異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
勇者と死神
「ミコトさん〜! もしカケルさんたちがイーストレアを奪還したら、次はいよいよこのイリゼスの隣の連合都市じゃないですか!」
Kレポートを読み、確実に接近しつつあるカケルに歓声を上げる美琴。
『美琴……気持ちは分かるけど、アストレアの足場固めに時間がかかる。気長に待つことをすすめる』
「えぇ〜、そんなことないですって! だってカケルさん、『クラウディア……大丈夫だ。きっとみんな避難しているさ。避難した人々は全員助ける。街も復興させる。お前の国を目茶苦茶にした奴らは絶対に許さないから。だから……もう、泣くな』って言ってたじゃないですか。速攻でこのクリスタリアまで飛んできますよ!」
美琴たちがいるイリゼスはクリスタリアにある都市だ。
『むぅ……カケルならあり得る……かも。それよりもう決めた? カケルの呼び方』
「うっ、一応決めましたけど……」
『聞かせて……ふんふん……プッ……』
「ああっ! 笑いましたね! ひどいですよ……やっぱり変えた方が……」
『……変えなくて良い、それで行く』
「そうですか? でも、変な女とか思われないかな……」
『大丈夫、美少女にそう呼ばれて萌えない男など存在しない』
悩む美琴をよそに、実は美琴以上に浮かれている乙女なミコト。
(カケル……カケル……もうすぐ逢える……うふふ)
***
「えっ? 反攻作戦ですか?」
イリゼスの城に設けられた臨時の首脳会議場で美琴は各国の首脳陣から作戦を持ち掛けられていた。
「そうだ、我がアストレアが誇る七聖剣3人と勇者である美琴殿がいれば、クリスタリアの王都クリスタルパレスを奪還することも可能だ」
そう語気を強めるのは、アレクサンドロス=アストレア現国王だ。
アレクサンドロスがそう言い出すのも最もな話で、実際にいつまでもこの街に閉じこもっている訳にはいかない。
西へ進めないのであれば、東に活路を開くのは決して間違ってはいないのだ。
だが――――
「駄目だ。許可出来ない。詳しくは言えないが、まもなく救援が来る。それまで力を温存しろ」
美琴(ミコト)は提案を一刀両断にする。
王都奪還は可能か不可能かで言えばもちろん可能だ。
しかし、作戦の過程で多大な犠牲が出ることも間違いない。
それでは今日までなんの為に美琴が命懸けでこの街を守ったのか。
「む……美琴殿がそこまで言うのであれば従うが、食糧や物資の問題もある。あまり長くは待てん」
「ああ、それで良い。あと1週間待っても助けが来なければ、作戦を実行に移せばいい」
勇者の言葉に、各国首脳たちが準備に動き出す。
(ミコトさん、あんなこと言って大丈夫なんですか?)
『心配要らない……それに……いざとなれば……どうにでもなる』
不敵に微笑むミコトさんが怖い。
ま、まあ、ミコトさんがいれば大丈夫よね……ある意味敵より恐ろしいけど。
なんか魔王が味方にいるような安心感だわ。
『……美琴、敵よ、かなり強い……急いで』
「げっ、わかりました! 美琴行きます!」
***
「た、大変です!! 強力な敵が……」
「なんだと! 状況は?」
「はっ、現在勇者美琴様が交戦中。陽動の可能性があるので、七聖剣他皆さまは持ち場を動かないようにとの伝言です」
「わかった。全軍しっかり守りを固めろ。何か仕掛けてくるかもしれん。油断するなよ!」
「「「はっ!!!」」」
***
『ふん……ようやく出てきたか。貴様が散々計画を邪魔している元凶だな。俺はフォース、覚えなくて良いぞ。どうせすぐ死ぬのだから……』
美琴の前に現れたのは、金髪金眼のフォースと名乗る男。
「ミコトさん……あれって魔人ですよね?」
『そうみたい。頑張って』
初めて対面する魔人に気を引き締める美琴。
(この男、強い……でも、勝てないほどじゃないか……厄介なのは命が複数ある事ね)
鑑定によれば、この男、序列4位の魔人貴族だ。少なくとも10個の命を持っているはず。
魔人と戦うのは初めてだが、カケルのレポートのおかげで魔人の情報はある程度把握しているのは幸いだ。
(聖剣エクスカリバーなら、生命核を切断出来るはず……油断している今のうちに一撃で勝負をつける!!)
魔人の弱点である生命核の場所は分かっている。カケルに感謝しながら美琴は集中力を高めていく。
『ほお……俺と戦うつもりか? せっかくのレディからのお誘いだが、生憎時間が無い……』
『……魔魅了!!』
魔人フォースが発した言葉に、美琴の身体が動かなくなる。
(えっ……何これ!? 身体が動かせない)
『ふふふ、動けまい。相手の魔力を支配下に置くスキルだ。魔力が高い相手ほど効果があるからな! さあ、自ら己の心臓を突き刺して死ね!』
自分の意志に反して、身体が動かされてしまう。剣が正確に美琴の心臓に狙いを付けた。
(くっ、カケルさんに逢う前に死ぬわけにはいかないのよ!!)
剣が心臓を貫く直前で動きが止まる。伊達に勇者はやっていない。
『お見事! 大した精神力だ。だが残念、そこまでだ』
すでに接近していたフォースが大剣を振り下ろす。
動けない美琴に避けるすべはもはや無かった。
(ごめんなさい……カケルさん。私待てなかったよ……)
スローモーションで迫るフォースの刃。
だが、その刃は美琴の首には届かなかった。
『な、そんな馬鹿な……』
二本の指で大剣を挟んで受け止める美琴。
そのまま指を捻ると、パキンッと音がして大剣が折れた。
『あり得ん……オリハルコン製の剣が……』
美琴の瞳が真紅に染まり、溢れ出る力の奔流にフォースは身動きひとつ出来ない。
『……5秒だけ待つ。消えて』
先ほどまでとは違う圧倒的な恐怖がフォースを襲い、全身がガタガタ震え出す。
フォースは失禁してしまっていたが、本人にそれに気づく余裕は無い。殺される……その恐怖から逃れることしか頭には無かった。
『くそっ、覚えてろよ!』
典型的な悪役のセリフを残してフォースは消えた。おそらく転移を使ったのだろう。
「あ、ありがとうございます、ミコトさん。完全に死んだかと思いましたよ……」
『……もっと強くなれば良い』
「はい……でも良かったんですか? 手は出さないって言ってませんでしたっけ?」
『完全に正当防衛なのでセーフ』
「ははっ、でも助かりました」
『でも…………臭う』
「へ? ご、ごめんなさい! 汗臭かったですか?」
『……美琴の事じゃない』
(さっきの魔人……イリゼに確認しないと)
「そういえば、あの魔人転移使えるなら、ヤバいですよね?」
『大丈夫。マーカー付けたから』
「さっすが! 頼りになるミコトさん」
『ふふふ、それほどでもある。ほら、さっさと残りを片付けて!』
「はーい! 今日はダメダメだったんで頑張りますよ!!!」
『うん、終わったらさっきのスキルにやられないように特訓してあげる』
「やったー! これでまた完璧最強美少女に近づきますね。ふふっ」
(カケルさん……早く逢いたいです! 私、頑張ってますからね!)
ようやく見えてきたカケルとの出逢いに心踊らせる美琴であった。
Kレポートを読み、確実に接近しつつあるカケルに歓声を上げる美琴。
『美琴……気持ちは分かるけど、アストレアの足場固めに時間がかかる。気長に待つことをすすめる』
「えぇ〜、そんなことないですって! だってカケルさん、『クラウディア……大丈夫だ。きっとみんな避難しているさ。避難した人々は全員助ける。街も復興させる。お前の国を目茶苦茶にした奴らは絶対に許さないから。だから……もう、泣くな』って言ってたじゃないですか。速攻でこのクリスタリアまで飛んできますよ!」
美琴たちがいるイリゼスはクリスタリアにある都市だ。
『むぅ……カケルならあり得る……かも。それよりもう決めた? カケルの呼び方』
「うっ、一応決めましたけど……」
『聞かせて……ふんふん……プッ……』
「ああっ! 笑いましたね! ひどいですよ……やっぱり変えた方が……」
『……変えなくて良い、それで行く』
「そうですか? でも、変な女とか思われないかな……」
『大丈夫、美少女にそう呼ばれて萌えない男など存在しない』
悩む美琴をよそに、実は美琴以上に浮かれている乙女なミコト。
(カケル……カケル……もうすぐ逢える……うふふ)
***
「えっ? 反攻作戦ですか?」
イリゼスの城に設けられた臨時の首脳会議場で美琴は各国の首脳陣から作戦を持ち掛けられていた。
「そうだ、我がアストレアが誇る七聖剣3人と勇者である美琴殿がいれば、クリスタリアの王都クリスタルパレスを奪還することも可能だ」
そう語気を強めるのは、アレクサンドロス=アストレア現国王だ。
アレクサンドロスがそう言い出すのも最もな話で、実際にいつまでもこの街に閉じこもっている訳にはいかない。
西へ進めないのであれば、東に活路を開くのは決して間違ってはいないのだ。
だが――――
「駄目だ。許可出来ない。詳しくは言えないが、まもなく救援が来る。それまで力を温存しろ」
美琴(ミコト)は提案を一刀両断にする。
王都奪還は可能か不可能かで言えばもちろん可能だ。
しかし、作戦の過程で多大な犠牲が出ることも間違いない。
それでは今日までなんの為に美琴が命懸けでこの街を守ったのか。
「む……美琴殿がそこまで言うのであれば従うが、食糧や物資の問題もある。あまり長くは待てん」
「ああ、それで良い。あと1週間待っても助けが来なければ、作戦を実行に移せばいい」
勇者の言葉に、各国首脳たちが準備に動き出す。
(ミコトさん、あんなこと言って大丈夫なんですか?)
『心配要らない……それに……いざとなれば……どうにでもなる』
不敵に微笑むミコトさんが怖い。
ま、まあ、ミコトさんがいれば大丈夫よね……ある意味敵より恐ろしいけど。
なんか魔王が味方にいるような安心感だわ。
『……美琴、敵よ、かなり強い……急いで』
「げっ、わかりました! 美琴行きます!」
***
「た、大変です!! 強力な敵が……」
「なんだと! 状況は?」
「はっ、現在勇者美琴様が交戦中。陽動の可能性があるので、七聖剣他皆さまは持ち場を動かないようにとの伝言です」
「わかった。全軍しっかり守りを固めろ。何か仕掛けてくるかもしれん。油断するなよ!」
「「「はっ!!!」」」
***
『ふん……ようやく出てきたか。貴様が散々計画を邪魔している元凶だな。俺はフォース、覚えなくて良いぞ。どうせすぐ死ぬのだから……』
美琴の前に現れたのは、金髪金眼のフォースと名乗る男。
「ミコトさん……あれって魔人ですよね?」
『そうみたい。頑張って』
初めて対面する魔人に気を引き締める美琴。
(この男、強い……でも、勝てないほどじゃないか……厄介なのは命が複数ある事ね)
鑑定によれば、この男、序列4位の魔人貴族だ。少なくとも10個の命を持っているはず。
魔人と戦うのは初めてだが、カケルのレポートのおかげで魔人の情報はある程度把握しているのは幸いだ。
(聖剣エクスカリバーなら、生命核を切断出来るはず……油断している今のうちに一撃で勝負をつける!!)
魔人の弱点である生命核の場所は分かっている。カケルに感謝しながら美琴は集中力を高めていく。
『ほお……俺と戦うつもりか? せっかくのレディからのお誘いだが、生憎時間が無い……』
『……魔魅了!!』
魔人フォースが発した言葉に、美琴の身体が動かなくなる。
(えっ……何これ!? 身体が動かせない)
『ふふふ、動けまい。相手の魔力を支配下に置くスキルだ。魔力が高い相手ほど効果があるからな! さあ、自ら己の心臓を突き刺して死ね!』
自分の意志に反して、身体が動かされてしまう。剣が正確に美琴の心臓に狙いを付けた。
(くっ、カケルさんに逢う前に死ぬわけにはいかないのよ!!)
剣が心臓を貫く直前で動きが止まる。伊達に勇者はやっていない。
『お見事! 大した精神力だ。だが残念、そこまでだ』
すでに接近していたフォースが大剣を振り下ろす。
動けない美琴に避けるすべはもはや無かった。
(ごめんなさい……カケルさん。私待てなかったよ……)
スローモーションで迫るフォースの刃。
だが、その刃は美琴の首には届かなかった。
『な、そんな馬鹿な……』
二本の指で大剣を挟んで受け止める美琴。
そのまま指を捻ると、パキンッと音がして大剣が折れた。
『あり得ん……オリハルコン製の剣が……』
美琴の瞳が真紅に染まり、溢れ出る力の奔流にフォースは身動きひとつ出来ない。
『……5秒だけ待つ。消えて』
先ほどまでとは違う圧倒的な恐怖がフォースを襲い、全身がガタガタ震え出す。
フォースは失禁してしまっていたが、本人にそれに気づく余裕は無い。殺される……その恐怖から逃れることしか頭には無かった。
『くそっ、覚えてろよ!』
典型的な悪役のセリフを残してフォースは消えた。おそらく転移を使ったのだろう。
「あ、ありがとうございます、ミコトさん。完全に死んだかと思いましたよ……」
『……もっと強くなれば良い』
「はい……でも良かったんですか? 手は出さないって言ってませんでしたっけ?」
『完全に正当防衛なのでセーフ』
「ははっ、でも助かりました」
『でも…………臭う』
「へ? ご、ごめんなさい! 汗臭かったですか?」
『……美琴の事じゃない』
(さっきの魔人……イリゼに確認しないと)
「そういえば、あの魔人転移使えるなら、ヤバいですよね?」
『大丈夫。マーカー付けたから』
「さっすが! 頼りになるミコトさん」
『ふふふ、それほどでもある。ほら、さっさと残りを片付けて!』
「はーい! 今日はダメダメだったんで頑張りますよ!!!」
『うん、終わったらさっきのスキルにやられないように特訓してあげる』
「やったー! これでまた完璧最強美少女に近づきますね。ふふっ」
(カケルさん……早く逢いたいです! 私、頑張ってますからね!)
ようやく見えてきたカケルとの出逢いに心踊らせる美琴であった。
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