異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

孤独な戦い

「カケルさん、おかえりなさい!」 


 フリアが飛びついてくる。


「すまないな、マルコスさん。いきなり連れてきてしまって」


「いいえ。カケル様のお連れ様でしたら、当家のお客様です。どうか遠慮などなさらぬよう」


 ロマンスグレーの敏腕執事が恭しく頭を下げる。


 本当は宿屋に泊まってもらおうと考えていたが、クロエが屋敷に連れて行った方が良いと言うので、全員連れて来た。まあ、明日は朝からギルドにいかなければならないので、その方が助かるのだが――


「なんで、あんた達まで来てんだよ!」


「えー、だって一緒に戦うんだから、寝食をともにするのは当然でしょ?」
「うむ。別にカルロス家の食事が目当てでは断じてないぞ」


 なぜかウサネコのみなさんまでついてきやがった。ほんとすいません、カルロスさん。


***


「ははは、それにしても賑やかで楽しいですな。やはり食事は大勢に限る」


 カルロスさんは、気にした様子もなく、上機嫌に笑う。


「それにしても、カケルさん、今度はオークを相手に大活躍でしたな。なんでも一日でC級冒険者になったとか? 伝説の英雄と同じ時代に生きることができて光栄の極みです」


「いいえ、カルロス様、こんなのは序の口です。なんたって御主人様は世界を救う男ですから」


 げっ、クロエさん……もしかして聞こえてました?


「おおっ、それは失礼いたしました。いや本当に頼もしいですな」


 フリアたちから、オークとの戦いの話をねだられたり、みんな上機嫌で、美味しい食事と楽しい時間を過ごすことができた。でも、みんな話盛り過ぎだ。俺そんなカッコいいこと言ってないし、美化しすぎで恥ずかしいんだけど。


 ――と、ここまでは良かったんだが、いや良くないか。男性陣みんなで風呂に入ったせいで、ウサ耳天国が味わえなかったのは痛恨……。みんなで入る風呂は楽しかったけどさ。


 問題は寝る時に起こったんだ。寝る時の部屋割で揉めに揉めた。


「御主人様と同じ部屋で寝るのは、メイドの仕事ですから」


 いや、クロエさん……そんな仕事ないから。


「貴方様と一緒に寝るのは、婚約者たる私たちの務めです」


 いや、シルフィさん……いつの間に婚約者になってるの。たちってサラも?


「ダーリンはそんな器の小さい男ではないわ! みんなで寝ればよかろう」


 エヴァさん……なに勝手に決めてんすか。


 結局、全員俺の部屋で寝ることになった。マリアナさんたちが、若いっていいわねうふふ、みたいな目でみてくるし、良く分からないが、なぜかフリアまで一緒に寝るはめになった。


「カケルくん……私、枕が変わると眠れない人なの。お願い」
「なんか楽しそうだから、私も一緒に寝るぞ」


 ついでに、カタリナさんとセシリアさんまでやってきた。うん、もう諦めたよ。まあ、カタリナさんには、ラビを出しとけば問題ないだろう。






 一時間後――いかん……全く眠れない。良い香りが充満していて、柔らかい感触が全身を刺激してくる。くそっ、絶倫スキルのせいか? あのオークどもめ。このままでは、明日のクエストに支障がでるじゃないか。たすけて、ミコえもん! そ、そうだ、ミコトさん手製の寝袋があったじゃないか。


 だが、どうやってリュックまで行けばいいのかわからない。両手両足全てがしっかり拘束されていて、身動きが取れない。傍からみれば天国だろうが、当事者からすると拷問地獄だ。


 召喚獣に取りに行かせようにも、あいつら揃いもそろってデカブツだ。早く小型の召喚獣を手に入れないと。そう心に誓う。


 ひとりひとり、順番に拘束を外していく必要があるけど、どうしてもいろいろ当たってしまうし、無防備な寝姿が目に入ってしまう。くっ、これが異世界の修行というやつなのか……たしかにこれを乗り越えられれば、神になれるかもしれない。


 最初は、クロエか……スレンダーな引きしまった身体に控えめな双丘が俺の好みド真ん中だ。個人的にはCが限界といえる。クロエの銀髪はさらさらで、ほのかに甘いミルクの香りがする。精神耐性スキルをフル稼働させて、なんとか引きはがしに成功する。


 次は、エルフの双子か……さすが二人揃うとS級の戦闘力だ。耐性があるはずの俺の精神ががりがり削られてゆく。シルフィのシャインマスカットのようなさわやかな香りとサラのスパイシーな香りが混然一体となり、俺の意識を奪っていくのだ。しかも二人ともBという、対カケル特効の強力な得物を装備している。絶望的な戦いだったが、ゴブリンやオークのスプラッターな記憶を引き出すことで、なんとか勝利することが出来た。


 次はエヴァか……比較的御しやすい相手だと油断していた過去の自分を殴ってやりたい。エヴァは寝相が悪いのか、全裸だ。柔らかい感触がダイレクトに伝わってくるだけではなく、吸血鬼特有の体温の低さで、少しひんやりして気持ちが良い。さらに畳みかけるように、魅了スキルまでもってやがるから始末に負えない。まさにラスボスといっていいだろう。これは勝てない、そう思った瞬間、エヴァはお腹が空いたらしく、寝ぼけてテーブルへ移動して行った。ふう……危なかったぜ。


 最後に首に抱きついているフリアをそっと引きはがしてミッションコンプリート。俺に挑むなら、5年後に出直すといい。ボーナスステージだったな。


 幸いセシリアさんはEだし、何故か床で寝ているので華麗にスルー。


 それにしても、みんな気持ちよさそうに眠ってるな……この世界の人たちは、良くも悪くも自分の欲望に忠実で、気持ちを真っ直ぐ伝えてくる人が多い。俺はそういうの好きだけど。


 リュックには、ラビが乗っかっていた。……何してんのお前。


 ラビを押しのけると、今度は、カタリナさんが抱きついてくる。しまった、全く気付かなかった……何かのスキルか?


『気配遮断を記憶しました』


 カタリナさんの豊満な感触に耐え、リュックから寝袋を取りだす。精神耐性がなければ危なかったぜ。


 邪魔が入る前に、寝袋に潜り込む。すると、あっという間に眠気が襲ってくる。さすが神製。おやすみなさい、すや~。 






 

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