異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

成人していれば見た目は関係ないという異世界が最高な件 


「ううう……リリス殿下ああああああ!? よくぞ、よくぞお戻りに……」

 先ほどまでとは打って変わって、感激に打ち震える3人の衛兵デジレ、ジャン、ニコラ。

 見目麗しい女性のサキュバスと違って、男のサキュバスは、子どもなら間違いなく泣くであろう、厳つい悪魔のような容姿の者が多い。

 そんな暑苦しい男共が号泣している絵面は、控えめに言っても感動半減。婚約者たちも苦笑いするしかない。


 早速彼らに話を聞いたのだが、どうやらマインドコントロールされていたという自覚は全く無かったらしい。それが本当なら恐ろしい話だ。

 アトランティアの内部が、どこまで浸食されているのか見当もつかないが、衛兵にまで影響が及んでいることを考えると、楽観的な考えは捨てたほうが良いかもしれない。


「うっ……御主兄様、臭いです……」

 え!? いや、俺おならしてないよ? する時はちゃんと転移して人気のないところで……

「……強烈な悪意の匂いです。王宮の方に一番強い悪意がありますが、国全体の匂いも酷い状態です」

 ああ、そっちな。クロエが青い顔をして吐き気を堪えているから、余程酷い匂いなのだろう。 


「……となると、すでに国全体に食い込んでいると考えた方がよさそうだな」
「……カケル、みんなは大丈夫かしら?」

 不安げなリリスを抱きしめて安心させる。最近更に若返っているから、妹にしか見えないけど、オールラウンダーの俺の守備範囲は広い。安心して欲しい。


「とりあえず、少し情報を集めた方が良さそうだな。力押しでも行けるかもしれないが、リスクはなるべく減らしたいし、何と言っても深海が絡んでいる可能性があるなら尚更だ」

 いくらキリハさんがいるとはいえ、できる限りの備えはしておくべきだろう。


「!? 御主兄様、助けを求めている人がいます」

 クロエが突然叫ぶ。

 眷族による感覚共有で、助けを求めている匂いの場所は俺にも分かる。分かるが、頭部接触は欠かせない。いや、欠かさない。クロエを悲しませるわけにはいかない。

「ちょっと、助けてくる」

 すぐに転移で現場に向かうカケル。


「あーあ、また増えちゃうね、これ」
「仕方ないですね。御主兄様ですから」
『カケルさまは世界を救うお方ですから今更です』
「旦那様に救われてしまったら手の施しようが無い」

 呆れるというより、もはや諦観の境地にある、美琴とクロエ、ヒルデガルド、そしてセレスティーナ。

「……なるほど、いつもこんな感じで嫁が増えるのね」
「すいません。私には理解不能です」
「お兄ちゃんのバカ……」
「まずいですね。もっとアピールしないと埋もれてしまいます」
「うふふ、やっぱりカケルさんは最高ね」

 普段は事後報告ばかり聞いている非戦闘員メンバー。リリス、リノ、アリサ、ミレイヌ、カミラ。それぞれの思いは様々だ。

 それでも、全員の思いは一つ。

 今度は一体どんな娘なんだろうという好奇心であった。


***


 現場に駆けつけると、見た目10歳ぐらいの少女が、チンピラ風の男たちに囲まれていた。

(チンピラは大したことないが、影の中に潜んでいる奴がいるな……暗殺者か?)

 気配を消して接近するが、少女を鑑定して驚く。


【名 前】 リリア=アトランティア(女)
【種 族】 魔族サキュバス
【年 齢】 17
【その他】 アトランティア王国第2王女 聖女

 ば、馬鹿な……俺と同じ歳だと!? だ、大丈夫だ。見た目2桁なら守備範囲。すでに見た目小学生のリーヴァで慣れている。

 勝手に婚約者認定するなとか言われそうだが、どうせ超高確率でそうなるんだから、心の準備をしておく必要があるんだ。

 リリスに妹がいたとか、聖女スキル持ちだとか、ツッコミ所満載だけど、今は助けるのが先決。

 チンピラは一瞬で倒して、リリアに触れようとしているロリコン野郎を叩きのめす。

 念のために言っておくが、俺はロリコンではない。オールラウンダーだ。


「……大丈夫か、リリア?」

 可哀想に。余程怖かったんだろうな。せっかくの可愛い顔が涙でぐしゃぐしゃだ。
 
 俺の意識がリリアに向いたからチャンスだと思ったのだろう。
 
 影の中に潜んでいた暗殺者が攻撃してきたが、正直避けるまでもない。でも――――

 影に潜れるとか格好良いので、配下に加えることにした。貴重なユニークスキル持ちだしな。

「ば、馬鹿な……」

 刃物があっさり折れて動揺する暗殺者。

 そもそも物理無効で刃物は効かないし、毒が塗ってあるみたいだけど、俺には効かないよ? 使わないだけで毒生成もできるし。

「……暗殺者か。相手を見てから仕掛けるべきだったな」

 一応格好つけてから、瞬殺する。リリアに見せる訳にはいかないから、もちろん認識阻害を使うけどね。

 暗殺者の魂はスケッチブックに吸収して、契約完了だ。召喚暗殺者とか胸が熱い。

 これから人身売買組織と戦うのに丁度良かったよ。女の子たちにやらせるのは可哀想だと思ってたし。せっかくだから、影の部隊でも作ってみてもいいかもしれないな。



「怖かっただろ? もう大丈夫だぞ。俺の名はカケル。異世界の英雄で、お前の姉、リリスの婚約者だ。よろしくリリア」

 頬を染めて上目遣いで俺を見るリリアはとても可愛いのだが、ちょっと待って欲しい。

(なんてことだ……これが本場のヒモアーマーだと言うのか……) 

 これは危険だ。いろんな意味で。

 いや、成人しているから問題無いのは分かっているが、せっかく格好良く助けたのに、ヒモアーマーをガン見したら台無しではないか?

 とまあ、並みの英雄ならそう思うだろうが、俺には神級スキル『平行動作』がある。主にエロ方面にしか使っていない最強のスキルが。さらには瞬間記憶も備えた俺に死角は存在しない。


 つまり、リリアと会話しながら、ヒモアーマーを鑑賞するなど朝飯前なのだよ。ハッハッハ。

 
 誤解の無いように言っておくと、今後の衣装作製の為であって他意はない。本当だよ?

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