異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
お菓子は別腹ですか?
「ミレイヌさん……いくら何でも多すぎじゃ?」
目の前の数千……いや、万に届きそうな移住希望者たちにカケルの顔が引きつる。
「ごめんなさい……カケルさま。これでもかなり抑えた方なんですけど……」
申し訳なさそうに俯くミレイヌさんの姿にはっとする。
ミレイヌさんはセレスティーナのために頑張ってくれたのに、俺は何を偉そうに泣き言をいってるのだろう。
「大丈夫ですよ、ミレイヌさん。我に秘策有りです――――ツバサ、スズカゼ!」
『おはよう、敬愛する王よ』
『おはようございます、王さま!』
虹色とターコイズブルーの髪をなびかせ、ハーピィクイーンのツバサとハーピィのスズカゼが現れる。
「2人にはこれを使って、女性をセレスティーナに運んで欲しい」
差し出したのは新しい指輪。転移や鑑定など、戦闘用ではないスキルが付与されている。
本当は、メインの指輪に転移をセットしたかったんだけど、なぜかみんなに反対されたのだ。
ちなみに、視界共有が出来ないので、クロエたちには普通の転移【短】しか使えない。今のところは。
『…………』
『…………』
あ、あれ? なんでそんなに嫌そうなの? 絶望してるの?
「た、頼むよ2人とも。どうしても手が足りないんだ。今回は特別だからさ」
『王さま……嫌な訳ではなく、悲しいのです。この指輪があると、もう王さまに抱きしめてもらえなくなるではないですか……』
スズカゼが涙を流す。
「い、いやいや、大丈夫だから! 今後もちゃんと転移は俺がやるから、な?」
慌ててスズカゼを抱き寄せ頭を撫でる。
『…………本当ですか?』
「ああ、本当だ、約束する。だからそれは持っていてくれ。お前たちを危険から守ってくれる御守りとして」
『王さま……』
「スズカゼ……」
「あのー、カケルさま? みんな待ってるんですけど……」
(くっ、あざとい。魔物とは思えないわね! 私なんて指輪すら貰ってないのに……)
内心苦虫を噛み潰すミレイヌ。
「あっ、すみませんでした、ミレイヌさん」
「…………ところでカケルさま」
「? なんでしょう?」
「そろそろ……わ、私もミレイヌって呼んでくれてもいいのでは?」
「わかりました……ミレイヌ」
「…………敬語」
「わかった、ミレイヌ」
(きゃー! ヤバい、心臓がヤバい!! 呼び捨て良いわ〜!)
歓喜するミレイヌ。一連の流れを生暖かい目で見守る移住者たち。
結局女性はツバサとスズカゼが、男性は俺が転移で手分けして運んだので、移動は短時間で終了した。
残るはミレイヌだけ――――
「…………で、ミレイヌはともかく、なんでツバサとスズカゼまで待ってるんだ? い、いや、何でもないです……」
3人にすごいジト目でにらまれた……これは俺が悪い。
店舗の場所は、業種と規模別にグループ分けして、その中で抽選を行った。早いもの勝ちだと、どうしても不公平感が出て、のちのち争いの火種になるからね。
移住者たちが荷物を店舗に運び込んでいる間に、俺はカフェテリアで昼食の準備を始める。人数が人数なのでさすがに大変だ。
飲食店も早いところは明日から営業開始するようなので、カフェテリアでの提供数もおそらく今日がピークになるだろう。なんとか乗り切ってしまいたい。
「手伝ってもらってすみません、レオンさん」
今日は騎士団の人たちも手伝ってくれている。
「なに、どうせ我々はいつも自炊ですから。美味しい料理が食べられるのですから、これはむしろご褒美ですよ!」
嬉しそうに笑うレオンさん。
レオンさんは、サクラの副官だった人で、今はセレスティーナに駐在する騎士団の隊長をしているナイスガイだ。
「しかし、とんでもないスピードで街が復興してしまいましたね。自分の眼で見ていなければ、到底信じることは出来なかったでしょう。後世、英雄譚として語り継がれるこの奇跡に関われた事が誇らしいです!!」
うん、熱く真っ直ぐで良い人だと思う……でも、今は手を動かして下さい……間に合わなくなりますよ?
昼食の後で、飲食店、宿屋の皆さんを対象に簡単な料理教室を実施した。
ちょっとしたコツでぐっと美味しくなるアドバイスをしただけなんだけど、みんなすごく喜んでくれた。やっぱり料理が美味しいと評判の街になって欲しいからね。
「じゃあ、そろそろ行こうか、ミレイヌ?」
午後はプリメーラの屋敷で甘味販売の説明会をしなければならない。
「え~、ミレイヌ行っちゃうの!? ずるい……」
「変なこと言わないでカリン、これも立派な業務なんだから!」
「……その割にはデートに行くみたいにうきうきじゃないですか……」
他のギルド職員のジト目を受けながら、ミレイヌとプリメーラに転移する。
***
「モモお姉ちゃん……もうお腹いっぱいで食べられないよ?」
「……だから言ったのに。食べ過ぎよ、ココ」
豪華なお昼ご飯を目の前にして涙目のココ。お菓子を食べ過ぎてしまったのだ。
「ふふふ、甘いなココ、ご飯は別腹だ……げふっ」
「ソラ……あなたも食べ過ぎなんじゃ……顔青いよ、大丈夫?」
「…………」
無言でポロポロ大粒の涙を流すルナ。
「皆さま、大丈夫ですよ。お昼御飯の料理はちゃんとお土産用に包みますからね」
見かねたマルコスが優しく微笑みかける。
ぱあーっと表情が輝く子どもたちを見てマルコスの表情も緩む。
(……このような子どもたちの惨状を、これまで見て見ぬ振りをしてきたというのですか……我々には救える力があったというのに何もしてこなかったのですね……)
後悔しても何も変わらない。これから出来ることを精一杯やっていこうと誓うマルコスだった。
目の前の数千……いや、万に届きそうな移住希望者たちにカケルの顔が引きつる。
「ごめんなさい……カケルさま。これでもかなり抑えた方なんですけど……」
申し訳なさそうに俯くミレイヌさんの姿にはっとする。
ミレイヌさんはセレスティーナのために頑張ってくれたのに、俺は何を偉そうに泣き言をいってるのだろう。
「大丈夫ですよ、ミレイヌさん。我に秘策有りです――――ツバサ、スズカゼ!」
『おはよう、敬愛する王よ』
『おはようございます、王さま!』
虹色とターコイズブルーの髪をなびかせ、ハーピィクイーンのツバサとハーピィのスズカゼが現れる。
「2人にはこれを使って、女性をセレスティーナに運んで欲しい」
差し出したのは新しい指輪。転移や鑑定など、戦闘用ではないスキルが付与されている。
本当は、メインの指輪に転移をセットしたかったんだけど、なぜかみんなに反対されたのだ。
ちなみに、視界共有が出来ないので、クロエたちには普通の転移【短】しか使えない。今のところは。
『…………』
『…………』
あ、あれ? なんでそんなに嫌そうなの? 絶望してるの?
「た、頼むよ2人とも。どうしても手が足りないんだ。今回は特別だからさ」
『王さま……嫌な訳ではなく、悲しいのです。この指輪があると、もう王さまに抱きしめてもらえなくなるではないですか……』
スズカゼが涙を流す。
「い、いやいや、大丈夫だから! 今後もちゃんと転移は俺がやるから、な?」
慌ててスズカゼを抱き寄せ頭を撫でる。
『…………本当ですか?』
「ああ、本当だ、約束する。だからそれは持っていてくれ。お前たちを危険から守ってくれる御守りとして」
『王さま……』
「スズカゼ……」
「あのー、カケルさま? みんな待ってるんですけど……」
(くっ、あざとい。魔物とは思えないわね! 私なんて指輪すら貰ってないのに……)
内心苦虫を噛み潰すミレイヌ。
「あっ、すみませんでした、ミレイヌさん」
「…………ところでカケルさま」
「? なんでしょう?」
「そろそろ……わ、私もミレイヌって呼んでくれてもいいのでは?」
「わかりました……ミレイヌ」
「…………敬語」
「わかった、ミレイヌ」
(きゃー! ヤバい、心臓がヤバい!! 呼び捨て良いわ〜!)
歓喜するミレイヌ。一連の流れを生暖かい目で見守る移住者たち。
結局女性はツバサとスズカゼが、男性は俺が転移で手分けして運んだので、移動は短時間で終了した。
残るはミレイヌだけ――――
「…………で、ミレイヌはともかく、なんでツバサとスズカゼまで待ってるんだ? い、いや、何でもないです……」
3人にすごいジト目でにらまれた……これは俺が悪い。
店舗の場所は、業種と規模別にグループ分けして、その中で抽選を行った。早いもの勝ちだと、どうしても不公平感が出て、のちのち争いの火種になるからね。
移住者たちが荷物を店舗に運び込んでいる間に、俺はカフェテリアで昼食の準備を始める。人数が人数なのでさすがに大変だ。
飲食店も早いところは明日から営業開始するようなので、カフェテリアでの提供数もおそらく今日がピークになるだろう。なんとか乗り切ってしまいたい。
「手伝ってもらってすみません、レオンさん」
今日は騎士団の人たちも手伝ってくれている。
「なに、どうせ我々はいつも自炊ですから。美味しい料理が食べられるのですから、これはむしろご褒美ですよ!」
嬉しそうに笑うレオンさん。
レオンさんは、サクラの副官だった人で、今はセレスティーナに駐在する騎士団の隊長をしているナイスガイだ。
「しかし、とんでもないスピードで街が復興してしまいましたね。自分の眼で見ていなければ、到底信じることは出来なかったでしょう。後世、英雄譚として語り継がれるこの奇跡に関われた事が誇らしいです!!」
うん、熱く真っ直ぐで良い人だと思う……でも、今は手を動かして下さい……間に合わなくなりますよ?
昼食の後で、飲食店、宿屋の皆さんを対象に簡単な料理教室を実施した。
ちょっとしたコツでぐっと美味しくなるアドバイスをしただけなんだけど、みんなすごく喜んでくれた。やっぱり料理が美味しいと評判の街になって欲しいからね。
「じゃあ、そろそろ行こうか、ミレイヌ?」
午後はプリメーラの屋敷で甘味販売の説明会をしなければならない。
「え~、ミレイヌ行っちゃうの!? ずるい……」
「変なこと言わないでカリン、これも立派な業務なんだから!」
「……その割にはデートに行くみたいにうきうきじゃないですか……」
他のギルド職員のジト目を受けながら、ミレイヌとプリメーラに転移する。
***
「モモお姉ちゃん……もうお腹いっぱいで食べられないよ?」
「……だから言ったのに。食べ過ぎよ、ココ」
豪華なお昼ご飯を目の前にして涙目のココ。お菓子を食べ過ぎてしまったのだ。
「ふふふ、甘いなココ、ご飯は別腹だ……げふっ」
「ソラ……あなたも食べ過ぎなんじゃ……顔青いよ、大丈夫?」
「…………」
無言でポロポロ大粒の涙を流すルナ。
「皆さま、大丈夫ですよ。お昼御飯の料理はちゃんとお土産用に包みますからね」
見かねたマルコスが優しく微笑みかける。
ぱあーっと表情が輝く子どもたちを見てマルコスの表情も緩む。
(……このような子どもたちの惨状を、これまで見て見ぬ振りをしてきたというのですか……我々には救える力があったというのに何もしてこなかったのですね……)
後悔しても何も変わらない。これから出来ることを精一杯やっていこうと誓うマルコスだった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
89
-
-
124
-
-
34
-
-
6
-
-
141
-
-
353
-
-
1359
-
-
11128
-
-
55
コメント