異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

精霊に愛されしもの

 神水を飲ませながら、あらためて彼女をみる。


【名 前】シルフィ=ガーランド(女)
【種 族】 エルフ族
【年 齢】 37
【身 分】 神聖ガーランド王国第一王女
【職 業】 精霊使い
【状 態】 良好


【レベル】 77
【体 力】 3968
【魔 力】 9777
【攻撃力】 2536
【耐久力】 2183
【素早さ】 4405
【知 力】 8997
【幸 運】 90


【スキル】 精霊魔法(風)風魔法(上級)精霊語 森の癒やし 礼儀作法〈10〉


【加 護】 精霊の加護(精霊に愛されしもの) 


(エルフの王女様か……) 


 先ほどから風の精霊が、シルフィの周りを心配そうにくるくる飛び回っている。精霊魔法を覚えたことで、精霊の姿や声が聞こえるようになったらしい。


「心配ない。今、神水を飲ませたから、直ぐに目を覚ますよ」 


 そう言って、風の精霊の頭を撫でると


『ありがとう。シルフィを助けてくれて』


 風の精霊は嬉しそうに微笑み頬にキスしてくれた。そよ風に撫でられたようで、少しくすぐったい。


 俺は普通にシルフィに触れているが、本来精霊は嫉妬深く、加護を与えたものに近づく異性を強力に排除する。


 死神の加護という上位の加護を持っていなかったら、オークのように輪切りにされていたかもしれない。


 精霊に愛されしものになれば、精霊の力を自由に行使出来る。


 精霊魔法には、魔力が必要ないので、ほぼ無限に魔法を行使できることになり、その力は、一国の騎士団を凌ぐと言われているが、その代償として、精霊に愛されしものは生涯伴侶を得るどころか、異性に触れることも難しい。


 精霊に愛されしものとは、得難い祝福であるとともに、呪いでもある。


(でも、助かったのはこちらもなんだよな)


 実際、シルフィが乱入してくれなかったら、ヤバかった。統率スキルで強化されたオークたちに召喚獣たちは早晩殺られていただろうし、オークジェネラルのようなスキルに頼らない物理特化型とは相性最悪だった。


『レベルが上がりました』


 こうしている間にもレベルが上がる。


 召喚獣たちには、オークの掃討を命じている。統率を失った以上、後れを取ることはないだろう。仮に、やられてもスケッチブックに戻るだけだから心配ない。


「う……うーん」 


 シルフィが目を覚ます。


 尖った耳と翡翠色の髪と瞳。苦労してここまで来たのだろう。ボロボロだった身体も髪も、すっかり美しさを取り戻している。


「助けていただき、ありがとうございました。あ、あの、わ、私はいったい?」


 シルフィは真っ赤になってわたわたしている。加護のせいで、異性に免疫がないのかもしれない。凛とした雰囲気とのギャップが可愛らしい。


「俺はカケル。異世界人で、プリメーラの冒険者だ。シルフィの怪我は治したから、そろそろ降ろすよ」


 シルフィは自分がお姫様抱っこされていた事に気付いて、顔から湯気が出るほど赤くなる。


「あ……本当に治ってる。あ、あの、貴方様は異世界人なのですか?」


「ああ、でも、話は後にしよう。まだオークは残っているし、捕まっている女性たちも助けなきゃならない。シルフィも、何か目的があったんだろ?」


「そ、そうでした。早くサラを助けないと」


 シルフィがはっとしたように真剣な表情になる。


『主、クロエ様と複数の冒険者らしき気配が近づいていますうさ』


 クロエが? きっと無理して駆けつけてくれたのだろう。ありがたい。女性たちの救護に人手が必要だ。


「ラビ、お前がクロエのところへ行ってくれ。他の皆は一旦戻す。冒険者に攻撃されるかもしれないからな」


『主、わかったうさ』


 ラビを残してシュタルクたちをスケッチブックへ戻す。離れた場所へ召喚することは出来ないが、戻すのは離れていても可能だ。


「シルフィ、行こう。捕まっているお姫様を助けに」


「ええ、貴方様」 


 力強く返事を返すシルフィだが、その貴方様って何? 呼ばれたこと無いから違和感がすごい。


 シルフィと集落の中心を目指す。もちろん、通りすがりに魂を回収するのも忘れない。この人何してんだろう? っていうシルフィの視線に耐えながら。


「シルフィ、驚かないで欲しいんだけど、今からオークジェネラルを召喚する。俺には倒した魔物を召喚獣として使役できるスキルがあるんだ。そいつで、情報を聞き出そうと思う」


 シルフィにとっては、先ほどまで戦っていた憎い敵だ。申し訳ないとは思うが。


「そんなスキルが……わかったわ、敵がサラを連れ去った目的が分からない以上、仕方ない。罠が仕掛けてあるかもれないし」


 シルフィも納得してくれたみたいで良かった。


 素早く絵を描き上げ、召喚する。


【ランク】 A  
【名 前】 クラウス
【種 族】 オークジェネラル
【年 齢】 5
【状 態】 契約カケル


【レベル】 60
【体 力】 14960
【魔 力】 0
【攻撃力】 14880
【耐久力】 14850
【素早さ】 7980
【知 力】 647


【スキル】 統率 威圧 剛力 絶倫 繁殖


 うわあ……まさに化け物じみた強さになってる。主の方が弱いってどうなってんの。


「クラウス、案内してくれ」


『わかった主よ。こっちだ』


 集落の地下へ案内するクラウス。シルフィは、信用できないのか、警戒しながらついてくる。


 地下は思ったより深く、広かった。一番奥の部屋まで来ると、クラウスが足を止める。


『ここにエルフの娘がいる。シルフィ殿は見ない方がいいかもしれない』


 罠は無いそうなので、シルフィを待たせて俺が先に入る。


「うっ……うげぇっ」


 あまりの凄惨な光景に思わず嘔吐してしまう。


 巨大な浴槽のようなものに、女性の死体が詰め込まれており、腐った血で満たされている。


 その中心にシルフィに似たエルフが吊り下げられていた。あれがサラか。


 身体は死体風呂に漬けこまれているため、顔しか見えない。死んではいないようだが……


(なんて酷いことを……これは確かにシルフィには見せられないな)


 吐き気をこらえながら、サラを死体風呂から助け出す。


 サラの身体は、恨みをもって死んでいった女性たちの怨念で穢されており、精霊の加護が弱まるのと同時に怒りや憎悪の念が強まっているのがわかる。このままだと、サラの精霊が悪霊に堕ちてしまう。


 サラに神水をかけて清めていく。死体風呂も神水のおかげで浄化されていった。何度でもいうが、神水すげえよ。ありがとうミコトさん。







コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品