異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

閑話 勇者のモテ期到来?

 私は勇者美琴。元トップアイドルの美少女よ。世界を救うため、日々魔物と戦いを繰り広げているの。


「勇者美琴、どうか私の妻になって欲しい!」


 戦いには慣れたが、こちらは無理。連日連夜のプロポーズの嵐とか。最初は嬉しかったけど、だんだん面倒になってきた。


 そこらの有象無象なら聞き流すことも出来たんだけど、最近は、各地から避難してきた王族が参戦するようになってきたからね。


 例えば、今夜は――


「こんな気持ちになったのは、初めてなんです美琴姫」 


 そう愛をささやくのは、クロード=アルゴノート第2王子。この人クロエのお兄様だよね……白銀に輝く銀髪の超美形。


 もふもふの狼耳とフサフサの尻尾がたまらない。あ〜、触りたい、もふもふしたい!


「そう。こんな嫌な気持ちになったのは、初めて」


 崩れ落ちるクロード王子。


 み、ミコトさん、もう少し言い方ってものがあるのでは? 


(変に期待を持たせては駄目……)


 はぁ……もふもふが……




 次の晩――


「貴方が他の男と話しているのが耐えられないんだ、どうか俺のものになってください」


 美しい青髪に、優しい紺色の瞳。クリストハルト=クリスタリア、クラウディアのお兄さん。


「私をもの扱いする貴方の価値観が耐えられない。どうか永遠に目の前から消えて」


 崩れ落ちるクリストハルト王子。


 クラウディアと顔を会わせ辛くなるから止めてあげて!?


 その翌晩――


「……必ず手に入れる、国も貴方も!」


 力強く宣言するのは、大国アストレアの第1王子セレスティノ=アストレア。つまりセレスティーナのお兄様。プラチナブロンドに、ブルートパーズの瞳、まさに理想的な王子様。




「貴方の手に落ちるぐらいなら、私は世界を滅ぼす、国も、貴方も」


 崩れ落ちるセレスティノ王子。


 えっ、なにコレ? これが噂の乙女ゲーってやつ? どうしよう……全員本物の王子様、超絶イケメンたちが、私を巡って争うなんて。なんだか、かぐや姫になった気分だわ――なんて酔いしれる間も無く、私のモテ期は終わった。


 そして今夜も――


「諦めなさい。私は路傍の石ころほどにも興味が無い」


 ……ミコトさん、容赦無いですね……なんか、ほら、勿体無い気が……いえ、何でもありません。


 ふぇ〜ん、カケルさん、早く私を迎えに来てよ。早く来てくれないと、淋しくて死んじゃうかも知れないよ? それに、ほら、私モテモテだし? ひょっとしたら、他の男に――って、痛い、痛い! ミコトさん、冗談ですって。



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