Liar×Liar

やの



「斉木くん」

 試験が終わりシャーペンを筆箱に納めていると、黒瀬が隣に来た。俺は、存在をスルーして黒板を見る。


「斉木くん、あの…、試験どうだった?ちょっと難しいのがいくつかあったよね??私、「ウザイ」


 俺は、黒瀬を睨む。何でこいつはペラペラしゃべんの。そもそも話なんて振ってないし、興味もない。

「あぁ、うん、そうだよね…ごめんね」

 黒瀬は眉をハの字にして謝る。謝るくらいならそもそも話しかけなければいいのに…。てか、こいつ、早川はいいのかよ。


「わー、態度わっるー」

 オレンジ頭の女が上半身を回し、目があった。この状況を面白がる表情をしている気がする。

「…」

 黒瀬は余計に気まずそうに肩をすぼめた。それが俺のイライラを加速させる。



「あのさー、何でそんなに愛想悪いの?別にてきとーに会話くらいしたげればいーじゃん」




 …いつからだ?いきなり会話に入ってきたのは、今朝の少年だった。足音も気配も一切なく、本当に一瞬で現れた。教室にいるみんなが驚き、そいつを見る。




「はーい、それじゃあみなさん!これから楽しい楽しい実技試験のお時間になります。僕についてきてね」

 教室の空気はガン無視で、そいつは本当に美しく綺麗な微笑みを浮かべた。そう、そいつの笑顔は、それこそ純粋で汚れを知らない存在かのようだった。

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