異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

ソニア=ミッドガルド 


 王宮に戻った俺たちは、盛大に歓迎されることとなった。なにせ3年間生死不明だった王太子を無事連れて帰ったのだから当然だろう。

 世界樹の異変については、正直に話すと色々と面倒な部分もあったし、すでに解決済みのことでもあるので適当にぼやかして説明した。事前にブレイヴ義兄上とは擦り合わせしていたので、特に疑問に持たれることが無かったのは幸いだった。


 王家の面々には、久しぶりにブレイヴ義兄上と家族水入らずで話をしてもらって、俺は宰相のワイズマンさんと条約の件を詰めなければならない。このユグドラシルに来てから色々ありすぎたが、それこそが本来の目的なのだから。


「それでは、ワイズマンさんにはこの通信用の魔道具をお貸ししますので、各国との連絡や打ち合わせはそれで行って下さい」

 通信用魔道具はまるでスマホのような形っていうかまんまスマホだ。某有名企業の商品デザインそのままである。

 使い方をレクチャーしながら実際にアルカリーゼのベルゼ宰相と繋いで話をしてみせる。

「こ、これが通信用の魔道具……よろしいのでしょうか? こんな貴重な品をお借りして……」

 大昔、刹那が作った通信用魔道具はこの時代すでにロストテクノロジーのアーティファクトだ。宰相が恐縮するのもわかる。聡明なワイズマンさんは、実際に遠く離れた国と通話出来たことで、その利便性と意義を十分理解したようだ。

「気にしないで下さい。この大陸に平和な状況を作り出すことが俺の目的ですから。そのためなら協力は惜しみませんよ」

 別にこの世界から危険を無くそうなんて思っていないし、そもそも不可能だ。勝手な話だが、俺が必要ないと思えば潰すし、大切なものを傷つけられれば、徹底的に反撃するけどな。まあ、魔道具に関しては、刹那がいればいくらでも生み出せるんだけど、それは言わない方が良いだろう。

 刹那に作ってもらった通信用魔道具は、各国に1個、宰相クラスの人に貸し与えている。やはり事前に調整しないと、せっかく集まったとしても良い条約は結べないからな。今回に限らず、危機的な状況が訪れた時にもきっと役立つだろう。


「でも……くれぐれも保管には気を付けてくださいね? 一応位置情報もわかるし、盗難防止機能もついてますけど、下手に分解しようとすると大爆発を起こして街ごと消し飛びますから」
「ひ、ひいぃいいい!? いや……怖すぎですよ!? 私にはとても無理です」

 真っ青な顔をして震えるワイズマンさん。たしかにそんなヤバいブツ持ってたら、普通はおちおち寝てもいられないよな。

「ふふっ、冗談ですよ。でも街は吹き飛びませんが、分解しようとすると爆発するのは本当です。決して変な気は起こさないようにお願いします」

 しないとは思うし、仮にしても再現は無理だと思うけど、一応釘は刺しておく必要はある。

 壊れた人形のように何度も首肯するワイズマンさんの姿を見るとちょっと脅しすぎたかもとは思うけどね。

 そして、これであとはリリスのアトランティアを残すのみとなった。

 明日、アトランティアに通信用魔道具を渡せば、全ての国に通信用魔道具が揃う。

 そうなれば、後は会場を何処にするか、日程をどうするかの調整だけだ。とりあえず俺の仕事は終わる。

 移動に関しては、俺が運ぶから一瞬で済むしな。

 とりあえず、現状最優先でやるべきことを整理するなら、明日アトランティアに行った後は、エメロードラグーンをキャメロニアから取り戻し、そして世界に蔓延る人身売買組織を殲滅する。あとは邪神への対抗手段として、チェンジスキル持ちのイソネくんの発見保護することくらいかな。

 うーん、そこまでいけば、少しは自分たちのことに目が向けられるようになるかもしれない。


***


 宰相のワイズマンさんと別れて自身に割り当てられた部屋へと向かう。晩餐会前にやるべきことはたくさんあるのだ。

 それにしても、王宮とは言っても、世界樹の中にあるから、木の温もりが感じられて心地良い。壁も天井もルシア先生の体の一部だと思うとなんか変な感じがするけれども。

 

『主様……恥ずかしいですが、眷族化よろしくお願いします』

 部屋に戻ると、なぜか真っ赤な顔のソニアが浴衣姿で待っていた。当然水布製の浴衣なので2度おいしいことは言うまでもない。

 なんか、いつの間にか布団も敷かれているけど、一体誰が持ってきたんだろう? まあ勇者か美琴のどちらかだろうけど。

 うん、たしかにやるべきことがたくさんあると言ったが、これじゃない。

 ……けどこれでいいです。いや……これがいいです、俺がやるべきことはこれしかないような気がしてきた。つまり使命。



『主様……この時を待ちわびておりました。アリーセ殿下には申し訳なく思いますが、どうか……今だけは私を見てください』

 ソニアの磁器のように白い肌が桜色に上気して黄金色の瞳が潤んでいる。

「ああ、俺の目にはソニア、お前しか映っていない。見えるだろ?」

 俺の瞳を覗き込み、くすくす笑うソニアをそっと抱きしめる。

『絶望の中でお会いしたときから、この命を救われた時から、ずっとこうして欲しかったのです。お慕い申し上げております……主様あるじさま
「ソニア……可愛い俺の小さな魔人。優しくて正義感が強くて高潔で……そんなお前が大好きで、大切で……愛おしいよ」
『……嬉しいです……主様』

 ……時空魔法100倍発動

『あああああ!? すごいです主様……主様あああああああ!?』


 無事眷族化を終えて、すっかりイチャイチャモードの俺とソニア。
 
「ソニア……そういえば、5つのお願いを聞いてくれると言ってたよな?」
『はい……主様。その……あんまりエッチなのは……今回だけですからね?』

「ありがとうソニア。じゃあ一つ目だけど――――――」
『ふえっ!? そ、それは……わ、わかりました』
「ソニア、じゃあ二つ目は――――――」
『えええっ!? そ、そんな……恥ずかしいですぅ……』
「ソニア、じゃあ三つ目は――――――」
『主様……本当にやるんですか、これ?』

 さすがのソニアも三つ目のお願いはハードルが高いらしく……ジト目で見てくる。

「そうか……無理しなくていいからな。これは俺のわがままなんだし、ただの趣味だ」
『……分かりました。そんな淋しそうな顔されたら断れません。全身全霊でやらせていただきます!』

「うおおおおおおおお!? すごいぞソニア! 想像以上だ!」

 これが魔人の秘められた力だというのか……恐ろしい。俺の設定した高すぎるハードルを楽々超えてきやがった……

「……ソニア、ありがとう。俺は明日死んだとしても悔いはないよ……」
『ふふっ、死なれては困りますが、主様にこんな喜んでいただけるならいつでも……ところで、主様にお願いが……』

 急にもじもじし始めるソニア。なんだい? 世界が半分ほしいならくれてやろう。

『あの……新しい服が欲しいのです……』
「新しい服? わかった。今作ってやるから、好きな色とデザインを―――――」

『ち、違います!? あの、匂い付きじゃないと駄目なんです……主様の』

 顔を真っ赤にして絞り出すように告白するソニア。

「あれ? 前に俺のローブあげたよな?」
『……だいぶ匂いが薄くなってしまって……毎晩使っているので……あれがないと眠れないのです』

 ぐはああ!? か、可愛すぎるだろう? できれば俺が毎晩添い寝してあげれば済む話だが、現状それは難しい。

「わかった。俺の使用済み衣類をセットでソニアにやろう」

 自分で言っていてどうかとも思うが、ソニアのキラキラした晴れやかな顔を見たら、そんなことどうでも良くなってしまった。


『……ありがとうございます、主様。あ、ローブにもまた匂い付けておいてくださいね?』

 もちろんだとも。俺の可愛い魔人のお願いだ。断るという選択肢はないですよ? じゃあ、交換で俺にもソニアの使用済み―――――え? それは駄目? そうですか……
  
 

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