必殺技サンダーボルト

チェーンソーとドリルの巨大メカ。これには闇商人はライトニングを倒せると確信していた。



「やれ！　とっておきの巨大メカ！　あの小娘をバラバラにしてしまえ！」



　巨大メカは容赦なく右腕のチェーンソーと左腕のドリルで攻撃してくる。



　最悪なことに右腕のチェーンソーがライトニングの体に当たる。



　チェーンソーの長さは3メートル。1メートル50センチくらいのライトニングが食らえば大量出血で体も真っ二つといったところだ。その想像をしていた闇商人は高笑いをしたが、ライトニングはそうはならない。



「なるほど、少しくすぐったいくらいだね」



「何！？」



　ライトニングの体は血どころか着ている白いラッシュガードも破けていない。



　ライトニングの体はレベルマックスの体で防御力が最大。転生前のライトニングがやっていたMMORPGの最強の武器である神剣1000本の串刺しにも耐えられる体となっており、身に着けているラッシュガードと水着もハサミや刃物でも切れない頑丈な布で出来ていた。



「ふざけるな！　巨大メカ！　左腕のドリルで奴の腹に穴をあけろ」



　闇商人の命令通りに巨大メカはドリルでライトニングを攻撃するが、ライトニングはそれを右手だけで食い止める。それもドリルが回っている状態であったのに、その状態でドリルを折って壊す。



　ライトニングの右手から血は出たが、すぐに手の傷がなおり出血が止まる。ライトニングが獲得していたサバイバルスキルのHP自動回復のスキルで怪我がすぐに治る。



「何だお前！？　化け物か！」



「やれやれ、無駄なあがきだな」





　ライトニングは弓を持つと雷の矢を作る魔法を唱える。



　闇商人から見てそれは光の矢に見えたのと、そういった魔法が唱えられる人物を知らないため、驚きのあまり怯える。



「何だその魔法は！　魔法の矢を作れる奴なんて聞いたことない！」



「知らないでいいさ。別に口止めさせるつもりもない。サンダーボルト！」



　サンダーボルト、この技は雷の矢の威力を最大限に発揮できる弓矢スキルの上級技。弓矢を構えて雷の矢に魔力を注ぎ続け、1メートルの長さの矢になったところで放つ技。



　1回放つだけでその矢は10本の矢となり、巨大メカに全て当たる。



　しかも巨大メカのようなマシン系には大ダメージを与えられる為、この技を食らった巨大メカは一瞬で爆発した。



　闇商人は爆発の煙の中でライトニングに見つからないように逃げた。



　爆発が大きいせいかアンペア商店街の住民がその場にやってくる。



　ライトニングはばれないようにその場から誰にも見つからないように去っていった。



　レストラン、ボルテックスに戻ったころには爆発の話はコハナとヒーラーも知るところであった。



　コハナはライトニングにその話をする。



「ライトニングさん、外は大丈夫でしたか？」



「何だ？　何かあったのか？」



「ご存じないのですか？　外で夜中だというのに何かが爆発したそうなんです。しかもその爆発は大きくて、広場がめちゃめちゃになったって」



「それはひどいな」



「ご存じないということは、商店街の外にいらしたのですか？」



「まあね、夜の商店街はお店全部閉まっているからさ。深夜までやっているスーパーに行こうかなと」



「ライトニングさんほどの強い方なら心配ないですが、もっと恐ろしい魔物とかが夜は現れるって聞きますから、油断してはいけません。それに今回の商店街の爆発もまた起きるかもしれませんしね」



「そうだね」



　それがライトニングの仕業であることは言えなかった。とっておきの技を１つコハナには見せたが、あの時は口止めするほどの技でもなかったため、口止めはしなかったが、上級技と自分のせいで起きた事故などの内容はしゃべらないようにすることと、口止めが必要になりそうであった。