異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
世界樹 樹粉症対策
もしかして……またやってしまったのか?
謁見の間に居並ぶ人々の目がすでに正気ではないことに気付く。
そして同時に、男からも意味深な熱視線を集めていることにも気付き、恐怖に震える。
「貴方様……これは樹粉症です。この時期は、世界樹から樹粉が飛散して、樹粉を吸い込んだエルフはいわゆる発情状態になります。症状が比較的軽い私ですらきついのですから、これは不味いことに……くぅぅ……」
シルフィの目はトロンと熱を帯び、身体をすりつけてくる。そんなエロい彼女は貴重で大歓迎なのだが、そんなことを言っている場合ではなさそうだ。
「貴方様……もう我慢出来ないよ……早くうぅぅ……」
サラもいつも以上に積極的に絡んでくる。くっ、早くというのはどっちだろうか? ごめんなさい、早く対処しろってことだよね、わかった任せろ。
(ナギ、城内から世界樹の樹粉を追い出してくれ。お前の力なら出来るはずだ)
風の大精霊ナギに樹粉の除去を依頼する。花粉症と基本的に対策は同じはずだ。
(了解、貴方様。私なら余裕だよ〜)
さすがは大精霊、格が違う。ならば――――
(ナギ……出来れば樹粉を集めておいてくれないか?)
(ふーん……出来るけど、そんなもの集めてどうするの?)
くっ、ナギよ……そこは了解、余裕だよ〜って言うところじゃないのか? 疑問を持つんじゃない!?
(…………研究に使う)
(へえー……研究ねえ……分かった、いっぱい集めておくね!)
よしっ!! 樹粉ゲットだぜ!
(あっ、ただしぃ……研究する時は私も参加するからね?)
げっ!? もしかしなくてもバレてました?
(ミヅハ、悪いが――――)
(分かりました。皆さまと城内の洗浄、そして樹粉が入ってこないように、水の膜を張ります)
さすがだミヅハ。1をもって10を知るとは……有能な妹過ぎて困る。ところで――――
(わかっております。樹粉はちゃんと集めておきますのでご安心下さい、お兄様)
み、ミヅハ……愛してるぞミヅハ!
(ふふっ、私もそんな腹エロいお兄様を愛しております)
ミヅハよ……そこは腹黒いじゃないのか!?
(あ、そういえばお兄様、樹粉はエルフに特に効果がありますが、他の種族にもちゃんと効き目があるんですよ?)
マジかよ!? ミヅハ、お前は有能なだけではなく博識でもあるんだな。くそっ、うちの屋敷にも植えたいぜ世界樹。
(……ちなみに……世界樹の樹液は……精霊にも効果が……あるらしい……で、す、よ?)
ミヅハが……あの清純派のミヅハが、恥ずかしそうな声色でとんでもないことを告げる。
な、なんだって!? は、早く樹液を手に入れなければ……しかし世界樹やばいな……樹粉といい樹液といい……素晴らしいじゃないか。
くそっ、こんなことなら、樹液を吸うセミの魔物を配下にしておくべきだった……え? 居ない? じゃあ一体どうすれば?
――――と、ここまでやっても周囲の時間はほとんど経過していない。時空魔法有能過ぎて困るな。
***
ナギとミヅハの活躍で、すっかり浄化された謁見の間は、ようやく沈静化に向かう。やれやれ、やっと挨拶できそうだな。
「あらためまして、異世界人のカケルです。この世界ではアルカリーゼ、アストレア、アルゴノート、クリスタリアの公爵でもあります」
「うむ、よく参られた婿殿。余が神聖ガーランド王国国王オヴェロンである。ガーランドの民は皆、婿殿に感謝しているのだよ。どうか我々の歓迎を受けて欲しい」
金髪緑眼の国王陛下は、柔らかい笑みを湛えて先ほどの件は全力でスルーするおつもりのようだ。うむ、なかなかの人格者のようで安心したよ。
さすがはシルフィとサラの父親だけあって、超美形で髪の毛サラッサラ。見た目は20代の大学生ぐらいにしか見えないし、とても78歳とは思えない。
そして――――
「よくいらっしゃいました英雄殿。王妃のマーガレットです。ベルファティーナを連れてきてくれてありがとう。どうか娘たちをよろしくね」
国王陛下の隣で上品な笑みを湛えるマーガレットさまは、同じく金髪緑眼の絶世の美女なんだが……どうみても中学生ぐらいにしか見えないんですけど!? シルフィとサラの妹にしか見えないんですけど!? 陛下がロリコン疑惑なんですけど!? この世界のお母さまって一体どうなってんの!? 普通のお母さま居ないの!?
はあはあ……ツッコみすぎて疲れた。
***
謁見のまでの形式的な挨拶が終わり、関係者だけでの会食となった。
「突然お邪魔してしまい申し訳ございません。アストレア王妃ベルファティーナです」
「わーい、ベルちゃんお久しぶり~」
大喜びで抱き合うマーガレットさまと、ベルファティーナさま。二人とも見た目が幼いので、女の子の友達同士がじゃれているようにしか見えず、微笑ましい。
『……それでね、カケル殿ってばすっごく激しいのよ?』
……ちょっと待った。ベルファティーナさま、なんのお話をしているんでしょうね? ほら、マーガレットさま顔真っ赤じゃないですか!? え? 樹粉症の後遺症? 治療して欲しい? ははは……
「オルレアン伯爵の娘サクラです。今後も交易よろしくお願いいたします」
「おお、ヒノキ殿のところのご令嬢がこんなに大きくなったのだな。昔あった時は小さい赤子だったのに……」
感慨深そうにサクラを見つめるオヴェロン陛下。サクラは覚えていないようだけど、昔、父親に連れられてガーランドで陛下に面会したことがあるのだという。
「よし、どれほど成長したのか余が確かめてやろう」
サクラの胸に手を伸ばす陛下。
「陛下……何をしようとしているんです?」
まるでキタカゼかユキカゼのような絶対零度のまなざしで陛下をにらむ王妃様。こ、怖え……!?
「ち、違うんだ!? 別にやましい気持ちなど一切ない。あくまで親心で……」
マーガレットさまにどこかへ連れて行かれる陛下。合掌。
どうやら樹粉症の影響のようですね陛下。まさか義父さまがエロフだったとは……なんかサラに似ている……いや、サラが陛下に似たのか。
「ふえーん! 危うく王子様の大事なものが触られてしまうところでした」
これ幸いと、サクラが俺に抱き着いてくる。そして耳元で……
『王子様……サクラがどれだけ成長したのか、確かめて……くださいね?』
俺の手を取って、柔らかいふくらみに当てる。くっ、まさに生殺し。手を動かしたいが、衆人環視の会食の場でさすがにそれはハードルが高い。
すっかり意気消沈した陛下が戻ってきたので、なごやかな会食が再開されるのであった。
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