アリーの冒険所 1 【1説】

マスター・アリー (アリー・マスター)

【9章 変な人】愛編

 『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!。』
 いきなり、近くの部屋から叫び声が聞こえた。恐る恐る声が聞こえる方へ行ってみると、綺麗な茶髪のボサボサロングの髪で白いワンピースに黒白のネクタイリボンを着けている女の子がいた。
 少し、様子を見ることにした。
 ドアからチラリと見ていくうちに、その子はだんだんおかしくなって言った。
『私は、前まで神様だったのにぃいぃぃ!!。』
この子はいったい何があったんだ…。
『私の名前が思い出せない…、どうすればいいんだ…私は。』
なんだろう、すごく心配になってきた。
 恐る恐る部屋に入っていって、その子に近ずいた。
「あ、あの〜…、大丈夫ですか?。」
その子は私の方へ振り向き、私の肩をガシッと掴んで
「お前、私の名前を知っているのか?それとも、私の敵か?。」
と言った。前髪が長めで少しだけ目が見えているのがさらに不気味。
「初対面で貴方の名前知ってるわけないでしょ。敵なわけないし…、初対面で貴方のことをわかるなんてありえないですよ!!。」
 あんまり、人と関わりのない私は人間関係が上手く出来ずに口が悪くなったりしてしまう。直したいのだけども…。
 その子はびっくりした顔をしている。
「ありえない…。」
「ん?。ありえない?。」
「私の名前は…、アリーだ!」
さらに私の肩を強くガシッと掴んで
「ありがとう!。お前のおかげで自分の名前が思い出せた!。お前の名前は?。」
「えっ、天野愛だけど…。まあ、名前思い出せて良かったね…、ははっ…。」
「愛か!。よろしくな。」
そう言い、アリーはニコッと笑った。
 さっきまで、目付きが鋭かったのに笑った時は本当に可愛いんだなぁ。女の子って感じ。
「こちらこそ、よろしくね!。アリーちゃん。」
「アリーちゃん…?。アリーでいいよ。」
「そっか、じゃあ、アリーって呼ぶね。」
「これから、私達は友達ってやつだな!。私、友達いないから愛と初めての友達になる!。」
そうアリーが言うと、手を繋いで私もアリーもニコッと笑った。学校で友達がいなかった私にとって友達ってのは新鮮だった。だけど、『裏切られるかも。』とどうしても思ってしまう気持ちがあって、実は不安。でも、アリーとは絶対に仲良くしたい。気が合わなそうな気もするけど、お互い初めての友達として仲良くしたい。
「うん!。私もアリーと初めての友達になるね。これから仲良くしようね♪。」
「うん!、よろしくな。」
 いきなりアリーの見た目とかの話になっちゃうけど、アリーはすごいボーイッシュで声も低めでいい声してる。うん、本当にね。それに、全体的に落ちついてるからいい雰囲気を出してる。クールな美人というのは確か。でも、今の見た目じゃ他の人に見られると怖がられそう…。最低でも、前髪だけでも切ってもらわないと…。でも、私散髪とかできないし…。
「アリーって名札つけてないんだね。」
「名札?。なんだそれ。」
「なんか、この城では名札がないと立ち入り禁止みたいな感じになっててさ。」
「へー。名札って、愛が胸に付けてるやつか?。」
「そうだよー。制服姿だから、もっと学生みたいに見えるよね。まあ、学生なんだけどさ。」
1人で少し笑ってて、アリーに少し不思議な目で見られて後々恥ずかしくなった。
「なぁ、愛。」
「なに?。」
「私…最近かもわからないけど、ここに飛ばされてきたみたいで。周りの状況も自分のことも、愛が言ってることもたまあにわからなくなるんだよ。定期的に頭が痛くなるし…。」
「もしかして、それって記憶喪失てきなの?。」
「そうかもしれないんだよ。でも、昔は神だということは覚えている。トラウマとかも少し覚えて…、でも、他のことは全く思い出せなくて。」
どうしても嘘に聞こえる発言もあったが、あえて言わずに言葉を飲みこんだ。
「ならさ!、私達友達だから、アリーがわからないこと私がわかる限りのことなら教えてあげるよ!。」
「本当か!。ありがとう!、さすが愛だな。友達になって良かったよ。」
アリーは最高の笑みで、私に飛びこんで抱きしめてきた。
「おっとっと、急だなぁ…まあ、よろしくね。」
そして、私も軽く抱きしめた。

 何秒か経って抱きしめていた体を緩めて、アリーはまた、不思議な顔をした。
「なあ、愛。さっき言ってた名札の事なんだが…。」
「ああ、そのことね。名札多分作れるよ!、すぐに!、ほら、一緒に行こ!、裁判所があるんだ。」
私は、あの時のハナのようにアリーの手を少し強く握って、裁判所へ向かった。
「おい!。愛!!!。待ってよ!。」
「大丈夫!、すぐ近くだから。」
 3分くらいアリーのことを引っ張って走った。手を離し、振り返って
「もうついたよ!、後は3つの質問に答えるだけだよ。」
と自信気に言った。特に、自慢することないけど。
「そ、そうか…。でも、愛。もう終了ってなんかの紙に書いてあるぞ。」
アリーは看板を指差し私に言った。
「あっ…。ちょっと裁判官に頼んでくる!、それに、この紙は看板って言うんだよ!覚えておいてね、アリー。」
 よくわかっていないのかアリーは唖然としていた。なんか申し訳ないけど、すぐにいろんな言葉いろんなこと教えてあげないとまともに話せなさそう。とりあえず、関係者に聞いてくることにした。

コンコン  「失礼しまーす。」

「急になんでしょうか。」
 その声は先程、裁判で会ったフレ・ストーム様だった。やっぱ、いつ見ても美しいなぁ…。
「だから…。なんなんですか?。」
「あっ、その…名札作りたいんですけど…。」
「貴方は看板を見てないんですか?。」
「見ましたけど…、私のお友達が名札作ってなくて…、住むところもなしい…。」
 フレ・ストームは少し呆れた顔で、
「いつもは10人しか名札は作らないのですが、今回だけはいいでしょう。さすがに、ここに住んでいる人達を早く死なせるのはめんどくさいですし。」
「えっ、」
「なんでしょうか。やっぱり、名札を作るのはやめておきますか?。」
「あっ、いえいえ!、作ります作ります!。」
 早く死なせる…。この人は一体何者なんだろう。せっかくできた初めての友達を殺すつもりなのかな…。そんなの、やだ!、絶対に。
「ところで、そのお友達は…。」
「あっ、呼んできますね!。」
「1分以内に来ないと今回はなしにしますからね。」
「わかりました!。すぐに呼びます!。」

「アリー!!!。」
 私はアリーに聞こえるように大声で見えるように大きく手を振った。
「早く来て!。」
「あっ、わかった。」
アリーは走ってこっちへ向かった。
「どうしたんだよ、そんなに急いで。」
「1分以内に来ないと今回はなしにするって!、だから、早く!。」
私達は喋らずに裁判所まで走った。

「55、56、57。あら、おかえり。遅かったわね。」
 私は「ただいまです…。」と言い、
アリーは、はあはあと息を荒らげていた。
「この子が例のお友達?。」
「あっ、そうです!、アリーって言います。」
「アリーです。よろしくお願いします。」
横を向いて顔を見た。だけど、アリーは緊張なんかいっさいしてなかった。

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