異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

ダンジョンという名の鉱山へ

 今日は以前から予定していたバドルのダンジョンへ行くのだが、なぜか全員行きたがったので、結局大人数の遠足みたいになってしまった。

 こんな大勢で押しかけたら、きっとマイカも驚くだろう。なんか申し訳ない気分になってきた。

 思えば、スタンピードのせいで、ずいぶん案内役のマイカを待たせてしまったしな、と苦笑いしながら、待ち合わせ場所であるバドルの冒険者ギルドへ向かった。


***


「あの……カケルさん? 何かずいぶん人数が増えてるんだけど?」

 ギルドに来てみたら、まさかの団体さま。それもめちゃくちゃ綺麗な人ばっかりじゃねえか。まさか全員カケルさんの婚約者とかじゃねえよな? モテるだろうなとは思ったけど、マジ半端ないぜ。

「悪いなマイカ。ちゃんと1名につき金貨1枚報酬に追加するから」

「マジで!? なら構わないぜ」

 申し訳なさそうなカケルさん。まあこっちは稼げれば何も文句はないからな。

 だけど――――

「お、おいっ、何でギルドマスターとサブギルドマスターがいるんだよ? ヤバいだろ……」

 この仕事は、ギルドを通したものじゃない。俺はまだ未成年だから、そもそもギルドに登録出来ないからな。

 俺たちも生活があるから、多少は見逃してもらえるけど、さすがに目の前で堂々とはいくら何でもマズイだろ。

「あら、大丈夫よ? マイカちゃん。今日は私たちだけの貸し切りだから他の人は居ないし」

 そう言ってウインクするリリス。

 くっ、可愛い……年齢3桁なのに俺と同じ歳ぐらいに見えるギルドマスターが可愛い過ぎる。 

 内心リリスの可愛さに悶えるマイカ。

「でも、貸し切りってなんだよ?」

「実は、リリスさまと領主さまの権限でダンジョンの解禁日を明日にずらしたんです」

 サブギルドマスターのリノさんによると、今日はカケルさんたちだけの貸し切りらしい。

 何でもスタンピードを解決したご褒美の一環だとか。

 邪魔が入らないなら願ってもない。こいつはついてるぜ。

 ちゃんと穴場に案内して稼がせてやらないと!

 マイカは一層張り切るのであった。


***


「そういえば、2人とも一緒に来て冒険者ギルドは大丈夫なのか?」

 ギルドマスターのリリスとサブギルドマスターのリノもダンジョン行きに参加するのでさすがに心配になる。

「大丈夫よ! ギルドマスター代行に任せて来たから」

「そうですよ、アイツも少しは私の苦労を知るべきなんです!」

 そういえばいたな……と影の薄いギルマス代行を思い出す。

 リリスの直属の部下ということで、上司の2人だけでなく全国のリリスファンからも日夜嫌がらせを受けている苦労人だ。

 お土産持って行ってあげようと心に誓う。


「実はダンジョン行くの初めてなのよ」

 リリスが楽しそうに笑う。俺も嬉しいよ。お前は働き過ぎだからな。ついつい頭を撫でてしまう。

(カケルさんがリリスさまの頭を撫でてる……いいな……って仕事仕事!)

 雑念を振り払うマイカ。

「実はダンジョン行くの久しぶりなのよ」

 刹那……確かに800年近くぶりだな。撫で撫で。

「……実は私もダンジョン初めてなのよね」

 リーゼロッテ……分かってるさ。撫で撫で。

 結局、全員撫でるいつもの流れになったとさ。

「カケルさん、着いたぞ」 

 マイカご苦労さん。撫で撫で。

「ふえっ!? な、なななにすんだよ!?」

 真っ赤になって慌てるマイカ。

 しまった、つい流れで……ごめんなさい。


 このダンジョンで採れる鉱石は、銅、鉄、アルミニウム、金、銀、プラチナなど馴染みのあるものと、魔力銀ミスリル、オリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネなどのお馴染みのファンタジー金属だ。

 そして、この世界にしかない、虹色のイリゼ鉱石からは、伝説の金属イリゼステリオンを創り出すことが出来るらしい。何それ格好良いんだけど!

 マイカによると、いわゆるファンタジー金属は希少であまり採れないらしく、とても高価で取引されるんだとか。

 そして、鉱石の採取において1番ネックになるのが運搬で、ギルドの冒険者たちに熊男みたいなのが多いのは、力が強い=稼げるからなのは言うまでもないだろう。

 その点、俺たちの場合は、ミコトさんのリュックもあるし、美琴のアイテムボックスもある。つまりいくらでも採り放題。んふふ。


「それじゃあ、みんな魔法のツルハシを各自持って行ってくれ」

 妄想スケッチで創り出した魔法のツルハシ。

 鉱石の精製を自動でやってくれるので、これで掘れば、不純物の無いインゴットの状態でザックザクとなる。

 さらに力の無いアリサたちでも楽しく採掘出来るように、パワーアシスト付きのまさに反則級の道具だ。

「すごいです。軽いのにザックザク掘れます」

 アリエスも夢中でツルハシを振り下ろす。

 聖女にツルハシとか違和感が半端ないけど、楽しそうで何より。

 別に採る鉱石は何でも構わない。世界的に全ての金属が不足しているし、一攫千金を狙っている訳ではないから質より量だ。

 まあ今回は、採り放題を楽しみにきたレクリエーション的な側面の方が強いかもな。

 ダンジョンの中は、一応魔物が湧くので、非戦闘員メンバーには、召喚獣たちが護衛についている。ついでに運搬用の召喚獣も用意しておいて良かったよ。


「マイカ、希少金属が有りそうな場所あるかな?」

 せっかくなので、俺も掘ることにする。

「あるけど、狭くて大人じゃ入れないぜ?」

「それなら大丈夫!」 

 ダンジョンの壁を破壊して無理やり拡げることも出来るけど……それよりも

『メタモルフォーゼ!!』

「マジかよ、子どもに変身しやがった!?」

 マイカの呆れたようなジト目を受けながら、
子どもに変身したカイと2人で狭い坑道へと入ってゆく。

『黒影殿と2人きりで嬉し恥ずかしダンジョンデートだな!』

 カイは思いがけないシチュエーションにテンションマックスだ。

「カイも含めて、養わなければならない家族が増えたから、稼がないとな」

『フフフ、お任せください、このゼロが希少金属をザックザクと見つけて見せます!』

 うんうん、頼もしいぞ。

 しかし鑑定スキルはヤバいね。わずかでも露出していれば分かるから。

 夢中で希少金属をザックザクと採りまくる。いやコレ楽しいし、お金になるし、最高だな。時間も忘れてしまいそうになるよ。


 そして、遂に――――

「あったよ…………」

 虹色に輝く不思議なイリゼ鉱石。

 希少過ぎて、市場に出回ることは無く、イリゼステリオンへの精製方法も分かっていない為、ほとんど伝説的な扱いとなっている鉱石だ。

 でも、魔法のツルハシのおかげで、いきなりイリゼステリオンのインゴットが手に入ってしまった。なんかごめんなさい。

 

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