アリーの冒険所 1 【1説】

マスター・アリー (アリー・マスター)

【4章 ドッペルさん】愛編

 トランプのジョーカーと同じ姿をした人が、目の前にいた。
「あなた誰?、それと、ここどこ?。」
「私は…、ピ、ピエロですよ!。」
「みたら、わかる。」
「あっ…、え、えっと。ここは黒の空間と言って、時間が経たない空間であり、いろんな世界、次元につながっています。」
「じゃあ、なぜ私をここにつれてきたの?。」
相変わらず、そのピエロはおどおどしながら。
「そ…それは…。あ、あなたに会わせたい人がいるからですよ!。」
「会わせたい人って、誰?」
そうすると、ピエロは下を向いて。
「それは言えません…。」
おどおどしているのがなぜかイラッときて、思いっきり仮面を外してやった。
「えいっ!。」
「「……あっ…。」」
 顔を覗き込むと、私とそっくりな顔をしていた。
「あっ、あの…、驚かなくて…、いいですよ?。」
「えっ…。あのー、いわゆる、ドッペルゲンガーってやつですか?…。」
今の状況が何が何だかわからなくなってきた。だって、同じ顔…。顔を合わせる度、なんか嫌な感じ。自分の顔が特別好きってわけじゃないし。
「いや、見ても死にませんよ!。…偽装です。」
「それって…。」
「そう、作り物なんです…。毎回人によって変えて…。」
「お、おう。」
その人は、疲れ切った顔をしている。なんか、申し訳ない。私は、
「あっ、そうだ!。私、あなたのことドッペルさんって呼ぶね…!。」
と、フォローじゃないフォローを口走ってしまった。
 ドッペルさんは唖然とした顔をしていた。
「さすがに、そう呼ばれるのは初めてです…。」
一瞬だけ気まずい空気になってしまった。
「そ、そういえば、愛さん。あなたを違う世界へと連れて行きたいのですが…。」
「はぁ!?。」
ドッペルさんは私のことを見て、ですよねーって思ってそうな顔をしていた。
「仕方ないのです。お仕事なので…。」
ドッペルさんは、疲れ切ったため息をついて申し訳なさそうにこっちを向いた。
「そうなっちゃいますよね…。でも、これからのことが…。」
普通に、ドッペルさんのことを心配している自分がいる。相当、大変なんだろう。この仕事が。
「大丈夫です。すべて保証しますから!!!。」
「っ!?。」
 さっきまで、暗い顔をしていたドッペルさんが目を見開いて頑張って笑顔になりながらそう言ったのだった…。発言にも態度にも驚いてしまって、少し発言に困った。自分と同じ顔だし。
「…じゃ、じゃあ、その仕事とやらに協力します…。終わったら帰りますから!。」
「そ…その…。」
「ん?。」
「…いいえ、何にもないです。
   大変、話してて面白かったです。ドッペルさん…。覚えておきますね。」
 そう、言い。ドッペルさんはワープができる空間を作り、
「ここの中に入って歩いてください。そしたら、異世界に行けます。」
と言った。私は、言われるがままにその空間に入った。
 
 ドッペルさんは、微笑みながら手を振っていた…

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