異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

クロエと街でお買いもの

「無事登録出来て良かったですね。そういえば、カケル様は角ウサギをご存知ですか?」


「いや、全く知らない。どんな魔獣なんだ?」


「見た目は角の生えた巨大なウサギです。角さえ注意すれば危険はありませんが、大食いで繁殖力がすごいので、見かけたら殲滅が推奨されています」


「ふーん。ゴブリンのウサギ版って感じだな」


「さすがにゴブリンと一緒にされたら可哀想です。角ウサギはとっても美味しいんですから」


「角ウサギって食えるのか。よしっ、後でいっぱい狩ろうぜクロエ」


「はいっ! いっぱい狩りましょうね。カケル様」


 しっぽをぶんぶん振るクロエが可愛くて辛くなってきた。意地でもクロエに美味いウサギを食べさせてやりたくなる。買い物ついでに、料理スキルでも覚えていくか。


「クロエ、この辺りで腕のいい料理人がいる店ないか?出来れば調理しているところが見たいんだが」


「食べるのではなくて、見るのですか? はい、いいお店がありますよ。あそこです」


 ギルドがある大通りは、人通りも多く、たくさんの店が軒を連ねている。クロエが指差した方をみると、人だかりができている。どうやら調理のパフォーマンスが売りの店のようだ。


 近くに行ってみると、金髪のイケメン料理人がすごい勢いで食材を切り鉄板で調理している。


『料理スキルを記憶しました』


 よしっ、料理スキルゲット。見た目は派手だけど腕は確かなようだ。今度食べにこよう。


「クロエ、ありがとう。次は調味料とか、調理器具を買おう」


「カケル様、今日は色々買い物されるのですよね。ご予算などございますか?」


 あっ……浮かれてて予算伝えるの忘れてたな。ついでに相場も確認しておくか。


「えっと……とりあえず、これぐらいで足りるかな?」


 リュックから、金貨を10枚取り出して見せる。


「……十分過ぎます。では、この国の通貨について説明いたしますね……」


 クロエに聞いた感じだと、この国の通貨の価値は大体以下の通り、




 聖金貨 : 1億円 


 白金貨 : 1000万円


 大金貨 : 100万円


 金 貨 : 10万円


 大銀貨 : 1万円


 銀 貨 : 1000円


 大銅貨 : 500円


 銅 貨 : 100円


 鉄 貨 : 10円




 日常生活の中で使われるのは金貨までで、貴族の取引などでは、大金貨や白金貨がつかわれることもある。聖金貨は王家などからの褒章として発行されるものであり、勲章的な側面が強い。もちろん通貨として使用できるが、聖金貨を手放すことは貴族にとって非常に不名誉なこととされるため、流通することは極めて稀だ――とクロエが説明してくれた。 


 なるほど、金貨1枚で10万円か……俺、金貨だけで1000枚以上持ってるんだけど、いきなり金持ちになってしまったのか。まあ、あって困ることはないからな。


 安物買いの銭失いともいうし、ケチらず良いものを買うことにする。


「クロエ、予算は潤沢にあるから、しっかりした良いものが買いたい。案内してくれ」


「かしこまりました。それでは一流店を中心に回りましょう」


 最初に案内されたのは、食料品店。各種調味料や保存食等、所狭しと並んでいる。


「いらっしゃいませ! あら、クロエちゃんじゃない。どうしたの?そんな可愛らしいメイド服なんか着て?」


「それに……貴方が男性と一緒に買い物なんて、もしかして恋人かしら?」


 妙齢の女性店主に突っ込まれて、クロエは顔を赤くして否定する。


「ち、違います。この方は、私の御主人様です。今日はメイドとして買い物に参りました」


 ……事実なんだけど、否定されると地味に傷付くな。


「ご、御主人様? まあ、なんでもいいわ。買い物して貰えるなら大歓迎……私はカミラよ、宜しくね」


 ニヤニヤしながらウインクしてくるカミラさん。紫紺の瞳に見つめられると、何故かドキドキしてしまう。フードを取って挨拶する。


「カケルです。この街に拠点を置くことになったので、これからお世話になると思います。宜しくお願いします」


『魅了のスキルを記憶しました』


 えっ、何か素敵なスキル覚えたんだけど、カミラさんって、サキュバスなの?


 とりあえず鑑定。


【名 前】 カミラ(女)
【種 族】 半魔族(人族/淫魔族)
【年 齢】 37
【身 分】 プリメーラ領民
【職 業】 食料品店店主
【状 態】 良好


 ……マジでハーフサキュバスだった。スゲェな異世界。男のロマンが現実に!


「あら、黒目黒髪……もしかして、異世界の方かしら?」


「はい、一昨日来たばかりですが」 


「素敵! 知り合えて光栄ですわ。それに……とても可愛らしくてタイプだし」


 カミラさんの視線に一層熱がこもる。俺が魅了のスキルを手に入れてなかったら抵抗できない程の色気だ。


「だ、駄目です! カミラさん! そうやって誘惑しないで下さい」


 クロエが間に割り込んでくる。


「えーっ、別に良いじゃない。クロエちゃんの恋人って訳じゃないんでしょ?」


 カミラさんが、クロエをからかうと、クロエが毛を逆立て睨みつける。狼なのに猫みたいだな。


「ふふふ……分かったわ。今日はこれ以上はしません。クロエちゃんに嫌われたら大変だもの」


 そういいながらも、こっそり耳打ちしてくるカミラさん。


(いつでもお待ちしております。今度はぜひ、お一人で……)


 ……機会があったら、ぜひ行きたいと思う。主に調味料が目的で。




 料理スキルのおかげで、必要な調味料や調理方法はすぐにわかる。とりあえず、必要と思われる調味料や食材は全部買っておこう。


 結局、全部で金貨3枚分も買ってしまった。別にカミラさんのせいではない。必要だからだ。


 カミラさんは思いがけない売上にホクホク顔だ。次回サービスしてくれるって。期待している。




「カケル様……そんなに買ってどうなさるんですか? 必要ならば、後でお屋敷に届けさせますが」


 店を出た後、クロエが呆れた様子で尋ねてくる。


「大丈夫だ。見てろクロエ。きっと驚くぞ」


 購入した品をリュックに放り込んでいくと、クロエが唖然とした表情でその様子を眺めている。


「ぜ、全部入ってしまいましたね……。さすがカケル様です。このクロエ、感服いたしました」


「すごいだろ。ちなみにコレ、重さも感じないんだ」


「……すごいのは理解しましたが、この量では使い切る前に痛んでしまうのではないですか?」


「それも大丈夫だ。このリュックの中の時間は止まってるから、鮮度が落ちない」


「…………さすがカケル様です。これなら、いつでも新鮮なウサギ肉が食べられますね!」


 クロエは、考えるのを止めて、前向きに受け止めることにしたようだ。素晴らしい。


「というわけで、荷物の心配はいらないから、早く買い物を済ませて、ウサギ狩りに行こう」


「はいっ、カケル様。では次は調理器具ですね」


 俺たちはその後1時間ほどかけて買い物を済ませ、ウサギ狩りの為、南門へ向かった。 







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