異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
魔王の手掛かり
晩餐会は大成功だった。
特製デザートも大好評で、早くも大口顧客を大量ゲット出来たし、陛下に献上したリヴァイアサンの鱗から作り出した剣と盾も国宝にすると言ってとても喜んでもらえた。
そして、なぜかメイドさんたちのラッキーモフがちょこちょこ有って幸せいっぱいだったよ。
そして、今はみんなが宿泊している王都で一番の宿へ戻って来たところだ。
まあ、戻ろうと思えば、プリメーラの屋敷に戻れるんだけど、せっかくの旅行気分を味わいたいからね。
「――――という訳で、みんなの意見を聞きたいんだ」
全員集まったところで、アルカリーゼ王家にかけられた魔王の呪いについて情報共有する。
イリゼ様から、みんなに相談してみたら? ってヒントを貰ったからな。
「うわぁ……魔王とか、まさか私の出番?」
心底嫌そうな美琴。そういえばお前は何のために勇者やってるんだっけ?
みんな一生懸命考えてくれたけど、残念ながら、魔王について情報を持っているメンバーは居なかった。
「駆……その魔王だけど、私知ってる」
じっと考えこんでいた刹那が突然声を上げた。
「本当か、刹那?」
「うん、ついでに言えば、アルスも知ってる」
そうか……刹那がいた時代は、ちょうどアルカリーゼが建国された頃だったな。
刹那が魔王と建国王アルスを知っているなら話は早い――――って待て待て待て!?
「せ、刹那……お前……深海幻も知っているのか?」
「…………知らない。ていうか、あの時代に勇者はいなかったはず」
刹那が嘘をつく意味も無いし、そんな雰囲気もない。
「は? どういうことだ……アルスは勇者である深海幻と一緒に魔王を封印したんじゃないのか?」
「あのね、その伝説とやらが、全然違う。アルスは魔王を封印したんじゃなくて、魔王と一緒に魔界への門を封印したの」
『リエル、魔界って何?』
『神界の法を破った不良天使や亜神たちが、力を取り上げられて、反省させられている場所だよ』
せっかく格好良い名前なのに、何か台無しだよ……言い方って大事だよね!?
『なるほど、堕天使たちや闇落ちして神になり損ねた存在が追放され終わりのない苦しみを味わっている無限地獄ってところか……』
『いや、単なる反省部屋だから。ネットもスキルも無いし、退屈に耐えかねてみんなすぐに音を上げて改心するね』
『…………そうっすか』
でも、それなら何で魔界の門が繋がっていたんだ? っ!? まさか……
『ご明察。そうだよ、深海幻が、魔界へ無理矢理入り込んで、天使たちを吸収したんだ。スキルを取り上げられているとはいえ、素の能力値は高いからね……まったく忌々しい奴だよ』
「……駆? 聞いているの?」
「ああ、ごめんごめん。じゃあ勇者云々は、後から改変した話ってことか……」
俺も時代が合わないから変だとは思ってたんだよな。深海幻がいた時代と刹那のいた時代には300年近くズレがある。
まあ、深海幻なら、勇者としてもそれぐらい生きてておかしくないけどさ。今も邪神として生きているぐらいだし。
「あれ? となると、魔王はどこに行ったんだ?」
「さあ? アルスは魔界への門を封印する時に、置いて来たって言ってた。後で迎えに行くって」
「は? 置いて来たって何でまた……それで結局どうなったんだ?」
「……知らない。休眠に入ってしまったから」
参ったな……刹那が知らないとなるとお手上げだ。
『リエルは……』
『ごめんね〜、魔界の場所は教えられない。深海幻のことがあってから決まったルールなんだよ』
ありがとうリエル。魔王は魔界にいるんだな。それだけ分かれば後は探すだけだ。
「刹那、魔界の場所に心当たりはないか? あるいは悪魔についてでも良い」
「うーん、そういえば、アルスと魔王が出発する前に、悪魔村に通っていたかな」
「あ、悪魔村だと……なんて恐ろしい……」
「いや、普通の村だから。そもそも悪魔っていっても、肌の色が濃い魔族のことだからね?」
「へ? そうなの? 堕天使じゃないの?」
美琴も驚愕している。おお同志よ!!
『……二人とも堕天使なんか居ないよ? その前に反省部屋行きだからね? 堕ちてる暇ないよ?』
ああ……そうでしたね……スイマセン。
「で、その悪魔村はどこにあるんだ?」
「今のアルカディアのどこかだと思うんだけど……分からない」
そうだった。刹那の方向音痴は中々だったな。刹那を抱きしめる。
「ふぇっ!? 何で抱きしめた? 駄目っ! 離さないで!」
みんなのジト目に耐えながら話を続ける。
「あ、そういえば、立派な時計塔があった!」
そう言って時計塔の絵を描き始める刹那。
「こ、これのどの辺が時計塔!?」
みんなが刹那の絵を見て驚愕する。
そうだった。刹那の絵心の無さは奇跡的だった。刹那を強く抱きしめる。
「ふぇっ!? 何でまた抱きしめた? ふふっ」
嬉しそうな刹那に本当のことなど言えない。
伊達に長い付き合いじゃないんだ。刹那の絵を元に時計塔を書き上げることなど余裕!
「あ、この時計塔なら、まだ残ってますよ」
「本当か、ミヤビ?」
「はい、今は呪い小路と呼ばれているエリアですね」
「よし、他に手掛かりも無いし、明日は呪い小路へ行こうか」
「やったー! 一度行ってみたかったんだよな、当たると評判の占い師が沢山いるらしいぜ!」
イサナの言葉に騒ぎ始める女性陣。占いとか好きだよな。
ところでイサナさん? 何で宿屋に居るんです? 地元だよね? え? 子を授かるまで戻れない? それじゃあ仕方ないね。
***
その夜、部屋をノックして入って来たのは、シルフィとサラ。
暴風と紅蓮の魔女と恐れられる宝石のように美しい双子姉妹。
「貴方様……今宵お時間いただいてもいいかしら?」
「貴方様……今夜は寝かさないぞ?」
外見はそっくりでも、性格は真逆。
ふう……長い夜になりそうだ。と一度言ってみたかった台詞をつぶやいてみた。 
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