます、ミヅハさま」
妹君の白魚のような指に見惚れながら、コーヒーを受け取る。
これが本物のコーヒー! 何て素晴らしい香りでしょう。先程の泥水とは比べものになりませんね。まあ、そもそも比べたらいけないのかもしれないですけれど。
それに、この不思議なデザートの数々、甘い香りが鼻腔をくすぐってたまりません! ああ……ヨダレが!? 危ないところでした。
『フレアさま、お兄様特製のプリンです。どうぞ召し上がれ』
これはプリンと言うのですね。これは危険です、もう見た目からしてSランクの可愛いさです。しかも手作りなんて素敵すぎます。
はわわわ……一口食べたら止まりません。時折はさむコーヒーの苦味がプリンと良く合っていて幸せ過ぎます。まるで私と黒髪の君のようです、ふふっ。
困りました、プリンとコーヒーの味を知ってしまったら元には戻れません。何としても婚約者にならなければ!
「あ、あの、ところでマーリンは何処に?」
「マーリンなら、隣の部屋で生き別れの妹と会ってるよ」
生き別れの妹? そうですか……良かった……天涯孤独だと言っていたけど、家族が生きていたんですね……
はっ!? 感傷に浸っている場合ではないです。ということは、いつここに戻って来てもおかしくないということ、時間がありません。
やむを得ません、強引に押し通すしかないですね!
「黒髪の君、私、もうお嫁さんになれません。殿方に頭を撫でられてしまいましたから……」
苦しい、はっきり言ってめちゃくちゃ無理筋。そんなことあるはずないけど、勢いで押し通す! これで駄目なら惜しみなくメロンを投入するしかない。
「分かった、フレアをお嫁さんにする。嫌じゃなければだけど?」
おおおオオオ!? まさかのOK? え? 良いの? えへへ……
「は、はい、喜んで!!」
「でも、このあたりでは気を付けないといけないな、頭を撫でると大変なことになるみたいだし。ホワイティアでも同じこと言われたんだよ」
げっ!? ま、マズイです、嘘がバレる前に既成事実を作らなければ! っていうか、他にもこんな無理筋通す女性がいるんですね……ははは、ごめんなさい黒髪の君。
『ところで、フレアさま、そんな立派なものをお持ちなら、肩が凝るのではありませんか?』
ミヅハさまの言葉にドキッとする。確かに慢性的な肩凝りに悩まされていますけれど。見てわかるものなのでしょうか?
『ふふっ、実はそんなフレアさまにぴったりの商品があるのですが……』
自信たっぷりに胸を張るミヅハさま。なんでしょうか、き、気になりますね。それに……今気づいたのですが、もしかしなくても、こんな可愛いミヅハさまが私の妹になるのですよね? うはっ、たまりません。滑り込みで婚約者になった私を褒めてあげたいです。
『……お兄様もきっとお喜びになること請け合いです』
そっと耳元でささやかれて顔が赤くなる。喜ぶって……そういう意味ですよね?
「……買います。買わせてくださいミヅハさま!」
『ふふっ、今回はお試しですから、プレゼントいたします。フレアお姉さま』
ウインクする可愛すぎる妹にハートを撃ち抜かれてしまう。お、お姉さま……えへへ。
『フレアお姉さまが、着替えますので、お兄様は後ろを向いていてくださいね?』
「へ? 見ちゃ駄目なのか?」
『……駄目です』
えへへ、私の着替えが見たいなんて……ふふっ、黒髪の君ったらエッチなんですから。でも恥ずかしいから駄目です……今は。
「うわあ……すごい、ぜんっぜん重さを感じないです。優しく包み込まれているみたいで……激しく動いてもずれませんし……」
ミヅハさまが作っている下着は、信じられないぐらい快適で、可愛くて、一瞬で恋に落ちてしまいました。今度売り出すみたいですが、大人気間違いなしです。確実に売れることでしょう。
『うわあ……とてもお似合いですよフレアお姉さま』
ミヅハさまが瞳をキラキラさせて褒めてくれるので、恥ずかしいやら嬉しいやら。
『お兄様もご覧になってみてください』
「ん? おおおおおっ!? す、素晴らしい。ワンダフル、ファンタスティックアメージングだ」
よ、よくわかりませんが、本当にミヅハさまの言う通りとてもお喜びになって……うふふ。
『ふふふ、お兄様ったらそんなにはしゃいで……フレアお姉さまも困ってらっしゃいますよ』
「あ、ご、ごめんなフレア、困らせるつもりはなかったんだ」
「ふふっ、そんなことありませんよ? よろしければ、もっと近くで、それに……少しぐらいなら触ってみても……い、いえ、何でもないです……」
「え? いいのか? やったあ!!」
普段のクールな彼も良いですけど、少年のような今の彼も可愛らしくて素敵です。
「ち、ちょっと待ってください、お触りは駄目ですよ」
「……だよな」
はうっ!? そんな悲しそうな顔しないでください。キュンキュンしちゃいますから。
「……もう、しょうがないですね、少しだけですからね?」
「フレアあああああ!」
『ガチャ』
「ただいま!」
「戻りました」
マーリンともう一人……彼女が生き別れになっていた妹さんね。
「あ、すまない、フレア、すっかり忘れてしまって……」
「……いいですよマーリン、私も無事婚約者になれましたので」
「そ、そうか、それは良かった。でも……な、なんか怒ってないか?」
ふふふ、気にしてませんよ、別に良いところで邪魔しやがってなんて……思って無いですからね?
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