異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
私だけを見て
「――なるほど、そういうことでしたら、こちらはいかがでしょう?」
そう言ってこの服飾店『シルクの翼』の店主が並べてくれたのは、耐火性に優れた火鼠と防刃性の高い鎖蛇の皮を使った服とドレスの数々。
店主のドミニクさんは、実用性とデザイン性を兼ね備えた作品を生み出す凄腕デザイナーで、出来る女といった雰囲気のドワーフ族の女性だ。黄色い髪とやや浅黒い肌の組み合わせが、そこはかとない色気を感じさせる。
ドワーフ族の女性は、手先が器用で、服飾系の職についていることが多いらしい。背が若干低い以外に人族との違いはほとんどない。胸が牛並みなことを除いて。
二人は、嬉々として服を選んでは、試着室に入っている。やっぱり女性は買い物が好きだよな。
特にサラなんかは、ずっと間に合わせの服だったから、嬉しそうだ。
「あらあら、あんな美少女に熱心に見てもらえると、デザイナー冥利に尽きるわ。おふたりともまるで何処かのお姫様みたいね」
はい、正真正銘のお姫様です。
「それにしても、二人とも貴方の婚約者なんでしょう? 貴方なかなかやるわね」
「そうですけど、何で婚約者って分かったんですか?」
「エルフの女性が、貴方様って呼ぶのは婚約者か夫だけなのよ。夫婦って感じじゃなかったから、婚約者かなって思ったのよ、英雄様。ところで……まだ席は残っているのかしら?」
げっ、さすがに黒目黒髪じゃバレるよな。
ドミニクさんが熱を帯びた視線を向けたまま、俺の手を取り胸の谷間に差し込む。何してるんですか、ドミニクさん!? 柔らかい感触と、ほのかに汗ばんだの肌の温もりにドキドキしてしまう。
くっ、だが甘いですよ、ドミニクさん、残念ながら俺は微乳好きです。そんな攻撃効かな――な、なんだ? 俺の意思(表向き)に反して腕が動こうとしない。指は自由に動かせるというのに。左右からの重量感たっぷりの圧力のせいか? だが俺には物理無効がある。とすれば、精神支配系の可能性も? 動けッ、俺の右腕!!
「ドミニクさ〜ん! ちょっと見てもらって良いですか?」
「あら、残念。ちょっと失礼しますね、英雄様」
う、動くぞ! 俺の右腕が動く。やはり精神支配系か。ドワーフ族恐るべし。
現在、二人が試着室で着替えている。気に入った服を俺に見て貰いたいらしい。
だが、不味いな……俺の聴覚は、二人の着替えの状況を鮮明に教えてくれる。へ、変態じゃないからな! このペースだと、着替え終わるのも同時。そうなった時、俺はどちらを見れば良い? 感覚を共有しているとはいえ、いや、共有しているが故に、選ばれなかった方に悲しい思いをさせてしまうかもしれない。
イリゼ様に頂いた力、今使わずして一体いつ使うというのか?
【女神の祝福】 スキルが発現しやすくなる。
俺は願う。必要な力を。願う想いが強いほど、イメージする力が強いほど、スキルは発現しやすくなるはず。
『並行動作を記憶しました』
【並行動作】 同時に複数の動作を行うことができる。(神級スキル)
やった、これで二人同時に見ることができる。ありがとうイリゼ様。
「貴方様、着替え終わりました。み、見ていただけますか?」
「ボクも終ったよ、見て見て貴方様!」
予想通り、同時に着替え終えるシルフィとサラ。
(……貴方様は、私とサラ、どちらを先に見てくれるのかしら……感覚を共有しているから、どちらでもいいことはいいんだけど、やっぱりね……)
(貴方様は、きっとシルフィを先に見るだろうな……だって、出会ったのも先だし、名前を呼ぶ時もいつもシルフィが先。わかってる、それに意味なんてないって。でも……)
「「お願い、私だけを見て……」」
二人の感覚が共有されているからこそわかる。あり得ないことだが、カケルは確かに二人を同時に見たのだ。
幸せな想いは、いつだって2倍になる。嬉しい気持ちだって二人分だ。
シルフィとサラが幸せそうな笑顔で胸に飛び込んでくる。なんで泣いてるんだよ二人とも。
「……二人ともすっごく似合ってる。おとぎ話のお姫様だって裸足で逃げ出すと思うよ」
「「貴方様~好き、大好き!!」」
……うんうん、かわいいかわいい。でもな、それ試着品だって忘れてない?
「……すみません。ドミニクさん、これ両方いただきます」
涙でぐちゃぐゃになったからな、買わないという選択肢はない。似合ってて良かった。
「ふふふ、大変ね。あまり見せつけないでもらえると助かるけど」
ドミニクさんは呆れたように息を吐く。
結局、予備の服やドレス、戦闘時の下着など、オーダーを含めて金貨20枚分購入した。
二人のためなら安いものだと思うよ。
「たくさんのお買い上げありがとうございます!! またの御来店お待ちしております」
ドミニクさんはとても良い笑顔だ。
そして、去り際に俺の耳元で一言、
『今度はひとりでいらしてね、いつでも待ってるわ』
えっ、この世界ってエロゲーじゃないよね? 教えてイリゼ様!?
『……ンなわけ無いでしょ!! 違うよカケルくん』
ひとりツッコミを入れるイリゼ。
『イリゼ様、保管庫の神級スキルが一つ足りないのですが……』
『ああ、それなら私が使いました。問題ないわ』
(まったく世話が焼けるんだから……今回だけだからね、カケルくん)
そう言ってこの服飾店『シルクの翼』の店主が並べてくれたのは、耐火性に優れた火鼠と防刃性の高い鎖蛇の皮を使った服とドレスの数々。
店主のドミニクさんは、実用性とデザイン性を兼ね備えた作品を生み出す凄腕デザイナーで、出来る女といった雰囲気のドワーフ族の女性だ。黄色い髪とやや浅黒い肌の組み合わせが、そこはかとない色気を感じさせる。
ドワーフ族の女性は、手先が器用で、服飾系の職についていることが多いらしい。背が若干低い以外に人族との違いはほとんどない。胸が牛並みなことを除いて。
二人は、嬉々として服を選んでは、試着室に入っている。やっぱり女性は買い物が好きだよな。
特にサラなんかは、ずっと間に合わせの服だったから、嬉しそうだ。
「あらあら、あんな美少女に熱心に見てもらえると、デザイナー冥利に尽きるわ。おふたりともまるで何処かのお姫様みたいね」
はい、正真正銘のお姫様です。
「それにしても、二人とも貴方の婚約者なんでしょう? 貴方なかなかやるわね」
「そうですけど、何で婚約者って分かったんですか?」
「エルフの女性が、貴方様って呼ぶのは婚約者か夫だけなのよ。夫婦って感じじゃなかったから、婚約者かなって思ったのよ、英雄様。ところで……まだ席は残っているのかしら?」
げっ、さすがに黒目黒髪じゃバレるよな。
ドミニクさんが熱を帯びた視線を向けたまま、俺の手を取り胸の谷間に差し込む。何してるんですか、ドミニクさん!? 柔らかい感触と、ほのかに汗ばんだの肌の温もりにドキドキしてしまう。
くっ、だが甘いですよ、ドミニクさん、残念ながら俺は微乳好きです。そんな攻撃効かな――な、なんだ? 俺の意思(表向き)に反して腕が動こうとしない。指は自由に動かせるというのに。左右からの重量感たっぷりの圧力のせいか? だが俺には物理無効がある。とすれば、精神支配系の可能性も? 動けッ、俺の右腕!!
「ドミニクさ〜ん! ちょっと見てもらって良いですか?」
「あら、残念。ちょっと失礼しますね、英雄様」
う、動くぞ! 俺の右腕が動く。やはり精神支配系か。ドワーフ族恐るべし。
現在、二人が試着室で着替えている。気に入った服を俺に見て貰いたいらしい。
だが、不味いな……俺の聴覚は、二人の着替えの状況を鮮明に教えてくれる。へ、変態じゃないからな! このペースだと、着替え終わるのも同時。そうなった時、俺はどちらを見れば良い? 感覚を共有しているとはいえ、いや、共有しているが故に、選ばれなかった方に悲しい思いをさせてしまうかもしれない。
イリゼ様に頂いた力、今使わずして一体いつ使うというのか?
【女神の祝福】 スキルが発現しやすくなる。
俺は願う。必要な力を。願う想いが強いほど、イメージする力が強いほど、スキルは発現しやすくなるはず。
『並行動作を記憶しました』
【並行動作】 同時に複数の動作を行うことができる。(神級スキル)
やった、これで二人同時に見ることができる。ありがとうイリゼ様。
「貴方様、着替え終わりました。み、見ていただけますか?」
「ボクも終ったよ、見て見て貴方様!」
予想通り、同時に着替え終えるシルフィとサラ。
(……貴方様は、私とサラ、どちらを先に見てくれるのかしら……感覚を共有しているから、どちらでもいいことはいいんだけど、やっぱりね……)
(貴方様は、きっとシルフィを先に見るだろうな……だって、出会ったのも先だし、名前を呼ぶ時もいつもシルフィが先。わかってる、それに意味なんてないって。でも……)
「「お願い、私だけを見て……」」
二人の感覚が共有されているからこそわかる。あり得ないことだが、カケルは確かに二人を同時に見たのだ。
幸せな想いは、いつだって2倍になる。嬉しい気持ちだって二人分だ。
シルフィとサラが幸せそうな笑顔で胸に飛び込んでくる。なんで泣いてるんだよ二人とも。
「……二人ともすっごく似合ってる。おとぎ話のお姫様だって裸足で逃げ出すと思うよ」
「「貴方様~好き、大好き!!」」
……うんうん、かわいいかわいい。でもな、それ試着品だって忘れてない?
「……すみません。ドミニクさん、これ両方いただきます」
涙でぐちゃぐゃになったからな、買わないという選択肢はない。似合ってて良かった。
「ふふふ、大変ね。あまり見せつけないでもらえると助かるけど」
ドミニクさんは呆れたように息を吐く。
結局、予備の服やドレス、戦闘時の下着など、オーダーを含めて金貨20枚分購入した。
二人のためなら安いものだと思うよ。
「たくさんのお買い上げありがとうございます!! またの御来店お待ちしております」
ドミニクさんはとても良い笑顔だ。
そして、去り際に俺の耳元で一言、
『今度はひとりでいらしてね、いつでも待ってるわ』
えっ、この世界ってエロゲーじゃないよね? 教えてイリゼ様!?
『……ンなわけ無いでしょ!! 違うよカケルくん』
ひとりツッコミを入れるイリゼ。
『イリゼ様、保管庫の神級スキルが一つ足りないのですが……』
『ああ、それなら私が使いました。問題ないわ』
(まったく世話が焼けるんだから……今回だけだからね、カケルくん)
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