異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

クロエ=アルゴノート


「御主兄様、まだやってらっしゃったのですか?」

「ああ、丁度終わったところだ」

 全員分のメイド服を作り終えたところで、クロエが部屋に入ってきた。

「明日は王都に行くのですから無理をしてはいけません」

 クロエが寝間着に着替えさせてくれる。

 着替えぐらい自分で出来るって言っても、自分の仕事だからと譲らないので、最近は素直に任せることにしているのだ。

「どうしても今日中に仕上げたかったんだよ」

「なぜですか? 別にそんなに急がなくても」

 不思議そうに碧い目をぱちくりするクロエ。

「おいで、クロエ」

「はい、御主兄様」

 嬉しそうに狼耳をピコピコさせながら、隣に座るクロエ。

「せっかく王都に行くんだから、クロエには新しいメイド服を着て欲しかったんだよ」

 自分で言っていて変態御主人様だと思われないか不安になって来たが、クロエはそれはもう嬉しそうに自分の新しいメイド服を眺めていた。

「素敵です……着てみても良いですか?」

「ああ、もちろんだ。でも危険かも知れないぞ?」 

 魅力的過ぎて襲ってしまうかも的な意味で。

「……ふふっ、では尚更着てみないといけませんね?」

 頬を染めて微笑むクロエにクラクラする。


「……どう……ですか? 似合い……ます?」

 完全に俺の趣味全開のメイド服は、正統派クラシックなスタイルに長めのスカート。少しだけゴスロリチックな白黒を基調としたデザインで、ワンポイントでクロエの瞳に合わせた碧いリボンを使用している。ちなみにリボンの色は、瞳の色に合わせたので全員違う。

 元々、クロエをイメージしてデザインしたので似合わないはずはないのだが……

 ヤバい。似合い過ぎて、可愛い過ぎておかしくなりそうだ。

「クロエ……すごく似合ってる。可愛いし、魅力的だ」

 陳腐な褒め言葉しか出てこないが、伝えないと気が済まない。

「本当ですか? 嬉しいです」

 熱く潤んだ瞳に吸い寄せられそうになる。

 家族の無事も確認出来たし、もう我慢する必要ないよな?


「クロエ……お前のすべてが欲しいんだ、今すぐに」

 自分でも抑えられないほどクロエが愛おしい。独占したい。

「困った御主兄様……髪の毛一本に至るまで私のすべてはとっくに御主兄様のものですのに……」

「悪いな、俺は独占欲が強いんだ。マーキングさせてもらうぞ?」

「はいっ! 私にマーキング……して下さい……キャウン!?」


***


「……てっきり邪魔が入ると思ってたんだが……?」

「ふふっ、今夜は私の番ですから。スキルを駆使して勝ち抜いた結果なのです」
 
 慎ましやかな胸を張るクロエ。

「な、なるほど……」

「だから……今夜は……たっぷり愛して下さいね」

「明日王都に行くから無理してはだめなんじゃないのか?」

「……無理なのですか?」

「いいや、余裕だ」

「さすが御主兄様です。妹だろうと見境なし、まるでケダモノです!!」

 胸に飛び込んでくる可愛いもふもふ妹メイド。

「な!? クロエ、言い方!?」


「ふふっ、でもありがとうございます御主兄様。私の国を、故郷を救ってくださって。私の心を救ってくださって……」

「クロエ……あと少しだな。一緒に国を復興させよう」

「はい、私はアルゴノートの王女に戻りますが、王女である前に、御主兄様の妹で専用メイドなのですから。ずっと……一緒です」

「クロエ……どうした?」 

 突然泣き出したクロエを抱きしめる。

「ごめんなさい。嬉し過ぎて、幸せ過ぎて悲しいのです。私たち獣人の寿命は短い。きっと私が最初に御主兄様のお側から居なくなる……それがとても辛く淋しいのです……」


 この世界は魔力量で寿命が左右されると俺は知っている。

 獣人は生まれつき魔力が少ない傾向があるから、短命な種族だと考えられているのだろう。

 クロエは獣人としては魔力量は多いけれど、ずば抜けて多い訳ではないからな。


「大丈夫だクロエ、俺の眷族になれば一緒に長生き出来る。心配するな」

「御主兄様……なります! 今すぐ眷族にして下さい!!」

 さっきまでの泣き顔が嘘のように晴れやかな笑顔に変わる。

 良かった。クロエの悲しい顔なんて見たくないからな。


 それにしても、眷族になると一体感がヤバい。おまけに感覚共有で気持ち良さも2倍になる。

「キャイン、キャイン……も、申し訳ありません。もう無理です……」

 すやすや眠るクロエに毛布を掛けて、部屋を出る。

 全員に夢の回廊を使用してゆく。

 俺の身体はひとつしかないから……せめて良い夢を見て欲しい。

 部屋に戻り、クロエのサラサラの銀髪を撫でる。

 モフモフしながら、俺も良い夢をみるとするか……


『カケル、寝ている暇は無い……』

「み、ミコトさん!? 今夜はクロエの番じゃ?」

『それは美琴の話。私はもちろん毎晩だから。それとも……嫌……だった?』

 そりゃそうだ。なんたってミコトさんは正妻でメインヒロインなんだし!

「嫌なんて言葉は俺の電子辞書には入っていないので分かりませんね?」

『ふふっ、存分に召し上がれ……』

 睡眠時間が……なんて考えたりしない。俺には神水があるから24時間戦えますよ?


***


 翌朝、超ご機嫌のクロエが微笑ましい。微笑ましいのだが……

 みんなの羨望と微笑ましさが混じったような視線が痛い。そういえば全員知ってるってことなんだよな? めっちゃ恥ずかしいんですけど!?

 とはいえ、今夜は誰なんだろう? なんて考えてる俺は結構最低かもしれない。

 えっ? 今更? おっしゃる通り。

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