天才にして天災の僕は時に旅人 第一部

流川おるたな

コペンハーゲン

 僕と芹奈はテレポートボックスでコペンハーゲンに着いていた。
 芹奈のたっての希望があり、男の人魚を探す前にカステレット要塞と人魚像を観に行った。
 人魚像に関しては「世界3大がっかり名所」に名前が上がっていて、想像してたよりもた確かに小さくはあったが、芹那は喜びそれなりに記念になった感じである。
 海に着いて肝心の人魚探しをするため水着に着替え、僕の力を芹奈に披露する時が来た。
 もちろん大嶽丸の力の存在を知らない芹奈がびっくりする事は間違い無いだろうが、彼女なら僕の力を披露してもドン引きする事は無いだろうと踏んでいる。
「芹奈~、そこにちょっと立ってくれないか?」
「なに?もしかして砂浜の上でわたしの写真撮影でも始めるのかしら」
 もちろんそんな訳は無く、砂浜に立たせて周りに人が居ないのを確認する。
 そして頭の中でミューの出現させていたバブルが掌から生まれるイメージをした。
 そう、あのバブルを見よう見まねで作ろうとしているのである。
「ポコッ!」
 音をたてて小さなバブルが掌に生まれる。
 それを見ていた芹奈が言う。
「なになに!?それってクラゲ?」
 驚くところが違うけどまあいいや。
「芹奈、動かないでじっとしててくれるか?」
 掌に生まれた小さなバブルを芹奈の頭にかざすような感じで乗っける。
「ちょ、ちょっとなにするのよ!?」
 顔が少し赤らんでいるので何か勘違いをしているようだが無視する事にした。
「せ~の!ふん!」
 僕はバブルが大きくなるイメージをして力を込める。
「ゴプン!」
 バブルがイメージ通り大きくなり芹奈の身体を完全包み込んだ。
「よし!成功だ!」
「これってミューのあのバブル!?」
「そうだよ。僕が作ったんだ。詳しい話はまたあとで」
 同じ要領で自分にもバブルを作る。
 また芹奈が驚いていたけれど、説明すると長くなりそうだったので適当に誤魔化した。
 女王様によれば、コペンハーゲンの海底都市も沖縄と同じような海底谷にあると言う事だったので、事前に海底谷の場所は調べてある。
 岸からそのコペンハーゲンの海底谷までは結構な距離があった。
 そこでまた大嶽丸の力の出番である。
「芹奈、海中に入ったら俺の肩に掴まってくれ」
「...分かったわ。でも今日のあなたは何だろう、一味違うわね」
「ごく稀にそんな時もあるのさ」
 適当に返して二人で海中に入り、芹奈が僕の肩に掴まった。
「じゃあ、しっかり掴まっててくれよ」
「なにが起こるか知らないけれど大丈夫よ」
 僕は普通に泳ぎ出し徐々にスピードを上げて行く。

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