異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
ユスティティア
(……どうやらある程度回復したようだな……)
半年前のあの日、休暇を楽しんでいたあの時、私がたまたま滞在していた町は魔物の大群に呑み込まれた。
倒せども倒せども、魔物は一向に減る様子もなく、むしろ増える一方だった。
私は生き残った人々を守りながら、どうにかこのシェルターに入ることが出来た。
シェルターが近くにあったこと、そして私が場所を知る立場だったのは実に幸運だった。
このシェルターは、遥か昔、異世界の勇者が各地に作ったとされている。
いざという時、避難所になるように、魔物除けと非常食が腐らない保存の結界が張られているのだ。
悪用を防ぐため、シェルターの場所を知っているのは各地の領主と町村の長だけ。
残念ながら、私たちの他に逃げ込めた者はいなかった。
無理もない。七聖剣の私がいてかろうじて何とかなったのだ、おそらく周辺の町村は全滅したと思われる。
シェルターに逃げ込んでから半年になるが、私は未だ動けずにいた。
半年前、シェルターに逃げ込む際、子どもを庇って大怪我を負ってしまったのだ。
幸い、シェルターには非常食に医薬品などが備蓄されており、私は回復に専念することが出来た。
懸念すべきは、半年経った今となっても、国から何の動きも見られないことだ。
シェルターが使用された場合、王都セントレアに連絡が入る仕組みになっている。にも関わらず動きが無いということは、
考えたくはないが、セントレアが滅んだ可能性、もしくは、それに近い危機的状況にある可能性があるということだ。
今はまだ大丈夫だが、備蓄されている食料にも限りがあるし、何よりも人々の精神的疲労が深刻だ。
このままでは早晩限界を迎えるに違いない。
「アイシャ、私は街まで行ってみようと思う」
「し、しかしユスティティア様、外は危険です!!」
「大丈夫だ。私ひとりならば遅れを取ることは無い。それにいつまでもこのままという訳にもいくまい」
王都セントレアが駄目となると、可能性があるのは、サウスレアだ。
サウスレアには、七聖剣が2人滞在していたはず。私も旅行がてら顔を出そうと思っていたから間違いない。
サウスレアならば、ここから南に向かえば2日、いや、私なら1日で行ける距離だ。行ってみる価値はある。
「ユスティティア様、どうかご無事で」
「ユスティティアさま、早く帰ってきてね」
アイシャや子どもたちに見送られてシェルターを出る。
良い結果を持ち帰れると良いのだが……
おかしい……シェルターを出てしばらく経つが、一向に魔物が現れない。
嫌な予感がする……危険地帯で魔物が現れない場合、それは――――
強力な魔物の縄張りになっているということ。
全神経を集中させ、油断無く進む。
(っ!? 魔物の気配! しかも強い)
周囲に姿は見えない――――上か!
上空にターコイズブルーの双翼を持つ魔物、ハーピィがこちらを見ている。
だが、あれは本当にハーピィなのか?
対峙しただけで分かる。災害クラスの強さを持っているのは間違いない。以前戦ったドラゴンと同じかそれ以上かも知れない。
ひょっとしたら奴が魔物のボスなのか? ならば、ここで倒さねばなるまい。
むっ、仲間を呼ぼうとしている!
先手必勝、一撃で仕留める。
『グラビティサンダーボルト!!』
巨大な落雷がハーピィを貫く。
私のユニークスキル重力操作によって動きを阻害された敵にサンダーボルトを撃ち込む必殺のコンボだ。躱すことは不可能。飛行型の魔物には悪夢のような攻撃となる。
地上に落ちてくるハーピィに素早く接近する。
(……ちっ、あれでまだ生きてるとは化物め……)
『重力軽減、重力増大、重力拘束……』
自分にかかる重力を軽減し、刃に重力を乗せて加速、さらに相手には重力をかけ動きを封じる。
地上に落ちたハーピィにトドメの一撃を思い切り全力で撃ち込む。いかな強力な魔物でも跡形も無くなる程の一撃だ。
「な…………馬鹿な……」
ユスティティアの一撃は直前で止められた。
しかも……素手で。
「悪いな、スズカゼは俺の大事な召喚獣なんだ。殺さないでやってくれ」
突然現れて、素手で私の一撃を受け止めた黒目黒髪の青年。
「……お前、まさか異世界人か?」
「ああ、俺はカケル。異世界から来た男だ」
(あーびっくりした、転移したらいきなり攻撃されたからな。俺じゃなかったら、確実に消し炭になってたぜ)
「……お前、まさか異世界人か?」
「ああ、俺はカケル。異世界から来た男だ」
あれ、この人って……マジかよ! 鑑定して驚いた。だって――――
「ほう……本物のようだな。よし、お主、私を思い切り殴れ!」
「へ? な、何を言って――――」
「いいから早くしろ!」
「本当に良いんですか? どうなっても知りませんよ?」
「構わん、早く、さあ早く!」
仕方ないので適当に殴るか。さすがに顔は避けないと不味いけど。
ダメだ、ドキドキが止まらない。
黒目黒髪の青年、夢にまで見た本物の異世界人だ。しかも私の渾身の一撃を素手で受け止めてしまった。
ああ……あの屈強な拳で殴られてみたい。
きっと全身が壊れるような衝撃を得られるに違いない。想像しただけでたまらない。
だから、思い切っておねだりしてしまった!
「ほう……本物のようだな。よし、お主、私を思い切り殴れ!」
もう我慢出来ない……
「へ? な、何を言って――――」
「いいから早くしろ!」
お願い早く!
「本当に良いんですか? どうなっても知りませんよ?」
「構わん、早く、さあ早く!」
来て! 思い切りその拳で!
「ぐふぅ!?」
き、来た〜! 全身に落雷を受けたような衝撃が走る。
か、かはっ、き、気持ちいい〜!
「お、お願い、もう1回だけ……」
「え、えぇ……!?」
結局、3回も殴ってもらっちゃった!
「あ、あの、ユスティティア様、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫ではないが、満足だ……悔いは無い」
「全く……はい、これ飲んで下さい。元気になりますから」
ユスティティア様に神水を飲ませる。
「お、おお……身体が元通りに! よし、これでまた――――」
「ダメです!! もうしませんからね!」
「…………けち」
「可愛く言ってもダメです!」
プラチナブロンドの髪にブルートパーズの瞳。セレスティーナを少しだけ大人っぽくしたような女性の名は、
ユスティティア=アストレア
アストレア王国第1王女にして、七聖剣筆頭、セレスティーナのお姉さんだった。
半年前のあの日、休暇を楽しんでいたあの時、私がたまたま滞在していた町は魔物の大群に呑み込まれた。
倒せども倒せども、魔物は一向に減る様子もなく、むしろ増える一方だった。
私は生き残った人々を守りながら、どうにかこのシェルターに入ることが出来た。
シェルターが近くにあったこと、そして私が場所を知る立場だったのは実に幸運だった。
このシェルターは、遥か昔、異世界の勇者が各地に作ったとされている。
いざという時、避難所になるように、魔物除けと非常食が腐らない保存の結界が張られているのだ。
悪用を防ぐため、シェルターの場所を知っているのは各地の領主と町村の長だけ。
残念ながら、私たちの他に逃げ込めた者はいなかった。
無理もない。七聖剣の私がいてかろうじて何とかなったのだ、おそらく周辺の町村は全滅したと思われる。
シェルターに逃げ込んでから半年になるが、私は未だ動けずにいた。
半年前、シェルターに逃げ込む際、子どもを庇って大怪我を負ってしまったのだ。
幸い、シェルターには非常食に医薬品などが備蓄されており、私は回復に専念することが出来た。
懸念すべきは、半年経った今となっても、国から何の動きも見られないことだ。
シェルターが使用された場合、王都セントレアに連絡が入る仕組みになっている。にも関わらず動きが無いということは、
考えたくはないが、セントレアが滅んだ可能性、もしくは、それに近い危機的状況にある可能性があるということだ。
今はまだ大丈夫だが、備蓄されている食料にも限りがあるし、何よりも人々の精神的疲労が深刻だ。
このままでは早晩限界を迎えるに違いない。
「アイシャ、私は街まで行ってみようと思う」
「し、しかしユスティティア様、外は危険です!!」
「大丈夫だ。私ひとりならば遅れを取ることは無い。それにいつまでもこのままという訳にもいくまい」
王都セントレアが駄目となると、可能性があるのは、サウスレアだ。
サウスレアには、七聖剣が2人滞在していたはず。私も旅行がてら顔を出そうと思っていたから間違いない。
サウスレアならば、ここから南に向かえば2日、いや、私なら1日で行ける距離だ。行ってみる価値はある。
「ユスティティア様、どうかご無事で」
「ユスティティアさま、早く帰ってきてね」
アイシャや子どもたちに見送られてシェルターを出る。
良い結果を持ち帰れると良いのだが……
おかしい……シェルターを出てしばらく経つが、一向に魔物が現れない。
嫌な予感がする……危険地帯で魔物が現れない場合、それは――――
強力な魔物の縄張りになっているということ。
全神経を集中させ、油断無く進む。
(っ!? 魔物の気配! しかも強い)
周囲に姿は見えない――――上か!
上空にターコイズブルーの双翼を持つ魔物、ハーピィがこちらを見ている。
だが、あれは本当にハーピィなのか?
対峙しただけで分かる。災害クラスの強さを持っているのは間違いない。以前戦ったドラゴンと同じかそれ以上かも知れない。
ひょっとしたら奴が魔物のボスなのか? ならば、ここで倒さねばなるまい。
むっ、仲間を呼ぼうとしている!
先手必勝、一撃で仕留める。
『グラビティサンダーボルト!!』
巨大な落雷がハーピィを貫く。
私のユニークスキル重力操作によって動きを阻害された敵にサンダーボルトを撃ち込む必殺のコンボだ。躱すことは不可能。飛行型の魔物には悪夢のような攻撃となる。
地上に落ちてくるハーピィに素早く接近する。
(……ちっ、あれでまだ生きてるとは化物め……)
『重力軽減、重力増大、重力拘束……』
自分にかかる重力を軽減し、刃に重力を乗せて加速、さらに相手には重力をかけ動きを封じる。
地上に落ちたハーピィにトドメの一撃を思い切り全力で撃ち込む。いかな強力な魔物でも跡形も無くなる程の一撃だ。
「な…………馬鹿な……」
ユスティティアの一撃は直前で止められた。
しかも……素手で。
「悪いな、スズカゼは俺の大事な召喚獣なんだ。殺さないでやってくれ」
突然現れて、素手で私の一撃を受け止めた黒目黒髪の青年。
「……お前、まさか異世界人か?」
「ああ、俺はカケル。異世界から来た男だ」
(あーびっくりした、転移したらいきなり攻撃されたからな。俺じゃなかったら、確実に消し炭になってたぜ)
「……お前、まさか異世界人か?」
「ああ、俺はカケル。異世界から来た男だ」
あれ、この人って……マジかよ! 鑑定して驚いた。だって――――
「ほう……本物のようだな。よし、お主、私を思い切り殴れ!」
「へ? な、何を言って――――」
「いいから早くしろ!」
「本当に良いんですか? どうなっても知りませんよ?」
「構わん、早く、さあ早く!」
仕方ないので適当に殴るか。さすがに顔は避けないと不味いけど。
ダメだ、ドキドキが止まらない。
黒目黒髪の青年、夢にまで見た本物の異世界人だ。しかも私の渾身の一撃を素手で受け止めてしまった。
ああ……あの屈強な拳で殴られてみたい。
きっと全身が壊れるような衝撃を得られるに違いない。想像しただけでたまらない。
だから、思い切っておねだりしてしまった!
「ほう……本物のようだな。よし、お主、私を思い切り殴れ!」
もう我慢出来ない……
「へ? な、何を言って――――」
「いいから早くしろ!」
お願い早く!
「本当に良いんですか? どうなっても知りませんよ?」
「構わん、早く、さあ早く!」
来て! 思い切りその拳で!
「ぐふぅ!?」
き、来た〜! 全身に落雷を受けたような衝撃が走る。
か、かはっ、き、気持ちいい〜!
「お、お願い、もう1回だけ……」
「え、えぇ……!?」
結局、3回も殴ってもらっちゃった!
「あ、あの、ユスティティア様、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫ではないが、満足だ……悔いは無い」
「全く……はい、これ飲んで下さい。元気になりますから」
ユスティティア様に神水を飲ませる。
「お、おお……身体が元通りに! よし、これでまた――――」
「ダメです!! もうしませんからね!」
「…………けち」
「可愛く言ってもダメです!」
プラチナブロンドの髪にブルートパーズの瞳。セレスティーナを少しだけ大人っぽくしたような女性の名は、
ユスティティア=アストレア
アストレア王国第1王女にして、七聖剣筆頭、セレスティーナのお姉さんだった。
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