最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

マーくん

第113話 【新婚旅行3】

<<マサル視点>>
予定の国々を訪問した新婚旅行の最終地点として、キンコー王国に戻って来た。

マーズル領では辺境伯から剣の立ち合いを求められたり、スミスさんからは新しい街道敷設の相談を受けたりした。

アーベ領では、成長したフック君にちょっと感動した。
新婚なのに既にリンダさんの尻に引かれてしまっているところには、俺も気を付けようと思う。

ターバ領にはライス代官の呼びかけで、『次世代の農村を考える会』のOBが集まっていた。

皆日に焼けた真っ黒な顔で、自信が漲っているのは、自身で確かな実績を作れている証だろう。

リズも輪に入って、楽しそうに昔話や近況に華を咲かせている。

ライス代官やターバ伯爵は、ナーラ領以外では、最初に物流センター招致を決断して下さった。

その決断が早期に大陸全体の物流ネットワーク構築に繋がったのだ。

「カトウ公爵、新しい試みを始められる時は、わたしにお声をお掛け下さい。
全力で支援させて頂きます。」

ターバ伯爵の心強い申し出に礼を言いながら、俺は俺のこれまでの行動に確かな手ごたえを感じていた。



<<リザベート視点>>
新婚旅行の最終地となるターバ領に到着すると、ライス先輩夫妻やアカデミー時代の先輩後輩が沢山集まってくれていました。

みんな、『次世代の農村を考える会』の卒業生で、農村改革の第一人者ばかりです。

代官を務めている人や、開拓団のリーダーとして新しい農地の開発を進めている人、建築や特産品の開発等専門分野でコンサルティングをしている人もいるみたい。

そうそう、エミリーちゃんは今、王立アカデミーに新設された農学科の先生になっていました。

たくさんの卒業生を作って、より農村を豊かにするんだって、意気込んでいるようです。

学校の都合で、今日は来ていないんですけど、王都で会う予定です。

楽しい3日間を過ごして、みんなは次に会う約束をしてそれぞれの場所に戻って行きました。

わたしも新しい生活を精一杯楽しみたいと思います。



<<クリス視点>>
旦那様、奥様が乗られた馬車がお屋敷に戻って参りました。

アリスやメアリも元気そうです。
とても3ヶ月近く馬車の旅に出ていたようには思えないです。

旦那様とはファックスという魔道具で常に書類や情報のやり取りをしておりましたので、滞りなく仕事を進められております。

全く、便利な魔道具をお作りになられたものです。

この魔道具が普及したら、大陸内の距離が一気に縮まることでしょう。

おや、メアリが土産物を広げています。

屋敷の者達に買って来たのでしょう。

この度の旅は、大陸全ての国を周ったのですから、各地の思い出も多いでしょう。

こんな旅は、一生涯でも実現できるものではないです。

今では、王都に居ても大陸中の特産品が手に入るようになりましたが、やはり旅先で購入したものには思い入れがあるのでしょう。

ひとつひとつ、その地で見聞きしたことを付け加えながら、お土産の説明をしていますね。

本来なら、叱るべきところなのでしょうが、あんなにみんな楽しそうなのですから、今日は目を瞑っておきます。

「お兄様、お兄様にもお土産を買って参りましたよ。

あちらで、お茶でも頂きながらお披露目いたしますね。」

そうだな、わたしもゆっくりさせていただきますか。



<<カトウ運輸警備課フロウ視点>>
いやぁ、快適な旅でした。

この2ヶ月間、会頭の新婚旅行を警護してきました。

当初は、ノンストップで馭者を入れて11人ってどんな罰ゲームかと思いましたが、とんでもありませんでした。

ノンストップですから野営もありません。
1日8時間は、睡眠を取れますので、家にいるよりも規則正しい生活を過ごせました。

馬車は常に結界に包まれており、魔物も盗賊も近づくことすら出来ません。

盗賊は、会頭の魔法で丸ごと一網打尽にして、縛っておきます。

近くの物流センターや配送センターにトランシーバーで連絡しておけば、その地の警備隊に突き出してくれるでしょう。

魔物は、基本的に魔法で焼いてしまいます。ビッグベアやビッグイール(大うなぎ)なんかの高級食材は、生け捕りにして、馬車の中で捌きます。

始めは、解体場が無かったのでいちいち止まっていたのですが、会頭が、馬車の中に解体場を増設してから、移動しながら解体ができるようになりました。
料理は、アリスさんの出番です。

アリスさんって、王都の最高級レストランのシェフにスカウトされるくらいの腕前らしいです。

王都に居ても食べられないような高級料理が馬車の中で、それも移動中に食べられるのです。

会頭も奥様も親切で、我々にも同じものを出して下さいます。

本当にありがたいことです。

各国や街に行けば、その地の警備隊が、護衛して下さいますので、わたし達は、1日単位のお休みが頂けます。

おかげ様で、大陸全ての国で観光することができました。

たくさんの土産物や土産話をみんなに分けてあげましょう。

またこんな旅があったら、是非志願したいと思います。

「最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く