異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
過ぎし日の憧憬
「……なるほど、ということは、そのイレブンとかいう奴が勝手に虐殺していたんだな? テンス」
『そうだ主。俺は戦うしか能がないからな。あくまでお飾りの指揮官だ。一応、俺がこっちに来てからは、意味の無い殺戮はしてねえよ。本国の命令だから連行はしたけどな』
「魔物のエサとして人々が殺されていると聞いたが?」
『そんな命令してねえよ! 馬鹿な連中が小遣い稼ぎで横流ししてるんじゃねえか?』
すでに俺の召喚契約魔人となったテンスに嘘はつけない。
であれば、本当のクズはそのイレブンとかいう奴だな。
「それで、そのイレブンは今は何処にいるんだ?」
『ガーランド侵攻の指揮をとってるよ』
***
テンスへの聴取を終えたあと、再び王宮に入る。
セレスティーナたちが変なハードルを上げたせいで大変気まずいが、やはりエストレジャさんとは会わねばならない。
「はじめまして、エストレジャさん。俺はカケル。異世界人でアルカリーゼのA級冒険者で子爵です」
「そして私とセレスティーナの婚約者でしょ」
左右からユスティティアとセレスティーナが腕をとって抱きついてくる。
はははっ、君たち人前ではしたないよ!? ほら、エストレジャさんがすごいジト目で見てるじゃないか。
「は、はははっ、貴方が呼吸をするように女性を落とすと噂の旦那様でしたか。確かに噂通りの御仁だ」
エストレジャさん……微妙に悪意……もといアレンジしてませんか!?
「そうだろう!! さすがは七聖剣だなエストレジャ」
セレスティーナさん、それ七聖剣関係あります!?
それに褒められてないよ!! 多分ね。
「おかげで助かりました。ゆっくりお話したいところではあるのですが、街の様子も気になりますし、先に脱出した宰相一行の安否も確認しなければ――――」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。ミヅハ? 姫?」
『はい、お兄様。街の魔人はすべて処理済みです』
『はいはーい! こっちも大丈夫! 早く来てね、黒髪の王子様!』
街の方はミヅハとソフィアたち冒険者ギルドが上手く処理してくれたようだ。
「あ、あの? 一体誰と話を?」
「すみません、仲間たちと念話というスキルで連絡を取れるんです。街の方は完全に解放完了しました。それから……ルナさんたちは、アルカリーゼに保護されているので、安心して下さい」
「そう…………ですか。ははっ、そうですか! 良かった……本当に良かった……」
安心したのか、崩れ落ちるように座り込み涙を流すエストレジャさん。
***
「それにしても、まさかお前が神剣を抜くとはな……」
驚き半分、羨ましさ半分でユスティティアがエストレジャさんをからかう。
「本当だぞ、私たちも含めて誰一人抜けなかったんだからな」
セレスティーナたち王族でも抜けなかったんだな。
「きっとアストレアの危機だったから、一時的に力を貸して下さったんですよ。その証拠にもう抜くことは出来ませんでした」
エストレジャの視線の先には、石畳に刺さったままの神剣があった。
「む、本当にビクともしないな。これは困ったぞ」
ユスティティアとセレスティーナが抜こうとするが、神剣はビクともしない。
このままでは結界が再起動出来なくなってしまう。
「ひょっとしたら旦那さまなら抜けるかも知れんな」
「確かに建国の始祖様も異世界人だったのだから可能性はあるかも知れない」
ユスティティアとセレスティーナが期待のこもった眼差しで見てくる。
うーん、異世界人関係ないと思うけど……
「分かった、やってみよう」
あらためて神剣を見る。
鑑定は出来ない。
ん? この剣のデザイン……見たことがある?
「どうしたんだ? 旦那様、神剣カケルシオンに何か気になることでも?」
神剣カケルシオン? アストレア?
そうか……そうかよ……
何で今の今まで気が付かなかったんだ……
「……セレスティーナ、アストレアを建国した英雄の名前を教えてくれないか?」
「? あ、ああ、アスト=ナガラガワだぞ」
***
あれは俺が小学生の時。
近所に住んでいた幼馴染みの親友は生まれつき身体が弱くて、俺たちはいつも部屋の中で遊んでいた。
「ごめんね駆、僕のせいでいつも家の中ばっかりでさ。本当は外で遊びたいよね?」
「何言ってんだよ、俺は明日人とこうやって絵を描いたりする方が好きなんだよ」
本心だった。俺はどちらかと言えば、絵を描いたり、粘土遊びをする方が好きだった。
小学校4年生の時、明日人は入院。
俺たちの遊び場は自然病室になっていた。
「見てよ駆、僕の将来の夢なんだ」
そう言って明日人が見せてくれたのは、夢の国のお話。
勇者の明日人が、世界を救い幸せいっぱいの王国を作るお話だ。
明日人が将来の夢と言ったその意味を当時の俺は気付けなかった。
「僕の作る国の名前はアストレア! 格好いいでしょ?」
「うん、すげぇ格好いい! 明日人、俺の名前も使ってくれよ」
「安心して、駆。ちゃんと用意してあるんだから。僕が使う最強の剣、その名もカケルシオン!! どう? 格好いいでしょ」
「お、おう。すげぇ格好いいけど、なんか恥ずかしいな」
「そんなことないよ。駆はいつだって僕を守ってくれたじゃない。僕にとっての英雄は君なんだから」
「な、なあ、明日人、俺もその国に住んでも良いか?」
「もちろんだよ。いつ駆が来ても良いように、頑張って良い国を、みんなが笑って暮らせる国を作らないとね」
そう言っていつものように別れたのが、最後だった。
そうか……叶えたんだな、夢。
知ってるか? 明日人、歴史上千年続いた国なんてほとんど無いんだぜ。
こんな危険で不安定な世界で……それがどんなにすごいことか。
お前が作ったシェルターや結界もちゃんとお前の国民を守ってたぞ。
すげぇ、お前はすげぇよ。
俺なんかより、何百、いや何千倍も強くて格好いいよ……
神剣カケルシオンの柄を掴み引き抜いた。
刀身が優しく光り文字が浮かび上がる。
『駆、ようこそアストレアへ!』
悪いな明日人、来るまでに千年かかっちまった。
「だ、旦那様……ど、どうしたのだ?」
「……なぜ泣いているのだ旦那さま?」
心配そうに俺を見つめる2人。
そうそう、明日人、こんどお前の子孫と結婚することになったら、お前とは親戚同士だな。
2人ともお前に似てとても優しい女の子だよ。絶対に幸せにする。そしてお前が作ったこの国は俺が絶対守ってみせるから安心してくれ。
「……なあ、ユスティティア、セレスティーナ。こんど聞かせてくれないか? 明日人がこの世界で何をしたのかを」
ユスティティアとセレスティーナは互いに顔を見合わせて微笑む。
「「はい、喜んで!」」
***
『……ごめんなさいね、カケルくん。同じ時代に送ってあげられなくて……』
涙ぐむイリゼに、隣に居た若い神がそっとハンカチを差し出す。
『大丈夫ですよ、イリゼ様。駆はそんなこと気にするような奴じゃないですから』
『うん、そうね……ありがとう、アスト』
『いいえ、こちらこそありがとうございました。気を遣っていただいて』
嬉しそうに微笑むアストと呼ばれた若い神。
(いつまでも待ってるからな駆。また一緒に遊べる日を)
『そうだ主。俺は戦うしか能がないからな。あくまでお飾りの指揮官だ。一応、俺がこっちに来てからは、意味の無い殺戮はしてねえよ。本国の命令だから連行はしたけどな』
「魔物のエサとして人々が殺されていると聞いたが?」
『そんな命令してねえよ! 馬鹿な連中が小遣い稼ぎで横流ししてるんじゃねえか?』
すでに俺の召喚契約魔人となったテンスに嘘はつけない。
であれば、本当のクズはそのイレブンとかいう奴だな。
「それで、そのイレブンは今は何処にいるんだ?」
『ガーランド侵攻の指揮をとってるよ』
***
テンスへの聴取を終えたあと、再び王宮に入る。
セレスティーナたちが変なハードルを上げたせいで大変気まずいが、やはりエストレジャさんとは会わねばならない。
「はじめまして、エストレジャさん。俺はカケル。異世界人でアルカリーゼのA級冒険者で子爵です」
「そして私とセレスティーナの婚約者でしょ」
左右からユスティティアとセレスティーナが腕をとって抱きついてくる。
はははっ、君たち人前ではしたないよ!? ほら、エストレジャさんがすごいジト目で見てるじゃないか。
「は、はははっ、貴方が呼吸をするように女性を落とすと噂の旦那様でしたか。確かに噂通りの御仁だ」
エストレジャさん……微妙に悪意……もといアレンジしてませんか!?
「そうだろう!! さすがは七聖剣だなエストレジャ」
セレスティーナさん、それ七聖剣関係あります!?
それに褒められてないよ!! 多分ね。
「おかげで助かりました。ゆっくりお話したいところではあるのですが、街の様子も気になりますし、先に脱出した宰相一行の安否も確認しなければ――――」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。ミヅハ? 姫?」
『はい、お兄様。街の魔人はすべて処理済みです』
『はいはーい! こっちも大丈夫! 早く来てね、黒髪の王子様!』
街の方はミヅハとソフィアたち冒険者ギルドが上手く処理してくれたようだ。
「あ、あの? 一体誰と話を?」
「すみません、仲間たちと念話というスキルで連絡を取れるんです。街の方は完全に解放完了しました。それから……ルナさんたちは、アルカリーゼに保護されているので、安心して下さい」
「そう…………ですか。ははっ、そうですか! 良かった……本当に良かった……」
安心したのか、崩れ落ちるように座り込み涙を流すエストレジャさん。
***
「それにしても、まさかお前が神剣を抜くとはな……」
驚き半分、羨ましさ半分でユスティティアがエストレジャさんをからかう。
「本当だぞ、私たちも含めて誰一人抜けなかったんだからな」
セレスティーナたち王族でも抜けなかったんだな。
「きっとアストレアの危機だったから、一時的に力を貸して下さったんですよ。その証拠にもう抜くことは出来ませんでした」
エストレジャの視線の先には、石畳に刺さったままの神剣があった。
「む、本当にビクともしないな。これは困ったぞ」
ユスティティアとセレスティーナが抜こうとするが、神剣はビクともしない。
このままでは結界が再起動出来なくなってしまう。
「ひょっとしたら旦那さまなら抜けるかも知れんな」
「確かに建国の始祖様も異世界人だったのだから可能性はあるかも知れない」
ユスティティアとセレスティーナが期待のこもった眼差しで見てくる。
うーん、異世界人関係ないと思うけど……
「分かった、やってみよう」
あらためて神剣を見る。
鑑定は出来ない。
ん? この剣のデザイン……見たことがある?
「どうしたんだ? 旦那様、神剣カケルシオンに何か気になることでも?」
神剣カケルシオン? アストレア?
そうか……そうかよ……
何で今の今まで気が付かなかったんだ……
「……セレスティーナ、アストレアを建国した英雄の名前を教えてくれないか?」
「? あ、ああ、アスト=ナガラガワだぞ」
***
あれは俺が小学生の時。
近所に住んでいた幼馴染みの親友は生まれつき身体が弱くて、俺たちはいつも部屋の中で遊んでいた。
「ごめんね駆、僕のせいでいつも家の中ばっかりでさ。本当は外で遊びたいよね?」
「何言ってんだよ、俺は明日人とこうやって絵を描いたりする方が好きなんだよ」
本心だった。俺はどちらかと言えば、絵を描いたり、粘土遊びをする方が好きだった。
小学校4年生の時、明日人は入院。
俺たちの遊び場は自然病室になっていた。
「見てよ駆、僕の将来の夢なんだ」
そう言って明日人が見せてくれたのは、夢の国のお話。
勇者の明日人が、世界を救い幸せいっぱいの王国を作るお話だ。
明日人が将来の夢と言ったその意味を当時の俺は気付けなかった。
「僕の作る国の名前はアストレア! 格好いいでしょ?」
「うん、すげぇ格好いい! 明日人、俺の名前も使ってくれよ」
「安心して、駆。ちゃんと用意してあるんだから。僕が使う最強の剣、その名もカケルシオン!! どう? 格好いいでしょ」
「お、おう。すげぇ格好いいけど、なんか恥ずかしいな」
「そんなことないよ。駆はいつだって僕を守ってくれたじゃない。僕にとっての英雄は君なんだから」
「な、なあ、明日人、俺もその国に住んでも良いか?」
「もちろんだよ。いつ駆が来ても良いように、頑張って良い国を、みんなが笑って暮らせる国を作らないとね」
そう言っていつものように別れたのが、最後だった。
そうか……叶えたんだな、夢。
知ってるか? 明日人、歴史上千年続いた国なんてほとんど無いんだぜ。
こんな危険で不安定な世界で……それがどんなにすごいことか。
お前が作ったシェルターや結界もちゃんとお前の国民を守ってたぞ。
すげぇ、お前はすげぇよ。
俺なんかより、何百、いや何千倍も強くて格好いいよ……
神剣カケルシオンの柄を掴み引き抜いた。
刀身が優しく光り文字が浮かび上がる。
『駆、ようこそアストレアへ!』
悪いな明日人、来るまでに千年かかっちまった。
「だ、旦那様……ど、どうしたのだ?」
「……なぜ泣いているのだ旦那さま?」
心配そうに俺を見つめる2人。
そうそう、明日人、こんどお前の子孫と結婚することになったら、お前とは親戚同士だな。
2人ともお前に似てとても優しい女の子だよ。絶対に幸せにする。そしてお前が作ったこの国は俺が絶対守ってみせるから安心してくれ。
「……なあ、ユスティティア、セレスティーナ。こんど聞かせてくれないか? 明日人がこの世界で何をしたのかを」
ユスティティアとセレスティーナは互いに顔を見合わせて微笑む。
「「はい、喜んで!」」
***
『……ごめんなさいね、カケルくん。同じ時代に送ってあげられなくて……』
涙ぐむイリゼに、隣に居た若い神がそっとハンカチを差し出す。
『大丈夫ですよ、イリゼ様。駆はそんなこと気にするような奴じゃないですから』
『うん、そうね……ありがとう、アスト』
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嬉しそうに微笑むアストと呼ばれた若い神。
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