最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第172話 【水車とハンバーグ1】
<<ヤライの改革担当者ナムル視点>>
馬車の中に入ったら広い空間があったり、空を飛んだりと全く驚きの連続です。
馬車に乗り込んでしばらく経つとハーバラ村に到着したようです。
馬車から降ります。
わたしの家はヤライでも有力者に名を連ねます。
自宅はヤライの高級住宅街にあり、非常に便利なところです。
いくらジャボ大陸が先進的でも、村レベルであれば我がヤライの中心地と比べるべくもないでしょう。
ハーバラ村の中に入ってまず感じたのは、綺麗で清潔感があることです。
作物はたわわに実り、田には水が豊富に溢れています。
村には大きな水路があり、その水路により田の水が豊富なのでしょう。
しかし、ここは見渡す限りの平地です。
この豊富な水はどこから流れてくるのでしょうか?
「この水路は、2キロメートル先に流れる川から引いています。」
それはおかしいと思う。
ヤライでもよく似た場所があり、水が引けなくて、栽培出来ていない広大な土地がある。
「フレディ村長。それは無理がありませんか?
川があるところまでは、平地が続いていますよね。
水は高いところから低いところに流れる。
ここまでの距離を考えると、水を流すための高さが取れないのではないですか?」
「マムルさんのおっしゃる通りです。
普通に川から引いても水はここまで流れて来ません。
水車を使って水を高いところまで引き揚げて水路に流しているのです。」
「その水車とはなんですか?」
「見て頂くのが早いでしょう。
今から行きましょうか。」
わたしは、フレディ村長に案内されて水車を見に行った。
それは壮観な光景だった。
大きな丸いものが川の上で回っており、その円の縁についたバケツが水を掬い、塔のような水路の端に水を流しているようだ。
確かにあの高さから落ちてくる水であれば2キロメートル先でも水を送れるだろう。
よく考えられている。
「これはカトウ公爵様が考えられた揚水水車というものです。
この揚水水車と水路のおかげで、麦と米の2期作が可能になりました。
これら以外にも堆肥の使用とかも含めて、収穫量は改革前の4倍になりました。」
4倍だと!
これだけ潤っていれば、領主が馬鹿で無い限りかなり余裕のある生活ができているに違いない。
わたし達は村の中心に戻りました。
村人達はわたし達の歓迎会の準備をしてくれています。
「リズちゃん、こっちも手伝ってくれるかい。」
「マリーさあ~ん、今行きま~す。」
女性陣が集まって料理の準備を急いでいるようです。
あっ、今走って行ったのは、カトウ公爵様の奥方ではありませんか!
2時間ほど前にご挨拶させて頂いたばかりなので、見間違いでは無いでしょう。
「ランス君、イリヤちゃん、この机運んでくれるかい。」
「「は~い」」
大きな机が幾つも倉庫から出されています。
ランス君とイリヤちゃんが魔法で机をどんどん広場の真ん中に運んでいきます。
整然と並んだ机と椅子をその場にいる子供達が水拭きしています。
いつもやっているのでしょうか、
とても連携がスムーズです。
村人皆んなが整然と役割をこなしていく姿は民度の高さが窺えます。
民度は教育を含めた心の裕福から生み出されるものであって、金銭的な裕福さでは育ちません。
つまりこの村は金銭面だけでなく、心の充実も満たしているのだと言えます。
わたしは今恥ずかしさでいっぱいです。
わたしはこの村を見掛け上の裕福さだけで評価しようとしていました。
わたしの住むヤライの中心部は、確かに商店も多く道も整備されています。
でもそこに住む住民の民度は、この村には遠く及ばないでしょう。
わたしは準備が出来るまで、村の中を歩き廻ることにします。
まず驚いたのは、路地裏に至るまでゴミが見当たりません。
井戸に近づくと、何か器具がついています。
長い棒を下に下げるようですね。
わたしは興味半分で、棒を下げてみました。
少し抵抗はありますが、重いというほどではありません。
何回か上げ下げをしていると、反対側から水が生き良いよく出てきました。
その場に置いてあった水桶がすぐにいっぱいになりました。
これは便利です。こんな便利な器具はヤライにはありません。
是非欲しいものです。
それほど大きく無い村のことです。
生活範囲だけだとあっという間に一周してしまいました。
そこでわたしは気付いたのです。
この村は臭くありません。
そうです。糞尿の臭いが全くしないのです。
まさか、カトウ公爵様がおっしゃっていた、下水道がこんな村にまで整備されているということでしょうか!
わたしは、近くにいた村人に聞いてみました。
「下水道ですか?
ほとんどの村には引かれていると思いますよ。
もちろん、上水道も。
えっ、それならなぜ井戸があるのかって。
それは村の女性陣から要望で残されたのですよ。
いくら家に水が引かれても、井戸端会議ってやつが女には必要らしいですね。
わたしら男にとって、女の情報交換なんて、恐怖でしかないんだけどね。」
いくら便利になっても、無理に全てを変えない。
ありのままで、新しいものを取り入れて自分達の生活を豊かにする。
これが本当の改革のあり方だと、わたしは思いました。
馬車の中に入ったら広い空間があったり、空を飛んだりと全く驚きの連続です。
馬車に乗り込んでしばらく経つとハーバラ村に到着したようです。
馬車から降ります。
わたしの家はヤライでも有力者に名を連ねます。
自宅はヤライの高級住宅街にあり、非常に便利なところです。
いくらジャボ大陸が先進的でも、村レベルであれば我がヤライの中心地と比べるべくもないでしょう。
ハーバラ村の中に入ってまず感じたのは、綺麗で清潔感があることです。
作物はたわわに実り、田には水が豊富に溢れています。
村には大きな水路があり、その水路により田の水が豊富なのでしょう。
しかし、ここは見渡す限りの平地です。
この豊富な水はどこから流れてくるのでしょうか?
「この水路は、2キロメートル先に流れる川から引いています。」
それはおかしいと思う。
ヤライでもよく似た場所があり、水が引けなくて、栽培出来ていない広大な土地がある。
「フレディ村長。それは無理がありませんか?
川があるところまでは、平地が続いていますよね。
水は高いところから低いところに流れる。
ここまでの距離を考えると、水を流すための高さが取れないのではないですか?」
「マムルさんのおっしゃる通りです。
普通に川から引いても水はここまで流れて来ません。
水車を使って水を高いところまで引き揚げて水路に流しているのです。」
「その水車とはなんですか?」
「見て頂くのが早いでしょう。
今から行きましょうか。」
わたしは、フレディ村長に案内されて水車を見に行った。
それは壮観な光景だった。
大きな丸いものが川の上で回っており、その円の縁についたバケツが水を掬い、塔のような水路の端に水を流しているようだ。
確かにあの高さから落ちてくる水であれば2キロメートル先でも水を送れるだろう。
よく考えられている。
「これはカトウ公爵様が考えられた揚水水車というものです。
この揚水水車と水路のおかげで、麦と米の2期作が可能になりました。
これら以外にも堆肥の使用とかも含めて、収穫量は改革前の4倍になりました。」
4倍だと!
これだけ潤っていれば、領主が馬鹿で無い限りかなり余裕のある生活ができているに違いない。
わたし達は村の中心に戻りました。
村人達はわたし達の歓迎会の準備をしてくれています。
「リズちゃん、こっちも手伝ってくれるかい。」
「マリーさあ~ん、今行きま~す。」
女性陣が集まって料理の準備を急いでいるようです。
あっ、今走って行ったのは、カトウ公爵様の奥方ではありませんか!
2時間ほど前にご挨拶させて頂いたばかりなので、見間違いでは無いでしょう。
「ランス君、イリヤちゃん、この机運んでくれるかい。」
「「は~い」」
大きな机が幾つも倉庫から出されています。
ランス君とイリヤちゃんが魔法で机をどんどん広場の真ん中に運んでいきます。
整然と並んだ机と椅子をその場にいる子供達が水拭きしています。
いつもやっているのでしょうか、
とても連携がスムーズです。
村人皆んなが整然と役割をこなしていく姿は民度の高さが窺えます。
民度は教育を含めた心の裕福から生み出されるものであって、金銭的な裕福さでは育ちません。
つまりこの村は金銭面だけでなく、心の充実も満たしているのだと言えます。
わたしは今恥ずかしさでいっぱいです。
わたしはこの村を見掛け上の裕福さだけで評価しようとしていました。
わたしの住むヤライの中心部は、確かに商店も多く道も整備されています。
でもそこに住む住民の民度は、この村には遠く及ばないでしょう。
わたしは準備が出来るまで、村の中を歩き廻ることにします。
まず驚いたのは、路地裏に至るまでゴミが見当たりません。
井戸に近づくと、何か器具がついています。
長い棒を下に下げるようですね。
わたしは興味半分で、棒を下げてみました。
少し抵抗はありますが、重いというほどではありません。
何回か上げ下げをしていると、反対側から水が生き良いよく出てきました。
その場に置いてあった水桶がすぐにいっぱいになりました。
これは便利です。こんな便利な器具はヤライにはありません。
是非欲しいものです。
それほど大きく無い村のことです。
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そこでわたしは気付いたのです。
この村は臭くありません。
そうです。糞尿の臭いが全くしないのです。
まさか、カトウ公爵様がおっしゃっていた、下水道がこんな村にまで整備されているということでしょうか!
わたしは、近くにいた村人に聞いてみました。
「下水道ですか?
ほとんどの村には引かれていると思いますよ。
もちろん、上水道も。
えっ、それならなぜ井戸があるのかって。
それは村の女性陣から要望で残されたのですよ。
いくら家に水が引かれても、井戸端会議ってやつが女には必要らしいですね。
わたしら男にとって、女の情報交換なんて、恐怖でしかないんだけどね。」
いくら便利になっても、無理に全てを変えない。
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