童貞力チート ~三十路童貞はチートを生かして異世界を謳歌する~
9話
「そんなに自分を卑下なさらないで下さい。正樹さんはお優しいお方ですよ」
「なんか褒められてるのは嬉しいけど元々の性格を自分で褒められないのが一段と悔しい!!」
「まぁまぁ。っとそろそろどうです? 転移なさいますか?」
「もう時間だったりします? というか時間制限あったりしました?」
「えぇ。かなり伸ばしてはいましたが、そろそろ限界に近いですね」
「残りどのくらいですか?」
「あと10分程度でしょうか?」
『悲報。女神様と10分のタイムリミット。
10分後、いつ会えるか分からない女神様のエルティアに別れを告げなければならない。強制的に。
だったら実体がある今こそできるお願いを聞いてもらおう』
「それじゃあ最後にひとつお願いをしてもいいですか?」
正樹の手は汗で少しばかり濡れている。
心臓があるのかは分からないが、鼓動が早くなっているのだろう。
今からするお願いは神崎正樹一生のお願いなのだから。緊張もするだろう。
「なんですか? 改まってそんな敬語で。しかも真顔で。ちょっと鼻息荒いですよ? 怖いですよ?」
『おっと…。童貞には、このお願いは最上級に難易度が高いのです。鼻息は勘弁して下さい』
そんな正樹の姿はエルティアからは、ヤバイ奴の代表なのだろうかというオーラが滲み出てきている。
ただ、正樹にとっては大事な事なのだろうと耳を傾ける。
「ん"っん!! えっと!! 女神様!! いや! エルティア!! 俺とキスして下さい!!」
神崎正樹。童貞。30歳。
今の状態。……土下座である。
「えっと……。」
そしてこの女神様である。
正樹は土下座をしているので、声だけで判断するしかない。
その声は明らかにドン引きしている。
と思っている神崎正樹。気づいていないのだ。
エルティアがモジモジしながら、頬を赤らめているのを。
間の悪い男というのはこういう事をいうのだろう。もったいない……。
「あ、いや!! ごめん!! やっぱり今のなし! 忘れ…っ!?」
さすがにドン引かれるのは正樹的にも好ましくない。
というかいつかまた会える。
会ってからもっと仲良くなってから告白をすれば良かったじゃないか。
と正樹なりに絶望感漂わせながら、今言った事を無かった事にしようと全力で否定した。
だがそれは叶わない。
そう。急に口が塞がれてしまったのだ。
「これで……いいですか?」
エルティアを見る。
これは、見え見えの好意というやつなのではないだろうか。
30年生きてきた中で、こんなに幸せな時間があって良いのだろうか。
そう考える正樹の思考と現実時間とは噛み合わない。
どのくらいハイペースで思考しただろうか。だが、それは一瞬なのだ。
そして正樹は誠心誠意、自分の最大級の、これでもないかというくらい大声で、叫ぶ。
「はい! 最高です! ありがとうございました! ごちそうさまでした! いい人生を送ってきます!!」
こういう動揺具合は、流石童貞というべきところの特徴だろう。
だがそれでいい。むしろそれでいい。
「そ、そうですか……。それでは……。またお会いしましょう」
「はい! また! 絶対に!!」
エルティアと正樹はテンションの違いはあれど、
またの機会を楽しみにした。
そして、正樹の視界は白くなっていく。
次の時には、草原というよりは森の外れに座り込んでいた。
「なんか褒められてるのは嬉しいけど元々の性格を自分で褒められないのが一段と悔しい!!」
「まぁまぁ。っとそろそろどうです? 転移なさいますか?」
「もう時間だったりします? というか時間制限あったりしました?」
「えぇ。かなり伸ばしてはいましたが、そろそろ限界に近いですね」
「残りどのくらいですか?」
「あと10分程度でしょうか?」
『悲報。女神様と10分のタイムリミット。
10分後、いつ会えるか分からない女神様のエルティアに別れを告げなければならない。強制的に。
だったら実体がある今こそできるお願いを聞いてもらおう』
「それじゃあ最後にひとつお願いをしてもいいですか?」
正樹の手は汗で少しばかり濡れている。
心臓があるのかは分からないが、鼓動が早くなっているのだろう。
今からするお願いは神崎正樹一生のお願いなのだから。緊張もするだろう。
「なんですか? 改まってそんな敬語で。しかも真顔で。ちょっと鼻息荒いですよ? 怖いですよ?」
『おっと…。童貞には、このお願いは最上級に難易度が高いのです。鼻息は勘弁して下さい』
そんな正樹の姿はエルティアからは、ヤバイ奴の代表なのだろうかというオーラが滲み出てきている。
ただ、正樹にとっては大事な事なのだろうと耳を傾ける。
「ん"っん!! えっと!! 女神様!! いや! エルティア!! 俺とキスして下さい!!」
神崎正樹。童貞。30歳。
今の状態。……土下座である。
「えっと……。」
そしてこの女神様である。
正樹は土下座をしているので、声だけで判断するしかない。
その声は明らかにドン引きしている。
と思っている神崎正樹。気づいていないのだ。
エルティアがモジモジしながら、頬を赤らめているのを。
間の悪い男というのはこういう事をいうのだろう。もったいない……。
「あ、いや!! ごめん!! やっぱり今のなし! 忘れ…っ!?」
さすがにドン引かれるのは正樹的にも好ましくない。
というかいつかまた会える。
会ってからもっと仲良くなってから告白をすれば良かったじゃないか。
と正樹なりに絶望感漂わせながら、今言った事を無かった事にしようと全力で否定した。
だがそれは叶わない。
そう。急に口が塞がれてしまったのだ。
「これで……いいですか?」
エルティアを見る。
これは、見え見えの好意というやつなのではないだろうか。
30年生きてきた中で、こんなに幸せな時間があって良いのだろうか。
そう考える正樹の思考と現実時間とは噛み合わない。
どのくらいハイペースで思考しただろうか。だが、それは一瞬なのだ。
そして正樹は誠心誠意、自分の最大級の、これでもないかというくらい大声で、叫ぶ。
「はい! 最高です! ありがとうございました! ごちそうさまでした! いい人生を送ってきます!!」
こういう動揺具合は、流石童貞というべきところの特徴だろう。
だがそれでいい。むしろそれでいい。
「そ、そうですか……。それでは……。またお会いしましょう」
「はい! また! 絶対に!!」
エルティアと正樹はテンションの違いはあれど、
またの機会を楽しみにした。
そして、正樹の視界は白くなっていく。
次の時には、草原というよりは森の外れに座り込んでいた。
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