異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

おまじないって何だっけ?


 べステラによると、彼女が寝ていた広大な土地は、長い年月をかけてベヒーモスの大地力が蓄積しているので、とんでもなく肥沃な土地――何を植えても育ちまくる――――になっているのだとか。なるほど栄養満点の土なんだね。

 歴史的にどちらの領土にも属していないということだったので、今後、両国の争いの火種と成らないように、一旦、俺が預かることにした。

 まあ、土地の主であったべステラの主が俺なのだから、この際、普通に俺の土地で良いと思うんだけどな。

 将来的には、ホワイティアとキャメロニア両国民が自由に行き来出来る交流の場所にしようと考えている。作物の実験場として、サクラの農場を作るのもいいかもしれない。


「ところで、ハクア、そのバイキン族っていうのは何者なんだ? 海賊みたいな奴等って認識で良いのか?」
「何かばっちい感じの連中だよね、先輩」
「それな、すごく汚い感じするよな」
 勝手なイメージで言いたい放題言っているが、悪い奴らっぽいので、別に構わないだろう。まあ乗りかかった船だし、ついでにそいつらも片付けてしまうつもりだ。


「セレスティーナさま、英雄殿と勇者様は、何を言っているのでしょうか?」
 話の意図がわからないハクアが、異世界検定1級のセレスティーナに助けを求める。
「うむ、いわゆる異世界あるあるだな。確か、バイキンというのは異世界語で悪さをする見えない悪霊のようなものだったような記憶がある。おおっ、そういえば、屋敷で食事の前にうがい手洗いをする必要性を皆に説明している時に、使われていたな。おそらく、清潔にしているとバイキンは近寄ってこないのだろう」
「……なるほど、しかし目に見えないとは……バイキンの恐ろしさがよくわかりました。残念ながらバイキン族とは欠片も関係が無さそうですけれど」

 すまないハクア、質問しておいて、話が横道にそれたな。


「英雄殿、バイキン族は海を渡ってくる蛮族で、食糧と女性を狙って攫ってゆくのです。やってくるのは男ばかりで、言葉もまったく通じません」
 
 ふむ、オークやゴブリンみたいな連中だな。相当被害も出ているそうだし、ハクアも辛そうだ。早く何とかしてやらないと。
 
「我が国にもたまにやって来ることがあるが、身体が大きく、頑丈なので、非常に厄介な連中だ。幸い奴等の縄張りは北方のようだから、キャメロニアとしては、そこまで深刻ではないがな」

 エレインも、あまり好意的とは言えない表情である。まあ聞いた限り、存在自体が女の敵のようなものだからな。

「ですが、ここしばらくは様子が一変しているのです。いつもなら略奪したらさっさと引き上げるのに、今は近くの島に拠点を作ったようで、日に日に規模が拡大されているようなのです。我々も、いつ本格的に攻めてきても対処できるように、ホワイティアの主力を海岸沿いに駐留させてはいますが、なにぶん海岸線は長く、戦線を広げると、どうしても手薄になってしまいますから……」

 なるほどな、受け身に回る分、最初の被害はどうしても防げないか。実に厄介だ、それなら――――

「わかったよ、ハクア。先手必勝、俺がちょっと奴らの拠点を見つけてぶっ潰してくるよ。誰か一緒に行くか?」

「カケル殿、私はもちろん行きます。くくっ、やっと暴れられる……血が滾ります」
 うん、知ってた。ミヤビは最初から数に入れてたよ。でも怖いからニタニタ笑うの止めた方がいいよ!?
「旦那さま、私も行こう。そのような鬼畜どもは根こそぎ成敗してくれる」
 うん、知ってた。セレスティーナは正義感が強いからな。でも、念のため、ヒモ甲冑は止めた方がいいよ!? 背後の防御力ゼロだし。
「先輩、私も行くよ。女性をさらうなんて言語道断! たとえ神が許しても、この勇者美琴が許さない」
 うん、知ってた。さらわれた女性がいるかもしれないからな。でも、助ける時、どさくさに紛れて変なことするつもりなら、俺も混ぜてくれていいんだぞ?


「よし、じゃあこのメンバーで行こうか。悪いがクロエとヒルデガルドはノスタルジアを頼む」
『かしこまりました』
「わかりました。お任せください」

「やっぱり私は足手まといですよね……」
 淋しそうに俯くノスタルジアの頭をそっと撫でる。

「ノスタルジアは足手まといなんかじゃない、俺はお前に血生臭い物を見せたくないだけなんだよ」
 見なくて済むならそれに越したことはないからな。
「……はい、わかりました。どうかお気をつけて。おまじない……させてくださいね」
 真っ赤な顔でおまじないのキスをしてくれるノスタルジア。

 すごーく嬉しいんだけど、これはまずいパターンだ。

「……御主兄様、おまじないしてください」
 おかしいぞクロエ。おまじないはお前がしてくれるんじゃないのか? と疑問に思いつつもクロエにおまじないのキスをする。なんのおまじないかは不明だ。
『カケルさま、私にもおまじないを授けてください』
 うん、ヒルデガルドさん、おまじないをなんだと思っているんだね? まあ、授けるけどさ。
「あ、あの……私もおまじないを体験してみたいんだが……」
 エレイン、無料おまじない体験じゃないんだぞ? 仕方がない、特別だからな?
「カケルさま、私はがっつり唇におまじない、して欲しいです!」
 カルラ、おまじないイコールキスだと思ってないか? まあ実際そうなんだけどな。 
『主殿、私にもおまじない! おまじない!』
 ドーラ、お前キャラ変わってないか? お前の主殿じゃないし、せめて人化してから出直してね!?


「ふふっ、英雄殿はみんなから愛されているのですね……」
「違うぞハクア、旦那さまは、世界から愛されているのだ。ただし、一番愛しているのはこの私だが」
「わ、私も頑張ります!」

 カケルへの愛をのろけるセレスティーナと負けじと気合を入れるハクア。そして、これから起こる戦闘を妄想してひとり恍惚の表情を浮かべるミヤビであった。

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