異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

空飛ぶ魔物をみつけましょう

「はい、貴方あーん。ほら……お口が汚れてるじゃない。ふふっ」




『ねえ……あれってエヴァだよね?』
『他の誰に見えるのよ! でもなにあの変わりよう……口調まで違うんだけど』
『くっ、貴方だと……、もう妻気取りかエヴァのやつ』
『……セレスティーナ、あなたがそれをいいますか』 


 甲斐甲斐しくカケルの世話を焼くエヴァの豹変ぶりに一同騒然となる。


 俺以外の人間と話すときは、今まで通りのエヴァなんだけど、俺といるときは、ご覧のとおり完全に幼な妻モード全開だ。まあ、どっちのエヴァも可愛いから構わないけど器用なもんだね。




***




「――というわけで、飛行型の魔物を探そうと思う。飛べる召喚獣を増やして各地に飛ばせば、一気に調査範囲が広がるし、救助を待っている人たちを発見出来るかもしれない。丁度良い依頼とかないかな? クラウディア」


 今日ミヅハと検証した転移の新しい可能性をみんなに説明している。なぜここにセレスティーナとサクラとクラウディアがしれっといるのかに関しては、今更なのでツッコまない。


「明日確認するけど、この辺って飛行型の魔物があまりいないのよね……」


 クラウディアが悔しそうにつぶやく。そりゃ早く母国の様子を知りたいよな…… 


「出来れば、ワイバーンとかグリフォンみたいのがいいんだけど……」
「なんでまたそんな物騒な魔物限定なのよ……」


 シルフィがジト目で睨んでくる。


「えっ、格好良いからだけど?」
「…………はぁ」


「旦那様、そもそも、そんなのが近くにいたら、街が大変なことになってるぞ」


 セレスティーナのおっしゃる通りだな。となると多少は妥協する必要があるかもしれない。


「じゃあ、飛べる魔物なら、この際何でもいいや。誰か知らないかな?」
「この辺だと、スカイゴブリンかウイングゴブリンかしらね……」


 カタリナさん、ゴブリンって飛べるの!? ところでスカイとウイングの違いは何なの? 別に知りたくもないけどさ!


「却下です。Gに関わりたくはありません」
「Gってなんだ、カケルっち? それなら少し遠いけど、オークフライとオークバタフライの生息地が最近発見されたらしいぜ」


 セシリアさん……オークもお腹いっぱいなんですよ。なにその、オークフライって料理みたいな名前? バタフライの方は、オークに蝶の羽が生えてるのか、蝶の顔がオークなのか……どっちにしろ、おえ-。


「そいつらも却下です。もっと可愛いのいないんですか?」
「貴方様ってば、変なところでこだわるんだね」


 精神衛生上、見た目は大事なんだぞ、サラ。なんせ一度契約したら消せないし。夜にオークバタフライに出会ったら、トイレに行けなくなる自信がある。


「貴方、それなら父に話して吸血鬼の罪人を送らせたらどう? 生きていてもしょうがない連中だし、みんなの役に立てた方が良いと思うの」


 エヴァの気持ちは嬉しいが、それは最後の手段だな。時間もかかるだろうし。


『お役に立てず申し訳ございません、お兄様。水の魔物や眷族は飛ぶことが出来ませんので……』


 ミヅハは何も悪くないんだよ。悪いのは全部ゴブリンとオークだ。


 しかし、まさか本当にゴブリンとオークの2択しかないのか?


 誰もが諦めかけたその時、救いのもふもふ天使が現れた。


「御主兄様、そう言えば、西から来た冒険者が、ハーピィの話をしていました」 


 ハーピィ! いるじゃないか、カワイイのが。良くやったクロエ! 


 クロエの頭を撫でまくる。どさくさに紛れてもふもふの狼耳も堪能する。クロエも尻尾をブンブン振って嬉しそうだ。最近言ってなかったけど、うん、かわいいかわいい。


「か、カケル様、そういわれてみれば、ハーピィを思わせる被害が届いているわ。まだ内容を精査中で依頼としては貼り出していないけれど」


 そう言って頭を差し出すクラウディア。


 もちろん撫でますとも。さらふわな青髪を撫でるとクラウディアも気持ち良さそうに目を閉じてうっとりしている。


「ぐぬぬ、サクラ! 何か情報は無いのか?」
「ありませんよ、セレスティーナ様。それに、もしあったとしても、ご褒美は私のものですけど?」


「とにかく、明日ギルドへ行って依頼を受けようと思うんだけど、どうかな?」
「「「「異議なし!!」」」」


「じゃあ、黒の死神が依頼を受けるってことで進めるわね」
「ありがとう、クラウディア。頼りにしている」


 パーティメンバー全員賛成で、ハーピィの依頼を受けることが決まった。


***


「ところで主様、私もソフトクリームとやらを食べてみたいのですが……」
「もちろんだ、ソニア。ちゃんとみんなの分もあるからな」 


 さっきからソニアがそわそわしていると思ったら、食事中に話したソフトクリームのことが気になっていたらしい。


 シルフィとサラ以外は初めてだからな。喜んでもらえたら良いけどな。


***


「御主兄様……これはもはや食べものではありません!! 美味し過ぎます」


 いや、食べ物ですよ。


「旦那様、これは危険だ。我々騎士団で管理する必要があると思うのだが……」


 溶けちゃうと思います。


「はううう、美味しい! 王子様の味がします」


 ……いや、しないから。


「主様、主様、主様……」


 ソニア!? 壊れるほど美味しかったの?  


「貴方……食べさせて欲しいの」


 エヴァ……ソフトクリームよりお前のほうが甘々だな。


「ちょ、ちょっと待って、心の準備が……」


 しないからシルフィ、ここであんなことしないから!? サラも早く口の周り拭くっ!!


 ふう……危ない危ない、こんなところでおっぱじめたら大変なことになるよ。




 突然、背中をつんつんされて振り向くと、にやにやしながらカタリナさんがそっと耳打ちする。


「ねえ……カケルくん? サラから聞いたんだけど、お口の中も綺麗に――」
「ストップ! すとーっぷ、カタリナさん」


 あわててカタリナさんの口をふさぐ。


「フフフ……このことを黙っていて欲しかったら、大人しくラビを貸し出すことね。帰ってきてるんでしょ?」


 くっ、なぜ知っているんだ。せっかく今夜はラビともふもふナイトフィーバーするつもりだったのに。


「わ、わかりました。仕方がありませんね。ラビは後で部屋に届けに行きます」
「取引成立ね。待ってるわ、カケルくん……」


 ウインクするカタリナさんにドキッとするが、彼女が待っているのはラビなんだよな。




 夕食後いったん部屋に戻り、その後、ラビを納品するためカタリナさんの部屋へ向かった。




  

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