最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第258話 【イリヤはお医者様】
<<イリヤ視点>>
セラフちゃんが居なくなって1週間が経ちましたが、お兄ちゃんは相変わらず沈んだままです。
あれだけ仲が良かったから、しょうがありません。
もうしばらくそっとしておきたいと思います。
わたしは相変わらずシルビア先生と、薬草の研究に明け暮れています。
わたしも高等学校を卒業し、今はシルビア先生に付いて薬学に専念しています。
「イリヤちゃん、やはり君は凄いな。
知識をどんどん吸収して、自分のものにしていくね。
もう貴方に教えることは無いよ。
これからは、同じ薬学の研究者として、この世界の発展に貢献して行こう。」
自分じゃまだまだだと思うのですが、シルビア先生からそう言われて、嬉しい反面、責任感を感じています。
「先生、ありがとうございます。これからも宜しくお願いします。」
「ああ、宜しくな。」
わたしは正式に研究室のメンバーとして、薬学の発展に寄与することになりました。
研究室の横に病院があります。
院長はシルビア先生で、5人のお医者様が、日々診療に当たっておられます。
わたしも薬剤師として病院に籍を置いています。
医療には大きく3種類あります。
ひとつは魔法によるものです。
ヒールやキアリーなんかが有名です。
比較的症状の軽い怪我や毒であれば、簡単に治すことが出来るのですが、使える魔法使いが限られているのが問題です。
ふたつめは、外科手術です。
これはお父様が元の世界から持ち込んだ技術だそうです。
シルビア先生達がこの世界でやっていた治療と合わせて様々な怪我や病気に対応出来るように日々進化しています。
まだ、手術出来る人は少ないですが、様々な怪我や病気に対応出来るため、今世界中で手術出来るお医者様の育成が進められています。
わたしがいる病院でも、お父様の指導の元、たくさんのお医者が誕生しています。
時間はかかりますが、魔法が使えなくても、教育でお医者様を作れるのですから、各国が力を入れているのも分かります。
わたしもシルビア先生とお父様から指導を受けて、ある程度なら治療に携われるようになりました。
三つめは薬による治療です。
高い治療効果は望めなくても、ポーションや毒消し草等、手軽に買えて、どこでも使える薬は冒険者や旅の商人達の必需品です。
今日も朝から病院に来ています。
わたしのメインの仕事は薬剤師ですが、今日は患者様が多く、診療もしています。
新しい街を開拓し出したので、打撲や切り傷の患者様がほとんどです。
だから治療って言っても消毒した後にポーション塗布の簡単なお仕事です。
転移門が、各国の地方まで広がるようになってからは、各国から患者様が来られるようになりました。
近くにお医者様がいないところは、その国の王都に行くよりも、ここに来る方が早いみたいですね。
たまに重症の患者様が来られることがあります。
「うーん!あー!つぅー!」
「しっかりして下さい、この指は見えますか?何本ありますか?」
人族の妊婦さんです。
産婆さんが子供を取り出そうとしたんだけど、逆子みたいでヘソの尾が首に巻き付いているようです。
産婆さんの機転でこの病院に運ばれて来ました。
たまたま、シルビア先生とお母様がいたので、わたしも含めて3人で対応しています。
「しっかりするんだよ!
今痛み止めを飲ませるからね。
大きく息を吸って、吐いて、そうそう。」
シルビア先生が妊婦さんを励ましながら、痛み止めを飲ませます。
「こりゃ、開腹手術が必要だね。」
「そうですね。今準備しますね。
イリヤ、お湯を出して。熱湯ね。」
お母様の指示で、魔法を使って消毒用の熱湯をたらいに出します。
後必要なのは、メスの消毒に使う火ですね。
魔法で小さなファイヤーボールを出して、シルビア先生の近くに置きます。
「イリヤちゃん、ありがとう。
やっぱり魔法は便利だね。」
普通手術の時は火の魔道具を使うのですが、今は魔法を使った方が早いので、少しズルをしちゃいました。
「よし、痛み止めに使った麻酔薬が効いて来たみたいだね。
手術を始めるよ。」
シルビア先生がお母様とわたしを見たので、頷きます。
火で炙ったメスが、妊婦さんの大きなお腹に赤い筋を引いていきます。
お母様が溢れて来る血を拭き取りながら、輸血量を調整しています。
お腹が開いて、中の赤ちゃんが見えました。
首に巻き付いているヘソの尾を慎重に切り取ります。
「おぎゃ、おぎゃー」
自由になって泣き声をあげる赤ちゃんを、シルビア先生が取り上げて、横で心配そうにしている産婆さんに渡します。
すぐに切り口を縫合したシルビア先生がお母様に、脈の調子を確認します。
お母様の微笑みが混じった頷きを見て、取り敢えずひと段落です。
「さすが、シルビア先生ですね。
開腹手術でも安心して見ていられます。」
「リザベート様の手際の良さとイリヤちゃんの魔法のおかげでリラックスして対応出来るからだよ。」
そのまま入院した母子は、2週間後無事に退院して、家に帰って行きました。
何度もわたし達に頭を下げて感謝の言葉を告げるお母さんの顔を見ていると、この仕事をもっと頑張ろうと、改めて思うのでした。
セラフちゃんが居なくなって1週間が経ちましたが、お兄ちゃんは相変わらず沈んだままです。
あれだけ仲が良かったから、しょうがありません。
もうしばらくそっとしておきたいと思います。
わたしは相変わらずシルビア先生と、薬草の研究に明け暮れています。
わたしも高等学校を卒業し、今はシルビア先生に付いて薬学に専念しています。
「イリヤちゃん、やはり君は凄いな。
知識をどんどん吸収して、自分のものにしていくね。
もう貴方に教えることは無いよ。
これからは、同じ薬学の研究者として、この世界の発展に貢献して行こう。」
自分じゃまだまだだと思うのですが、シルビア先生からそう言われて、嬉しい反面、責任感を感じています。
「先生、ありがとうございます。これからも宜しくお願いします。」
「ああ、宜しくな。」
わたしは正式に研究室のメンバーとして、薬学の発展に寄与することになりました。
研究室の横に病院があります。
院長はシルビア先生で、5人のお医者様が、日々診療に当たっておられます。
わたしも薬剤師として病院に籍を置いています。
医療には大きく3種類あります。
ひとつは魔法によるものです。
ヒールやキアリーなんかが有名です。
比較的症状の軽い怪我や毒であれば、簡単に治すことが出来るのですが、使える魔法使いが限られているのが問題です。
ふたつめは、外科手術です。
これはお父様が元の世界から持ち込んだ技術だそうです。
シルビア先生達がこの世界でやっていた治療と合わせて様々な怪我や病気に対応出来るように日々進化しています。
まだ、手術出来る人は少ないですが、様々な怪我や病気に対応出来るため、今世界中で手術出来るお医者様の育成が進められています。
わたしがいる病院でも、お父様の指導の元、たくさんのお医者が誕生しています。
時間はかかりますが、魔法が使えなくても、教育でお医者様を作れるのですから、各国が力を入れているのも分かります。
わたしもシルビア先生とお父様から指導を受けて、ある程度なら治療に携われるようになりました。
三つめは薬による治療です。
高い治療効果は望めなくても、ポーションや毒消し草等、手軽に買えて、どこでも使える薬は冒険者や旅の商人達の必需品です。
今日も朝から病院に来ています。
わたしのメインの仕事は薬剤師ですが、今日は患者様が多く、診療もしています。
新しい街を開拓し出したので、打撲や切り傷の患者様がほとんどです。
だから治療って言っても消毒した後にポーション塗布の簡単なお仕事です。
転移門が、各国の地方まで広がるようになってからは、各国から患者様が来られるようになりました。
近くにお医者様がいないところは、その国の王都に行くよりも、ここに来る方が早いみたいですね。
たまに重症の患者様が来られることがあります。
「うーん!あー!つぅー!」
「しっかりして下さい、この指は見えますか?何本ありますか?」
人族の妊婦さんです。
産婆さんが子供を取り出そうとしたんだけど、逆子みたいでヘソの尾が首に巻き付いているようです。
産婆さんの機転でこの病院に運ばれて来ました。
たまたま、シルビア先生とお母様がいたので、わたしも含めて3人で対応しています。
「しっかりするんだよ!
今痛み止めを飲ませるからね。
大きく息を吸って、吐いて、そうそう。」
シルビア先生が妊婦さんを励ましながら、痛み止めを飲ませます。
「こりゃ、開腹手術が必要だね。」
「そうですね。今準備しますね。
イリヤ、お湯を出して。熱湯ね。」
お母様の指示で、魔法を使って消毒用の熱湯をたらいに出します。
後必要なのは、メスの消毒に使う火ですね。
魔法で小さなファイヤーボールを出して、シルビア先生の近くに置きます。
「イリヤちゃん、ありがとう。
やっぱり魔法は便利だね。」
普通手術の時は火の魔道具を使うのですが、今は魔法を使った方が早いので、少しズルをしちゃいました。
「よし、痛み止めに使った麻酔薬が効いて来たみたいだね。
手術を始めるよ。」
シルビア先生がお母様とわたしを見たので、頷きます。
火で炙ったメスが、妊婦さんの大きなお腹に赤い筋を引いていきます。
お母様が溢れて来る血を拭き取りながら、輸血量を調整しています。
お腹が開いて、中の赤ちゃんが見えました。
首に巻き付いているヘソの尾を慎重に切り取ります。
「おぎゃ、おぎゃー」
自由になって泣き声をあげる赤ちゃんを、シルビア先生が取り上げて、横で心配そうにしている産婆さんに渡します。
すぐに切り口を縫合したシルビア先生がお母様に、脈の調子を確認します。
お母様の微笑みが混じった頷きを見て、取り敢えずひと段落です。
「さすが、シルビア先生ですね。
開腹手術でも安心して見ていられます。」
「リザベート様の手際の良さとイリヤちゃんの魔法のおかげでリラックスして対応出来るからだよ。」
そのまま入院した母子は、2週間後無事に退院して、家に帰って行きました。
何度もわたし達に頭を下げて感謝の言葉を告げるお母さんの顔を見ていると、この仕事をもっと頑張ろうと、改めて思うのでした。
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