異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

聖剣と王位継承の儀


「いやあ、楽しかったですね、束の間のバカンス」

 とても楽しそうなベルトナー。遠目にチラッと見ただけのはずだが……さすが前向きな男。そういうところ嫌いじゃないぞ。

 彼女ができるように協力してやりたいが、俺に出来ることは、なるべく傍に居ないことと、給料と休みをたくさん用意してやることぐらいだ。まあ頑張ってくれ。


「悪いが、明日はキャメロニア王国に行くからな? 心の準備をしておいてくれ」
「は!? ど、どうやって? ああ、転移ですね? あまり無茶しないでくださいよ? 実家に帰れなくなると困りますから」

 失礼な。俺を一体何だと思っているんだね? 

 だが、数多の強力な魔物を使役して、すでにハーレム状態なのに見境なく婚約者増やしまくっている男だからな……うん、どう思われても仕方ない。


「大丈夫だ。穏便に外交交渉するだけだから。ちなみに、キャメロニアは激しい王位継承争いが起きているんだよな?」

 ベルトナーくんの話ではそんな感じだったはずだ。

「はい、第1王子のアーサー殿下と第2王子のルーザー殿下が争ってる感じですかね。でも詳しいことは知らないんで、ガウェインさまたちに聞いた方がいいですよ?」

 どうでもいいが……第2王子の負け犬感が凄い件。

「なるほど、じゃあちょっとガウェインさまたちから話を聞いてくるわ」
「うえっ!? 今から行くの?」
「何事も即断即決だぞ? 手遅れになったら困るだろ」


「ヒルデガルド!」
『はい、控えております』
「うわっ!? いつの間に?」

 忍者のように俺の背後に控える専用メイド長に腰を抜かすベルトナーくん。

「旦那様、私も行った方が良いでしょ?」
「助かるよユスティティア」

 だが、二人ともなんでまだ水着のままなんだ? ベルトナーくんが鼻血を出しているじゃないか。くっ、期せずしてご褒美を与えることになるとは。


 ガウェインたちから聴取するために、ヒルデガルドとユスティティアを伴いダンジョンの街ゴールドラッシュへ転移する。


***


『お疲れ様です、王さま』

 ゴールドラッシュに待機させているのは、ハーピィクイーンのカザハヤ。ハーピィには珍しい亜麻色の髪のおっとり系美女だ。
 
「ありがとうカザハヤ」
『良いんですよ、あら、凝ってるみたいだから揉みほぐしますね』 

 ただし、おっとりだが、どスケベだ。どこが凝ってるとは言わないが、少なくとも、人前で揉みほぐす場所ではない。

「ち、ちょっと、ずるいわよカザハヤ!」
『カケルさまの凝りをほぐすのは専用メイド長の仕事です。控えなさい』

 慌てて、カザハヤを制止しようとする二人だが――――

『あらあら、お二人とも凝りが酷いです。揉みほぐしますね』 

「ち、ちょっと、私は大丈夫……うはあ!?」
『ひうっ!? や、やめなさいカザハヤ!』

 カザハヤに揉まれて悶絶する羽目になってしまう。

 おっとりだが、美少女もイケるカザハヤ。あの肩揉みはクセになるからな。


「カザハヤ、疲れただろう? 少し休憩するか? 美味しいトロピカルジュースもあるしな」
『……ハイ♡』

 嬉しそうに抱きついてくるカザハヤ。こらこら、ドサクサ紛れにどこを揉んでいるんだね?

 過酷な聴取の前に、小休止を決定する。
 
 ヒルデガルドとユスティティアも転移で疲れているだろうし、カザハヤもどことなく、そこはかとなくやつれているように見えなくもない。家族の健康管理は何より優先すべきことだからな。


***


 思ったより休憩時間が長くなってしまったが構わない。蓄積した疲労が怖いことは、先日身に染みて痛感したばかりだから。


「ただいま、ベルトナーくん」
「あ、お疲れ様……ってなんか艶々してません? 本当に聴取してたんですか?」

 失礼な。ちゃんと聴取したぞ。ヒルデガルドが!! 5秒間だけだけど。

「ああ、色々と収穫があった。どうやら第2王子のルーザーは、あまり評判が良くないようだな?」
「そうですね……国民の人気も圧倒的に第1王子のアーサーさまの方がありますね」

 ふーん……筆頭クラスの騎士たちだけでなく、国民の人気も高いのか……

「うーん、でも変じゃないか? 長男で人気も高いなら、なんでそんなに成果を欲しているんだ?」
「それは……本人に聞いてみて下さいよ」

 そりゃそうだ。どうせ明日分かることだしな。

「あ……でも、もしかしたら、継承の儀に関係あるのかも……」
「継承の儀?」

 そういえば、ガウェインたちもそんなことを言っていたな。言ってないけど、全部ヒルデガルドの透視だけど。

「キャメロニアの王位継承は聖剣に認められる必要があるんですよ。なんか格好良くないですか?」

 ほほう、いかにもファンタジーっぽいな。素晴らしい。

「もし、誰も聖剣に認められなかったらどうなるんだ?」
「その場合は、聖杯を探しだした人間が王位に就くことになっています」

「……テンプレだな」
「……ですね」

「ベルトナーくん、まさか聖剣の名前って『エクスカリバー』じゃないよな?」

 それだと美琴の聖剣と被ってしまう。一大事だ。

「大丈夫です。聖剣の名は『エロスカリバー』ですから!」

 良かったセーフ。だが、1文字違うだけなのに、何だこの異常なほどのパチモノ感は……

「ベルトナーくん……何か卑猥な名前だな」
「……ですね」


 なんだか、不安になってきたキャメロニア行き。

 カケルは、これから開催される晩餐会へと意識を切り替えるのであった。


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