童貞力チート ~三十路童貞はチートを生かして異世界を謳歌する~

千歳

14話

あれから何時間か経過してようやく町まで辿りついた。
その間、なにかが起こる訳でもなく、ただ坦々と道なりを歩いて行くだけだった。
その間はエリーと他愛ない話をして、一応の場を繋いでいた。
というか会って数時間しか経たない相手に対して、長話を要求する方が間違っているのだ。
そして俺は童貞で元の世界では30歳なのだ。色々と無理も無いと思うんだ。……思うんだ!!
なんて考えてたら大きな声が隣から聞こえてきた。


「……き……さき……正樹。……正樹ったら!」


「お、おう。なんだよエリー。聞こえてるよ」


「だったら返事くらいしなさいよね。もう!
ほらっ、町に着いたわよ」


先ほどから考え事をしていたらエリーからお声がかかっていたらしい。
そしてエリーに町の案内をされたのだが…。


「おぉ~! ……。お? ……案外小さいのな……」


そう。思っていた町より小さかったのだ。
何と比較していたのかと言われたら、元いた世界なのだが、
その比較対象が間違っていたらしい。
ただ、小さいと言っても比較対象が比較対象なだけに、
実際目にしてみると普通にでかいとまでは思える。


町の外見はやはりと言っていいのだろう。
よく小説などに出てくるだろう中世の外見をしている。
自分は海外に行った事があるわけではないのだが、
イメージ補正があるだけに、まさにその様な雰囲気と言うべきだろう。
外見を見て、出てくる単語は「城壁」「衛兵」「関所」である。
ただこれは日本語を用いての感想なので、
実際この世界で使われている単語で言うならば違うかもしれないのだが。
そこはまたエリーに質問していけばいいだろう。


ただ、この世界に来てからというもの、日本語が通じているのだ。
普通は「おかしい」と感じるはずなのだが、
まぁまずこの世界は普通ではないのでもしかしたら、
エリティアが「翻訳」とか「言語理解」のとかをパッシブで、
尚且つスキルには反映されないようになっているのかもしれないな。


まぁそれはさすがにないかもしれないが……。
とか考えていると、エリーからお叱りを受けてしまった。


「仕方ないでしょ! 今は安全第一なんだから! そんなに遠くまで出かけられないわよ!」


「おう、そ、そうだな。命有ってのものだねだしな」


「そういう事。んじゃとりあえず入りましょうか。
あ、そういえば正樹ってお金持ってるの?」


お叱り後のエリーからは、
何故か不穏な空気を醸し出された。


「え? なんでお金?」


「え? っじゃないでしょ。町に入るからよ」


「え? 何で町に入るのにお金?」


「え?」


「え? ……あ、……あぁ! 通行料的なやつね!」


もしかして、もしかしなくても、入る為にお金がいるのか。
元いた世界でもそれは普通な事なのだが、
この正樹という男はそれを普通だとは思っていなかった。
なにせ海外に行った事がないのだから。
「常識的に考えて」という発想は皆無なのである。


「まぁ正しくは入場料なんだけどね」


「え、なんで入場料になるんだ? それ言葉合ってないだろ」


「知らないわよ。元々そういう言い方するんだから」


かなりどうでもいい疑問を、
聞いた後に口が勝手に言ったという感じで、
脳筋的な返しをしてしまった。
もしかしたら正樹は脳筋なのかもしれない。


というよりも、正樹はエリーがしっかり返してくれるのが嬉しくて、
なにも考えずに発している節はあったりするのだが……。だからもてないのだよ正樹君。


「それで? 持ってるの? 持ってないの?」


「すみません持ってないです貸してください……」


「素直でよろしい。はい。これ入場料100ケルカよ」


正樹はこのままじゃ町にも入れないのを危惧し、
女の子にお金を借りるというプライドを、
ズタぼろにしそうな行動をとるしかないと思い、素直に借りる事にした。
ただその時にエリーから発せられた通貨の単位が聞こえてきて、
またもや何も考えて無さそうな素直な返事をしてしまった。


「ケ…ルカ?」


「なに? あんたまさかケルカも知らないの!?」


「ケルカ……ケルカな! あぁ知ってるとも! ケルカだよな! AHAHAHAHA!!」


流石に世界共通なのだろう。
その通貨の単位を知らないとい事でかなり身分を疑われてしまった。
これはそうそうに何にでも素直に疑わずに教えてくれる相手を探さないといけないだろう。
そう正樹は思いながらも、かなり挙動不審になっていた。
誰でも気づくような挙動不審になっていた正樹をみたエリーは、
呆れながらにお金を正樹の手のひらに置いていた。


「はぁ……まぁ良いわ。今度しっかり返してよね」


「おう! 任せろ!」


「軽い……軽いなぁ……。
まぁ正樹は借りてそのままっていうタイプには見えないからいいんだけどね」


「お、おう。信用されてるようでなによりだ」


「まぁとりあえず入りましょうか」


「そうだな」

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