異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
ずっとこのままで
翌朝、と言ってもまだ暗い夜明け前、いつもの鍛錬を始める。
召喚獣たちのおかげで上がり続けるレベルとステータスに身体を馴染ませる必要があるからだ。
レベルはすでに700を超え、とうに人の到達限界点は突破している。
だが目指すは神域の力。まだまだ届かぬ霊峰の頂だ。
昨日のキリハさんを見てあらためて思う。力は出すものでは無く、コントロールするものだ。
極めれば、初級火魔法のファイアボールでも街を消し飛ばすことは可能だし、デコピンで山を吹き飛ばすことも出来る。
ステータスや魔力量の出力に頼った力技などたかが知れているのだ。
100の魔力で100の威力ではなく、1の魔力で100の威力を目指す。
キリハさんの攻撃が全く見えなかったのは、それが呼吸やまばたきのように自然で無駄が無かったからだろう。
オークが死んだという視覚情報があって初めて攻撃を認識出来たのだ。見える訳がない。
無双だとか最強だとか喜んでいる時間も慢心している暇も無い。上には上がいるのだ。
もっとシンプルにもっと自然に……
カケルの鍛錬にも次第に熱が入ってゆく。
(しまった! 寝過ごした)
黒影殿の魔法の寝袋とやらの凶悪なまでの気持ち良さにうっかり熟睡してしまった。
私ですらこのざまなのだから、他のみんなは当分起きないだろうな。
すやすや気持ち良さそうに眠る主君や仲間たちを見て微笑む。
ふと黒影殿が居ないことに気付いて外に出る。
外はようやく薄明るくなりつつあった。
(居た……鍛錬しているのか?)
『…………綺麗だ』
それしか言えなかった。
鍛錬をするカケルの姿に、カイは見惚れることしか出来なかった。
目で追うことすら難しい速さで動き続けているのに汗一つかいていない。呼吸も乱れていないのだ。
洗練された動きはまるで美しい舞を見ているようで魅入られたように目を離すことが出来なかった。
(…………次元が違う)
今まで力だと思っていたもの、これまで強さだと認識していたもの。
そんなカイの価値観が砂城のように崩れてゆく。
そんな不安に抗うように自身最強のスキルを発動する。
『オールゼロ!』
これならば……届く、お願い届いて。私を置いて行かないで……
だが――――
(い、いない!?)
「おはよう、カイ」
『ふぇっ!?』
カケルに後ろから抱きしめられて変な声が出てしまう。
『お、おはようございます! 黒影殿。見事な動きでした。見惚れてしまうほどに……』
「ありがとう。でもまだまだ全然だよ」
そう言って微笑む黒影殿には謙遜の色が全く無い。本気でそう思っているのだ。
(この御方はいったいどの地平を見ておられるのだろうか……)
私も同じ地平を見ていたい。
たとえ隣に並び立つことは出来なくとも。
『あの、黒影殿。私を鍛えてもらえないだろうか?』
「ああ、もちろんだ。さっそく始めるか?」
『あ、いや……あと少しだけ……このままで』
黒影殿に抱きしめられるとなぜこんなに気持ちが良いのだろう、安心するのだろう。
まったく……さっそく厳しい戦いが待っているな。
ずっとこうしていたいと思う自身との戦いが。
召喚獣たちのおかげで上がり続けるレベルとステータスに身体を馴染ませる必要があるからだ。
レベルはすでに700を超え、とうに人の到達限界点は突破している。
だが目指すは神域の力。まだまだ届かぬ霊峰の頂だ。
昨日のキリハさんを見てあらためて思う。力は出すものでは無く、コントロールするものだ。
極めれば、初級火魔法のファイアボールでも街を消し飛ばすことは可能だし、デコピンで山を吹き飛ばすことも出来る。
ステータスや魔力量の出力に頼った力技などたかが知れているのだ。
100の魔力で100の威力ではなく、1の魔力で100の威力を目指す。
キリハさんの攻撃が全く見えなかったのは、それが呼吸やまばたきのように自然で無駄が無かったからだろう。
オークが死んだという視覚情報があって初めて攻撃を認識出来たのだ。見える訳がない。
無双だとか最強だとか喜んでいる時間も慢心している暇も無い。上には上がいるのだ。
もっとシンプルにもっと自然に……
カケルの鍛錬にも次第に熱が入ってゆく。
(しまった! 寝過ごした)
黒影殿の魔法の寝袋とやらの凶悪なまでの気持ち良さにうっかり熟睡してしまった。
私ですらこのざまなのだから、他のみんなは当分起きないだろうな。
すやすや気持ち良さそうに眠る主君や仲間たちを見て微笑む。
ふと黒影殿が居ないことに気付いて外に出る。
外はようやく薄明るくなりつつあった。
(居た……鍛錬しているのか?)
『…………綺麗だ』
それしか言えなかった。
鍛錬をするカケルの姿に、カイは見惚れることしか出来なかった。
目で追うことすら難しい速さで動き続けているのに汗一つかいていない。呼吸も乱れていないのだ。
洗練された動きはまるで美しい舞を見ているようで魅入られたように目を離すことが出来なかった。
(…………次元が違う)
今まで力だと思っていたもの、これまで強さだと認識していたもの。
そんなカイの価値観が砂城のように崩れてゆく。
そんな不安に抗うように自身最強のスキルを発動する。
『オールゼロ!』
これならば……届く、お願い届いて。私を置いて行かないで……
だが――――
(い、いない!?)
「おはよう、カイ」
『ふぇっ!?』
カケルに後ろから抱きしめられて変な声が出てしまう。
『お、おはようございます! 黒影殿。見事な動きでした。見惚れてしまうほどに……』
「ありがとう。でもまだまだ全然だよ」
そう言って微笑む黒影殿には謙遜の色が全く無い。本気でそう思っているのだ。
(この御方はいったいどの地平を見ておられるのだろうか……)
私も同じ地平を見ていたい。
たとえ隣に並び立つことは出来なくとも。
『あの、黒影殿。私を鍛えてもらえないだろうか?』
「ああ、もちろんだ。さっそく始めるか?」
『あ、いや……あと少しだけ……このままで』
黒影殿に抱きしめられるとなぜこんなに気持ちが良いのだろう、安心するのだろう。
まったく……さっそく厳しい戦いが待っているな。
ずっとこうしていたいと思う自身との戦いが。
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