童貞力チート ~三十路童貞はチートを生かして異世界を謳歌する~

千歳

2話

「異世界?  ……ですか?  ……行けるでしょうか……?」


唐突にそんな突拍子もない質問をされた。
だが、女神様は至って真面目な顔をしている。


「はい。行けます」


真剣そのものの顔で言われた。
目力の迫力で少し驚いてしまう。
ほんの一瞬あいだをあけて、こう問うてみる。


「その……俺は何かの使命を問われたのでしょうか?」


そんな質問に対して、女神様は間髪入れずに即答する。


「いえ。
異世界に転移しても、あなたには好きに人生を謳歌してもらって大丈夫です。
異世界に転移したら既に私の目的は達成されたようなものですので」


ここでようやく真意を聞くことが出来そうになり、少しの安堵感と不安感が込み上げてくる。


「その……その目的というのはお聞きしても大丈夫なものなのでしょうか?」


「大丈夫です。そうですね。
端的に言えば、魔力提供ですかね」


やはりと言うか。
自分には、生きていれば無縁とまで言える言葉が羅列されていた。


「魔力提供ですか?
その世界には魔法という物が存在するということでしょうか?」


「本当に話が早くて助かります。
そうです。その通りです。
詳しいお話をしても大丈夫でしょうか?」


「はい。お願いします」


「まず前提として、
その世界には魔力という物が存在します。
その魔力というのは魔法という物、言わば現象にして発動できます。
その魔法を使ってあらゆる現象が発現できます。火をつけたり、水を出したり、風をおこしたり、土を加工したりです。その世界では魔法を使用して生活を充実させているのです。もちろんその他の魔法も存在します。そしてそれをスキルとして昇華する事で扱い易くする事ができる。というのが前提です。
その世界では色々な人種がいて、色々な国があります。
そして人が、国があるという事は、争いもあるという事。
その争いが激化してしまい、魔法の行使が多くなり、世界に漂う魔力が少なくなっているのです。
そして遠くない未来、その世界から魔力は無くなります。
これが私が神崎正樹さん。あなたに出した提案の理由になります。
あなたがその世界に転移するだけで解決するのです」


女神様が説明しているあいだは、ただ呼吸だけをして話を聞くことに専念する。
神崎正樹には慣れない言葉が沢山出てきたのだ。真剣にもなる。
そこで女神様が最後に自分が転移すれば解決するという事に対しての疑問をぶつけてみる。


「それは何故でしょうか?」


「神崎正樹さんの世界は、
転移する世界より上位の場所に位置するのです。くらいが高いということですね。
神崎正樹さん、あなたは魔力を感じた事はありませんよね?」


「そうですね。
魔力がある事自体、驚いている所ですので」


「あなたの居た地球にも、魔力は存在するのです。
ただ地球の神は、あなた方地球人の身体への、魔力譲渡はしなかったようですが」


「何故譲渡をしなかったのでしょうか。割と便利だと思うのですが…」


「それはですね。
世界の崩壊の理由を知っているからなのですよ」


「崩壊…?  ……あっ……」


気づいてしまった。
神崎正樹が気づいた事に気づいた女神様は。


「そうです。
魔力が世界から無くなるという事です」


「なるほど……でも何故なのでしょか……?」


神崎正樹はそれでも不思議に思う。


「何故と言うと?」


「あ、質問ばかりになってしまい申し訳ありません」


「いえいえ、疑問が残らないように沢山質問して下さい」


「ありがとうございます。
あ、まだ転移するとは言ってないですが、その転移する世界には何故、魔力譲渡をしたのでしょうか?」


「それは地球が新しい世界。ということですね」


「新しい世界ですか?」


「そうです。
世界は作られたのが古いから、序列順に上位の位置に着くとは限らないという事です」


「なるほど!
だから新しい世界のそれも上位の位置に存在する地球の、それも魔力譲渡がされてない人間の、余り余った魔力を提供してくれ、という事なのですね」


またまた神崎正樹は気づく。
元々、神崎正樹は耳では聞き慣れないというのはあるが、目では見慣れている。
そう、この神崎正樹という男は隠れオタクでもある。なのでこの手の話はテンプレなのではという事も、女神様の話を聞いてると度々思ってしまうのだ。


「毎度毎度話が早くて助かります。
纏めるとそう言う事ですね。
理解していただけたでしょうか?」


「はい。バッチリ理解しました」


「あ、あと言い忘れていたのですが…」


女神様から不穏な影が見えてきた。


「なんでしょうか?」


「その転移する世界にはですね、
所謂ですね。魔物がいるのですよ…てへ」


「おうふ………」


やはりテンプレなんだな、と神崎正樹は一人心の中で呟くのである。

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