異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

黒幕の正体


 リリアを連れて戻ると、みんなが俺をジト目でにらんでくる。

 ち、違うんだ!? 俺が着せたわけじゃない。最初から着ていたんだ!


「先輩……いくらなんでも鬼畜すぎ」

 くっ、美琴のやつ、鑑定で分かってるくせに遊びやがって。

「くっ、旦那様、そんなにヒモアーマーが……わかりました。私が代わりにそれを着よう」

 マジですか!? いやそうじゃない。嫌いではないけど、違うんだセレスティーナ。

「うわーん、私のお兄ちゃんがどんどん壊れてゆくよおおおおお!?」

 うわああああああ!? アリサ、違うんだ、信じてくれ。

 
 みんなから総攻撃を受ける俺を見かねてリリアが助け舟を出してくれる。

「あの……義兄さまは、私を助けてくれただけですよ?」

 リリアの義兄さま発言に当然妹たちが黙っているはずもなく……

「は? 御主兄様……また……妹が増えたのですか?」

 がくがくぶるぶる震えながらクロエが崩れ落ちる。  

「お兄ちゃん……お嫁さんならともかく、妹なら返してきて!」
『お兄様……ミヅハは悲しゅうございます……』

 いや、ミヅハはともかく、アリサとクロエにはちゃんと誤解を解かないとな。

「みんな、リリアは、リリスの妹だぞ」

「へ? 私の……妹? た、たしかに良く似てるなとは思ってたけど……」
「も、もしかして、貴女がリリスお姉さま?」

「ええ、私がリリスよ」

「お、お姉さまああああ!」

 リリスに抱きついて嗚咽するリリア。

「み、みんなどこかおかしくて……でもどうにもならなくて……逃げることも出来なかったの……ううぅ……」
「リリア……ごめんね、助けてあげられなくてごめんね……」

 妹を抱きしめ頭を撫でるリリス。

「うわーん、お姉さまあああ」


 リリアが生まれた時には、おそらくこの国はおかしくなっていたのだろう。

 聖女スキルのおかげで正気を保つことが出来たようだが、そのことが、彼女にとってはかえって辛かっただろうな。  


『カケルさま、ただいま戻りました』

 王宮の情報収集に向かったヒルデガルドが戻って来る。

「ありがとう、ヒルデガルド」

『勿体無いお言葉。主犯格は、宰相のゲスマルクと騎士団長のゲスティニーだと判明いたしました』
「さすがはヒルデガルドだな、もう主犯格を特定したのか!?」
『いえ、造作もないことです。特に、ゲスマルクは危険です。世界中から観光客を集めて、自らの糧にしているようなのですが……』 

「糧って、まさか喰ってるのか?」
『いえ、どうやら力を吸収していると言った方が近いかと』

 眷族になったことでヒルデガルドの透視能力は格段にバワーアップしている。建物の外からでも、こうやって情報丸裸だからね。ヤバいね。

「キリハさん、これってまさか……」
『そうよ。深海の吸収スキルね。ただし、劣化版の』
「劣化版?」
『んふふ、これ以上は……ねぇ、キスして?』

 なるほど、情報が欲しいならキスで満足させろということか。

 これは本気を出さざるを得ない。禁じ手だが、平行動作も併用する。これはイリゼ様ですら腰砕けで立てなくなるほどの威力だからな。

 キリハさんには申し訳ないけど、みんなの安心安全がかかっているんだ。全部話してくれるまで許しませんからね!


『し、喋りましゅ……何でも喋るからもう一回……』


 キリハさんによれば、劣化版吸収は、ステータスの最大1%を吸収して、自分のものに出来るらしい。劣化版とはいえ、恐ろしいスキルだ。

 スキルは吸収出来ない、同じ相手からは一回だけしか吸収出来ないなど、制約はあるものの、上手くやれば、理論上ほぼ無制限に強くなれる。

 なるほど、それでサキュバスたちを利用して人を集めていたのか……納得だが、マインドコントロールする必要はあったのか?

「状況は分かった。俺とキリハさんで王宮に乗り込むから、みんなはお茶しててくれ」


 王宮近くのカフェでみんなと別れ、キリハさんと王宮に潜入する。

「うわあ……これは酷いな……」

 王宮内は、邪神の因子の巣窟と化していた。

『王宮ごと結界を張ったから逃げられる心配はないわよ?』

 俺のお嫁さんが頼もしくて惚れる。

「キリハさん、邪神の因子って、どうすれば一掃出来るんですかね?」

 もし、こんなのが世界中にばら撒かれているなら、と思うとたまらない気持ちになる。

『そうね、完全に排除するなら、大元の邪神を倒すしかないけど、ばら撒かれた因子は少ないし、ある程度成長すれば目立つから、都度潰していけば良いんじゃない? そのために、アンタや勇者がいるんだから』

 なるほど、少ないのか。ちょっと安心したけど、邪神の因子が脅威なごとには変わらない。

 やはり世界中で監視網を構築していくしかないだろうな。


***


(あれがゲスマルクか……)

 気配を完全に消して、王宮の一室にいる、敵を観察する。

 吸収スキルのおかげで、いわゆる典型的なステータスお化けにはなっているけど、吸収とマインドコントロール以外に危険なスキルは持っていない。戦闘には向かない、裏で暗躍する黒幕タイプだな。

 問題は、奴の正体だが、


【名 前】 深海 幻 (男)通称:ゲスマルク
【種 族】 人族 (抜けがら)
【年 齢】 800
【身 分】 アトランティア王国宰相

【レベル】 99
【体 力】 784235
【魔 力】 135952
【攻撃力】 298423
【耐久力】 281445
【素早さ】 118423
【知 力】 835958
【幸 運】 50

【スキル】 吸収<劣化> マインドコントロール<劣化> 鑑定<劣化> 異世界言語<劣化> アイテムボックス<劣化> 限界突破<劣化>


 マジかよ……こいつ本物の深海幻の抜けがらってことか。っていうか、抜けがらってなんだよ!?

(……邪神になる際に、無理やり神になろうとしたせいで、一部が分離してしまったみたいね)

 キリハさんが興味深そうにつぶやく。

 
 ということは、一部とはいえ、本物であることは間違いなさそうだ。

 このチャンス絶対に逃すものか。デスサイズを握る手に自然と力が入る。

『はううううっ、主殿、も、もう少し優しく……』

 ……ごめんなさい……っていうか、やりにくいんですけど!?


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