アリーの冒険所 1 【1説】

マスター・アリー (アリー・マスター)

【13章 お兄ちゃんは優しい?】 愛編

 ハナとラバとも離れ、研究室からも出て、アリーと二人になった。
「いたっ。」
肩と肩がぶつかっていたっと言ってしまった。誰かにぶつかった。誰だろう…。
「あっ…、もしかして、お兄ちゃん…?。」
その人はニコッと微笑んで、
「ピンポーン♪。ごめんね、気づいて欲しくてわざとぶつかっちゃった♪。」
「えー…。お兄ちゃん、普通に声かけてよ…。」
「えへへ、ごめんごめん。お兄ちゃん、久しぶりに妹の愛に会えて嬉しいよ♪。」
そういうと、私のことを力強く抱きしめた。
「あっ、ちょ、やめて!。」
「うわー…。」
アリーは引き気味な顔をしていた。じ、地獄…。
「へー、ウィズクリスタルなんだ。」
抱きしめた時に、私が書類を落としてしまい、お兄ちゃんは素早く書類を手に取っていた。
「愛って偉い子だねぇ。全属性って、お兄ちゃんと同じじゃないか!。」
「えっ、そうなの?。」
「そうだよ♪。やっぱり、兄妹は似ていないとね♪。あっ、そうだ!。お兄ちゃんがいつも使っている部屋行こうか!。んー、アリーちゃんは来ても来なくてもどっちでもいいよー。」
「なんで私の名前を…、私はやめておくよ…。」
「ふーん。そっか!。なら、愛行くよー!。」
「えっ、えっ、きゃー!!!。」
「はい、着いた!。お兄ちゃん、瞬間移動的なこともできるんだ♪。スカートめくれてたけど、お兄ちゃん以外には見えてないから心配しないでね♪。」
この野郎…。って思ってしまうが、やめておこう。
「この部屋はなんなの?。」
偉い人の部屋みたいな感じで、大きく横に長いテーブルに椅子が置いてあった。書類も少しテーブルに置いていた。
「改めて、愛、久しぶり♪。この部屋はね、お兄ちゃん専用の作業部屋だよ。ここで、いろんなお仕事をしてるんだ♪。」
「へー。」
「お兄ちゃん、1年間待ってたんだよ。でも、また会えてお兄ちゃん嬉しい♪。愛も嬉しいよね?。」
「う、うん!。こんな世界に来たら、もう一生会えないだろうなって思ってたよ。」
「まあ、お兄ちゃんがこの世界に呼んだんだけどね♪。」
「えっ、なんかありがとう…。今日、日本にいる時、会いたいなって思っていたんだ。会えて嬉しいよ!。お兄ちゃん。」
目を滅多に開かないお兄ちゃんは目を開いて嬉しそうにしていた。
「…わあ!。お兄ちゃんも本当に嬉しい♪。世界一愛してるよー!!!。愛ー!。」
 そう、もうお気づきだろう、私のお兄ちゃんは『シスコン』なのだ。

 お兄ちゃんは私の手を引っ張って、椅子に座らせた。
「まあ、ここに座って。お兄ちゃんはここに座るから。」
お兄ちゃんはテーブルの真ん中にある椅子に座った。向かい合わせだった。
「愛の書類と請求額ちゃんと読ませてね…。」
本当に謎だ。なんで毎回書類見る時もご飯食べる時とかもずっと目を閉じているのかな…。
「あっ、目を瞑っているのが気になるって?。」
「えっ、バレてた?。」
「もちろんだよ♪。お兄ちゃん、目瞑ってても周り見渡せるんだ。」
「そんなことできるの?。」
「だって、お兄ちゃんの能力はいろいろあるからね。そのうち教えてあげるよ。へー、57ラルも取られちゃうのか…。」
「お、お兄ちゃん…少し手伝っ…。」
「ダメ!。自分たちで払って!。」
ハナと同じこと言ってる…。やっぱ、そうだよね。これからが、怖いな…。
「でもね、お兄ちゃんらしいとこは見せたいから、生活費はだしてあげる!。」
「えっ、本当?。」
「本当だよ。辛そうにしている愛を見たくないもん。もちろん、アリーちゃんの分もだしてあげる。」
「ありがとう!。お兄ちゃん。」
私は、満面な笑みを見せた。
「今の愛は最高に可愛いね!。」
「えへへ♪。」
「まあ、とりあえずこのふたつを渡しておくね。」
封筒とバイト募集中な店がいっぱい書いてあるものを渡してきた。
「このふたつは、"アリーちゃんと一緒にいる時に一緒に見てね"。」
「う、うん…。」

【続く】

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品