異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

騎士団長の旦那様

「君がカケル君だね。私がこのプリメーラの領主アルフレイドだ。オーク討伐の件、見事だった。私からも心から礼を言わせてもらうよ。いやぁ、実は君に早く会いたかったんだよね」


 うーん、すごいイケメンだ。おまけに無茶苦茶強い。さすが四聖剣とかいう格好良い称号を持っているだけあるな。とにかく第一印象が大事だから、しっかり挨拶しておかないと。


「はじめまして、アルフレイド様。冒険者のカケルです。まだ来たばかりですが、すでにこの街と街の人々が大好きです。この街に拠点を置かせていただきますので、よろしくお願いいたします」


「うんうん。カケル君は嬉しいことをいってくれるね。むしろ、こちらからお願いしたいぐらいだよ。君のことはカルロスから聞いてる。拠点に関しては、私も全面的に協力しているから、楽しみにしていてくれ」


 どうやら、カルロスさんが、事前に話をしてくれていたらしい。ほんと、お世話になりっぱなしだな。


 そして、もう一人のプラチナブロンドの騎士団長は、一度見かけたことがある。ロナウドさんが、ゴブリンの件を報告していた人だ。すごく感じの良い人だったけど、まさか騎士団長だったとは。


「は、はじめまして、せ、セレスティーナだ。よろしくお願いする。だ、旦那様」


 騎士団長が噛みまくりながら、真っ赤な顔で自己紹介する。へ?何言ってるのこの人?


「「「「「「「……は? 旦那様?」」」」」」」  


 皆が一斉にこちらを見る。いや、知らないよ。今日初めて会ったし。


「御主人様……いつの間にセレスティーナに手を出したんですか?」
「カケル様、セレスティーナとどういう関係なんでしょうか?そういえば昨日も様子が変だったような」
「さすが貴方様です。あの名高いプラチナの破壊者まで、すでに攻略済みとは」
「貴方様~、いくらなんでもペース早すぎない?もう乗る場所残ってないよ?」
「妾は、別に何人いても構わんぞ。英雄色を好むじゃからな」


 だ、駄目だ、女性陣は聞く耳もってなさそう。男性陣も、そんな目で見ないで!!
 そ、そうだ、領主様、助けて領主様!


「カケル君、はっきり言おう。私は男として、君に負けたよ……完敗だ。悔しいがね」


 がっくりと膝をつき崩れ落ちるアルフレイド様。え……なに、あなた四聖剣なんでしょ?なに勝手に負けてんの? 意味がわからないんですけど……。


「だ、旦那様? 私は騎士団を辞めた方がいいだろうか? し、新居は私に払わせてくれ。貯金ならたくさんあるからな」


 騎士団長様? 駄目だ……正気を失ってやがる。双璧がこんなんで大丈夫なのかプリメーラ!! あれ、ギルマスまで遠い目をしてるね。俺たち何してたんだっけ……。




***




「ごほん、すまんな旦那様、ちょっと取り乱してしまった」


 申し訳なさそうに謝るセレスティーナ騎士団長。凛々しくてカッコいいんだけど、旦那様は続けるのね。まだちょっと顔赤いけど、正気に戻ったみたいで良かった。


「それで、前倒しする計画のことなんだけど、エスペランサ砦を拠点に、東側諸国の調査を開始しようと考えている」


 アルフレイド様も復活したようでなにより。


 説明によると、以前よりエスペランサ砦以東の調査を計画していたらしいのだが、今回戦力が揃ったことで、実行するチャンスと考えたらしい。仮に生き残っている都市があった場合、食料などを考えると今がぎりぎりのタイミングになるというのもあるそうだ。


「東側諸国の状況は絶望的と考えてたんだけど、シルフィ殿下は、東の領域を抜けてこられたんですよね?」
「ええ、ガーランド王国は一部の里がオークによって滅ぼされましたが、まだ持ちこたえております。アルフレイド様」


「となると……まずはガーランド王国へのルートを確保した方がいいかな?」


「うむ、そうすれば、両国で共同作戦も可能になり、より調査もはかどるかもしれん」


 その後の話し合いの結果、エスペランサ砦から、シルフィたちの国ガーランドまで遠征することが決定した。成功すれば、東側諸国の調査が飛躍的にすすむ可能性が出てくる。


「申し訳ないのだが、準備を早急に進めるため、カケルとウサネコには、西の森のゴブリンどもの殲滅を頼みたい」


 ギルドマスターからの新たな依頼は西の森か。それにしても、ウサネコで通じるんだな。パーティ名ウサネコに変えればいいのに。


「旦那様、敵の本拠地は、騎士団の方で、ある程度絞り込めている。案内は騎士団にまかせて欲しい」


 本当は、ゴブリンの拠点への攻撃は、騎士団主体で行うことになっていたが、騎士団は、東への遠征に集中させたほうがいいという判断だ。


「カケルくん、また一緒だね。よろしく~」
「カケル、また旨いソーセージ食わせてくれよ」


 仮に、Aランク魔物のゴブリンキングがいたとしても、カタリナさんや、セシリアさんたちウサネコパーティーと一緒なら安心だな。


「シルフィたちはどうする? 街で待っていても構わないが……」


「もちろんご一緒させていただきます」 
「私もお役に立ってみせます」
「ボクも行くよ」
「パートナーなのだから当然一緒じゃ」


 聞くまでもなかったか。このメンバーじゃ過剰戦力な気もするけど。


「全員参加だな。では、明日の朝、この部屋に集合してくれ。受付には話を通しておく。今日は疲れているところ悪かったな」


 ギルドマスターが、解散を告げる。


「旦那様、少し時間をもらえないだろうか?」


 別れ際、セレスティーナに声をかけられた。


 皆は先に1階の飲食スペースに行ってもらい、セレスティーナと二人きりになる。


 聞けば、隣国アストレアは、建国以来、王族が異世界人と婚姻を結ぶことで栄えてきた歴史を持ち、王女であるセレスティーナも小さい頃から、黒目黒髪の英雄のお嫁さんになることを夢見てきたのだという。


 いつ現れるかわからない異世界人との結婚は、本人的には決定事項であったらしく、縁談はすべて拒否。このアルカリーゼに留学しに来たのも、しつこい縁談から逃げる側面もあったらしい。結果的にそのおかげで生き残れたわけだが。


 もし、異世界人が現われなかったらどうするつもりだったのか聞いてみたら、その時は生涯独身を通すとの答えだった。なんか男前でカッコいいけど、俺なんかでごめんなさいという気持ちになる。


 俺にセレスティーナの行動を止める権利もそのつもりもない。好意は喜んで受け止めるし、なるようにしかならないとも思っている。そのうち呆れられるかもしれないしな。




「旦那様、本当に感謝する。おかげで、ようやく東領域の調査ができる」 


 綺麗な角度のお辞儀をするセレスティーナ。これじゃ騎士というよりも武士だな。


「異世界の礼儀作法と習ったのだが、おかしくないだろうか?」


 不安そうに聞いてくるセレスティーナ。そうか……わざわざ気を遣ってくれたんだな。


「おかしくなんかないです。完璧なお辞儀でしたよ」
「そ、そうか。それならば良かった」 


 ホッとしたように微笑むセレスティーナ。本当に綺麗な人だな。


「そもそも、俺に礼なんて不要ですよ。報酬もちゃんともらってますし」


「そんなことはない。旦那様がプリメーラに来た事で、全てが動き出したのだ。黒目黒髪の英雄の元には英傑が集うと聞く。本当だったのだと理解させられた」


 うっ、否定出来ない状況ではあるな。


「……正直に言えば、私はもう諦めかけていたのだ。調査どころか、砦を守るので精一杯の現状に。もちろん、希望は捨てていないが、時間だけが絶望的に過ぎてゆく」


 セレスティーナは身体を震わせ、涙が頬を伝う。


「セレスティーナさん……」
「す、スマン。みっともない所を見せた」


「みっともなくなんかないですよ。とても格好良いと思いました」


 この人も同じだ。クロエやクラウディアと同じ顔をする。


「セレスティーナさん、いや、セレスティーナ。大丈夫だ、俺がこの世界に来た以上、何も心配いらない。全部まとめて救ってやるさ」


「だ、旦那様……」 


「とりあえず、明日は西の森を片付けるぞ。それと、俺の前では我慢しなくて良いからな」


 セレスティーナは俺の胸の中で、しばらく子どものように泣いて去って行った。


 いくら強くたって、まだ17歳の女の子だ。国を失い、異国の地で、弱気を見せる暇も相手もいなかったんだろうな。


 俺は駄目だな。みんな助けてやりたくなる。みんな手に入れたくなる。ほんと見境なしの強欲野郎だ。


(ミコトさん……逢いたいよ。異世界マジ半端ない)


『ん、今、カケルが私の事考えてる』
「スゲェ、ミコトさんマジ神様みたい」


『フフフ、カケルの事は全て見ているから……イリゼが』


天界某所


「まったく、何が悲しくて私がカケルくんの監視なんてしなきゃなんないのさ! あ、また女が増えた! うぅ、私、結構忙しいんですけど」








 

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