MMORPG でレベルマックスのアバターに転生したが、料理人として生きたい為料理店経営する。

パペット信繁

レストラン、ボルテックスでは

ダークカンパニーホテルではメカ魔物の騒ぎがある中、そんなことも知る由もないレストラン、ボルテックスで働くコハナとヒーラー。



 ライトニング不在でもお客は来るため、忙しい。



 しかし2時間の休憩が2人にとっての至福であった。



「ヒーラーさん、ライトニングさんいるいないで、全然忙しさが違います。お客さんがたくさん来るとこんなにも辛いです」



「それはそうだよ。朝昼晩とご飯が食べれるレストランだから」



「さすがはライトニングさん。料理店経営はないらしけど、はりきってりますよね」



「ライトニングの第2の夢が料理店経営とかカフェ経営っていってたけど」



「カフェね。コーヒーに紅茶に、ケーキにプリン。さすがにメニュー多すぎです」



「これくらい普通だって」



「そうなのですか?」



「メニューは多いほうがお客さんも来てくれるからね。っま、それでも作りきれないものはある」



「ヒーラーさんはアンドロイドですからそう言えるのです」



 言い訳ばかりするコハナであるが、そんな時にヒーラー専用携帯に電話がかかる。



 この世界にも電話が出来るようで、それも全て電気魔力による電話回線で出来るようだ。電話のやり取りやクレームなどの処理による電話対応はもヒーラーがやっているのだが、たまにお店の予約が出来るか聞いてくるお客もいる。



 今回はその予約をしに来たお客なのだが、どうも怪しかった。



「あの、この店予約は?」



「ええ、構いません。何時がよろしいですか?」



「では、明日の昼の12時」



「12時ですね。かしこまりました。それではお待ちしておりま……」



 そのまま最後の挨拶を終えることもなく電話は切られた。



 ヒーラーはコハナにこの内容を伝える。



「なんか電話いきなり切られた」



「どういう事? クレーム?」



「違う。予約者だよ」



「変なの」



「何か怪しいよね。最近でも小型テレビでメカの魔物が発生する事件が多くてさ」



「街の中に凶暴なメカの魔物が出ちゃったら逃げる場所なんてないよ」



「それもそうだね。それで、今日はヌルさんは来るのかな」



「来ますよ。常連さんですし私達の店の借主さんですよ」



「そうだったね」



 先ほどの電話相手のことを気にしようとしない2人であるが、これがメカ魔物からの電話だとは2人も知らないのである。



 メカ魔物は電子頭脳を持ち、人間とは比較にもならないほどの計算の速さと動くスピードを持つ。



 判断力も傾聴力も人間より上で賢さも運もメカ魔物は上だった。



 しかしそれは普通の人間と比較しての話で特別な存在である100人に1人しかしないとされる体に魔力を持つ者の頭脳には遠く及ばない。



体に魔力が流れているということは頭にも魔力が流れており、その魔力がコンピューターや電子頭脳にも勝る脳に変えている。



 彼らは機械を超えるほどの才能の持ち主となっており、天才なのだ。



 幼少から高校生はもちろん、理系の人間が苦しむ数学Ⅲの問題や物理の計算だってできる。もちろん、生物と化学の計算もだ。



 それくらい天才の頭脳を持っているため、他の人からは嫌われたり怖がられたりする。



 そのため普通彼らは表には現れず、ひっそりと静かに人前に現れず暮らしている。



 実はこれから昼に来るヌルもそうである。



 ヌルはコハナとヒーラーに自分の体に魔力が流れているなどと思われたくなく普通の人間を演じているにすぎないのだ。



 そんな気持ちでヌルはボルテックスに入店する。コハナは元気よく挨拶をする。



「いらっしゃいませ。ヌルさん」



「今日も来たよ。いつものカレーライス。ご飯大盛でね」



「はーい」



 コハナはカレーの鍋を温めてすでに炊いてあるご飯に400グラムのご飯を大きな皿に入れる。そしてカレーが十分温まると、そのカレーを400グラムのご飯にかけて、ヌルのところへ持っていく。



「ありがとうね」



 ライトニング不在の中でレストラン、ボルテックス内で不吉な予感がすることは、ライトニングはおろか、ボルテックスにいるコハナとヒーラーとヌルにも分からないのである。

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