恋愛・ラブコメ短編集
超年の差結婚だけど幸せでした! でも短すぎる夫婦生活だったのでやり直しを希望します!【6】※最終話
あの日、時を遡ったわたしは、たぶんいつかはまた元の時間に戻されるんだろうなって覚悟していた。
でも、どうやらそれはわたしの杞憂だったみたい。
あれから五年――
わたしはまだサイファス様のそばにいて、サイファス様はこちらの時代でもわたしの旦那様になった。
「ベル、ただいま」
仕事から戻った旦那様は、出迎えたわたしの腰を片腕で抱き寄せて、唇に触れるだけのキスをくれる。
そして、ぱたぱたと軽やかな足音が近づいてくるのを聞いた旦那様は、わたしの腰から手を放して、走ってきた小さな娘を抱き上げた。
「いい子にしてたか、ラナ」
三歳になるラナはサイファス様とわたしの娘。
サイファス様は娘に本当に甘くて、昔わたしにしたみたいに、よくラナに高い高いをしているの。
わたしが過去に来てしまってせいで、変わってしまう未来もあると思う。
ラナにしたってそう。
未来の旦那様とわたしの間に子供はいなかったから。
でも、そう言うのもひっくるめて、責任はわたしをこちらに飛ばしてくれた女神様に取ってもらうことにして、わたしは開き直ることにしている。
だって幸せなんだもの。
旦那様が埋葬された時に言った神父様の言葉を借りるなら、きっとこれが運命よ。
ラナを下ろした旦那様が、壊れ物に触るようにわたしのお腹に触れた。
「もうすぐだなぁ」
大きなわたしのお腹には、二人目の子供がいる。
ラナが生まれたときは旦那様ったらパニックになっちゃって、助産婦さんに「落ち着きなさい!」って怒られたんですって。
屈強な兵士たちを怒鳴り散らす旦那様が助産婦さんに怒られる姿は見て見たかったけど、あのときのわたしはそれどころじゃなかったし。
お腹にいる二人目のときは大丈夫だぞって今から言うんだけど、わたしがたまにしんどそうにするだけでオロオロしちゃうから、本当かなって思う。
「この子は男の子ですかね、女の子ですかね」
「元気で生まれてくればどっちでもいいさ」
「そうですね」
この子が生まれたあと、あの女神像に蹴りつけたことを謝りに行かなくちゃ。
そして、たくさんお礼を言うの。
あの日、絶望しかなかったわたしには考えられないくらい幸せで――、これからおばあちゃんになって、旦那様と一緒に息を引き取るその日まで、もっともっと幸せになれる。そんな確信がある。
「旦那様、旦那様」
わたしは、わたしの体を気遣って、背中に手を回して歩いてくれる旦那様を見上げて微笑んだ。
「旦那様、大好きです」
旦那様は目をすがめて笑って――
「ああ」
照れ屋な旦那様は、言葉のかわりに、優しいキスをひとつくれた。
でも、どうやらそれはわたしの杞憂だったみたい。
あれから五年――
わたしはまだサイファス様のそばにいて、サイファス様はこちらの時代でもわたしの旦那様になった。
「ベル、ただいま」
仕事から戻った旦那様は、出迎えたわたしの腰を片腕で抱き寄せて、唇に触れるだけのキスをくれる。
そして、ぱたぱたと軽やかな足音が近づいてくるのを聞いた旦那様は、わたしの腰から手を放して、走ってきた小さな娘を抱き上げた。
「いい子にしてたか、ラナ」
三歳になるラナはサイファス様とわたしの娘。
サイファス様は娘に本当に甘くて、昔わたしにしたみたいに、よくラナに高い高いをしているの。
わたしが過去に来てしまってせいで、変わってしまう未来もあると思う。
ラナにしたってそう。
未来の旦那様とわたしの間に子供はいなかったから。
でも、そう言うのもひっくるめて、責任はわたしをこちらに飛ばしてくれた女神様に取ってもらうことにして、わたしは開き直ることにしている。
だって幸せなんだもの。
旦那様が埋葬された時に言った神父様の言葉を借りるなら、きっとこれが運命よ。
ラナを下ろした旦那様が、壊れ物に触るようにわたしのお腹に触れた。
「もうすぐだなぁ」
大きなわたしのお腹には、二人目の子供がいる。
ラナが生まれたときは旦那様ったらパニックになっちゃって、助産婦さんに「落ち着きなさい!」って怒られたんですって。
屈強な兵士たちを怒鳴り散らす旦那様が助産婦さんに怒られる姿は見て見たかったけど、あのときのわたしはそれどころじゃなかったし。
お腹にいる二人目のときは大丈夫だぞって今から言うんだけど、わたしがたまにしんどそうにするだけでオロオロしちゃうから、本当かなって思う。
「この子は男の子ですかね、女の子ですかね」
「元気で生まれてくればどっちでもいいさ」
「そうですね」
この子が生まれたあと、あの女神像に蹴りつけたことを謝りに行かなくちゃ。
そして、たくさんお礼を言うの。
あの日、絶望しかなかったわたしには考えられないくらい幸せで――、これからおばあちゃんになって、旦那様と一緒に息を引き取るその日まで、もっともっと幸せになれる。そんな確信がある。
「旦那様、旦那様」
わたしは、わたしの体を気遣って、背中に手を回して歩いてくれる旦那様を見上げて微笑んだ。
「旦那様、大好きです」
旦那様は目をすがめて笑って――
「ああ」
照れ屋な旦那様は、言葉のかわりに、優しいキスをひとつくれた。
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