異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

娘さんを俺に下さい

 会議室に入ると、各国首脳の注目は必然的に俺に集まった。

 確かに誰だよってなるよな。死神のローブも怪しさ全開だし。

 入室前に武器を渡すようには言われなかった。

 俺のデスサイズも美琴のエクスカリバーも召喚武器だから基本手ぶらだからね。


 しかし、久しぶりの再会を喜びたいだろうに、さすがは王族。誰もそのことには触れない。まずは職務優先ということだろう。

 俺、美琴、セレスティーナたちが、これまでの経緯と現在の状況を、各国首脳に説明してゆく。

 特に邪神の因子に関しては、俺の記憶情報を見せて納得してもらう必要があった。

 もちろん頭部の接触はさすがに失礼なので、今回は指輪を使ったよ。

 幸い各国の首脳は聡明な人たちばかりで、思いの外、話し合いはスムーズに終わった。

 セレスティーナたちや勇者美琴が一緒だったことも大きかったと思う。


 となれば、次は当然――――


「娘さんを俺に下さい!」

 頭を下げて結婚の許しを求める。

 この世界の作法は知らないけれど、ストレートに伝えるのが誠意だと思ったから。

 目の前には、アストレア、アルゴノート、クリスタリアの国王たちが居並ぶ。

 若干王たちの顔色が悪いのは、俺の背後から凄まじいプレッシャーをかける娘たちのせいかもしれないが、多分気のせいだろう。

「カケル殿、親の私が言うのも何だが、娘たちは相当変わり者だぞ? 本気で娶るつもりか?」

 アストレア国王アレクサンドロスが何気に酷いことをおっしゃる。

「もちろんです。2人とも必ず幸せにして見せます」

「うむ……ならば許そう。カケル殿、2人を助けてくれて感謝しているよ。どうか娘たちを幸せにしてやってくれ」 

 最後にほんの少しだけ、表情が緩んだ気がした。

 チラチラ俺の背後を気にしていたのは見なかったことにする。


「カケル殿、子は何人作るつもりだ?」

 いきなりそんな質問をしてきたのは、クロエの父アルゴノート国王クランだ。

「……少なくとも5人、出来れば二桁を目指します」

「それは頼もしい! うむ、許す」

 なんかあっさり許してくれた!? 

 彼も俺の背後をやたら気にしていたけど、気にしないったら気にしない。

 
 最後はクリスタリア国王クライフォート陛下。

「ちなみにカケル殿。現在の資産は?」

 うっ、いきなり直球が来た!?

 だが金ならある。いやらしい話だが、腐るほどありまっせ?

 クラウディアが国王に何か耳打ちしている。


「よし、許す! ついでに妹のシルヴィアも付けよう!」

「は? 何言ってるの? シルヴィアはまだ5歳じゃないの!」

 怒るクラウディア。さすがの俺も5歳はギリギリアウトだ。

 もちろん異世界ジョークだよ?


 良かった。何とか無事許可を貰えてひと安心。


「ではカケル殿には、アストレアの伯爵位を与えよう。王族を娶るには必要だからな」

「ハハハッ、さすがは大国アストレアはセコい。国を救った英雄に対して伯爵位? カケル殿、我がアルゴノートは侯爵位を用意しようではないか」

「ククク、失礼ながら、カケル殿の価値が分かっておられないようだ。私たちクリスタリアは公爵位と領地を用意しよう」

「なっ!? 抜け駆けは許さん、アストレアは公爵位に領地、名誉騎士団長を付けるぞ!」

「くっ、ならばアルゴノートは公爵位に領地、モフモフ大臣を付けよう!」

 も、モフモフ大臣!? 何それ俺の天職?

「ぐぬぬ、カケル殿、温泉施設のフリーパスと混浴大臣のポストを追加しよう」

 混浴大臣って何? 謹んでお受けいたします。

「色事とは卑怯な……ならばアストレアは――――」

「「「「いい加減にしなさい!!!」」」」

「「「はい、すいません……」」」

 娘たちに怒られる国王たち。

 思ってない、思ってないからね! なぜ止めたとか全く全然思ってない。大丈夫。

 
 その後、会議は一旦お開きとなり、ようやくセレスティーナたちは家族と水入らず――――


「待て! カケル殿! 美琴殿を賭けていざ尋常に勝負しろ!」

 目の前に立ち塞がるお兄様方。

 あ~、忘れてたよ!? どうすれば?


「兄上……」
「セレスティノ兄様……」

 セレスティーナとユスティティアがハイライトが消えた目で魔剣に手をかける。

「クロード兄様……せっかくお会い出来たのに永遠の別れが来てしまいましたね……」

 クロエがまったく温度を感じさせない声色で兄との別れを惜しむ。

「お兄様、手を引くならこれ位支払う用意がありますけれど……断れば……分かってますね?」

 怖い、妹たちが怖いよ!? 

「ま、まあまあ。ここは平和的に美琴に決めて貰おうよ?」 

「せ、先輩!? それはそれでかえって残酷な気が……」

 確かに目の前で惚れた女性にイチャイチャされたら、俺なら心が折れるな。


「仕方がないですね。3人まとめてかかって来て下さい!」

 結局3人の気の済むまで勝負した。

「くっ、さすがは異世界の英雄殿。参りました」

「まさかここまで歯が立たないとは……私の負けですね」

「俺の負けだ。得意の計算や鑑定でも勝てないんじゃ言い訳出来ない。悪かったな」

 
 ちゃんと負けを認める器の大きさに感動した。さすが次期国王たちだ。

 皆さん外見だけでなく、中身もイケメンだったよ。


でも――――


「サクラ、綺麗になったな! どうだ? 私と結婚――――」
「美しいお嬢さん、私と結婚――――」
「いや、俺こそが彼女を幸せに――――」
 


「「「ぎゃあああ!!?」」」

 あ~あ、せっかく助かった命を無駄にしてしまったお兄様たちに合掌!

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品