最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第107話 【結婚式と披露宴の旅1】
<<アリス視点>>
おふたりの結婚式には、参列希望者が殺到しました。
救国の英雄と聖女様の結婚式です。
誰もが注目しています。
それに加え、おふたりの知人の多さです。
老若男女、貴族から農民まで、分け隔て無く接してこられたおふたりだからこその人望でしょう。
式の1ヶ月前までには参列者を決めておく必要がありますが、なかなか決まりません。
全員参加して頂くこともできず、おふたりからは、『身内だけで』とのご希望もありましたが、通るはずも無く、みんな頭を悩ませていました。
そんな時に、カトウ運輸のヤング様から提案がありました。
カトウ運輸が朝礼や教育に使用している、カメラとプロジェクタという魔道具を使って、全カトウ運輸の物流センターに配信しようというものです。
双方の魔道具共、旦那様が作られた物で、既に全ての物流センターに置かれているそうです。
「ヤングさん、それじゃあ準備お願いしますね。」
最初は渋っていた旦那様も、みんなに押し切られ、了承されました。
こうして、おふたりの結婚式は、カトウ運輸の物流センターに集まった全ての人々に見守られることとなりました。
ーーーーーーーーーーーーーー
「リザベート様、これ全部持って行くのですか?
馬車にはこんなに積めませんが。」
リザベート様につけてある侍女のメアリが目を丸くしてその荷物の山を見ています。
「メアリ、大丈夫よ。こうすれば入るの。」
リザベート様は腰につけたポーチを荷物に向かって開きます。
すると山のような荷物が全て吸い込まれていきました。
リザベート様は、唖然とするメアリを連れて馬車の中に入っていかれました。
2頭立ての馬車は、見た目はそれほど大きくは見えないのですが、その中はとても広くなっています。
亜空間というところにつながっているらしいのですが、よくわかりません。
5LDKのサイズで、風呂トイレ、キッチンにリビング、そして、マサル様、リザベート様のお部屋、随行するわたし達の部屋まであります。
馬車の中に広がっているお屋敷に、メアリは目を更に丸くして固まっています。
「さあ、家具を配置しましょう。
まずは、キッチンからね。
アリスさん、キッチンに置く物はこれだけだったわね。」
わたしはポーチから出された荷物を確認します。
「そうですね。これで全部です。
男手を使って配置させましょう。」
わたしは、今回同行するシェフや警護に当たる庭番を数人呼び、家具を運ぶよう指示します。
こんな非常識な光景は、いくら当家の使用人とはいえ、あまり見せないようにしましょう。
「じゃ次はリビングね。
その次は、メアリの部屋にしましょうか。」
リザベート様は楽しそうです。
結婚式の衣装が決まってから1週間ほど、馬車の中に入れる家具の調達にリザベート様とわたし、メアリの3人で、家具工房や商店を廻りました。
リザベート様は、金銭感覚に優れておられ、商人との駆け引きにも負けておられません。
品物を見る目も確かで、見た目に惑わされず機能的で且つ上品な物を吟味しておられます。
散財しか出来ない貴族婦人が多い中、非常に好感が持てますし、御家の未来は明るいでしょう。
リザベート様は、良い物を適切な価格で購入されますが、それだけではありません。
小さいながらも、良質な家具を適切な価格設定しているような工房や商店をチェックされておられます。
少し疑問に思い尋ねてみました。
「こういった店を育てていくことが、王国の産業の発展につながるのですよ。
経済が発展し、各国が経済力によって豊かさを競う時代になって来た時、こういった良い技術を持った職人や、キチンと物を判断でき、適切な値付けができる商人を多く抱えている国が有利になるの。
マサルさんに教えてもらったんだけどね。」
さすがは、王立アカデミーで歴代最高と言われる才女のリザベート様です。
「さてと、家具や備品も運び終わったわね。
食材はシェフに任せてと、あっそうだ、あれを入れなきゃ。」
「あれって、あの真っ黒な水と匂いのきつい茶色のものですか?」
「そうよ。あれは醤油と味噌って言って、マサルさんの故郷の調味料を再現したものなのよ。
これは、ハーバラ村の時に村のお母さん達みんなで再現に成功したものを、大事に増やしながら使っているのよ。
すごく栄養があってね、体調を崩した子供に味噌を入れたお湯を飲ませると元気になったりするのよね。
どんな食材にも合うのよ。
醤油もね、川魚なんかの臭みが取れて、いい味になるのよね。」
シェフ達も興味深そうに聞いています。
「マサルさん、料理も上手なの。
もし良かったら、この旅の間に、醤油や味噌を使った料理を教えてもらえるようにしましょうか?」
「ありがとうございます。是非お願い致します。」
「じゃあそうしましょう。
わたしも美味しいものが食べられて幸せだわ。」
「リザベート様、わたしも一緒に教えて頂いてよろしいでしょうか?」
「当たり前じゃない。メアリちゃん、あなたよく孤児院のお手伝いしているわよね。
味噌と醤油を少し分けてあげるから、増やし方と料理法を学んで、みんなに食べさせてあげてちょうだいね。」
「ありがとうございます。
頑張ります。」
こうして、馬車に荷物が全て積み込まれた翌日、新しく建てられたマリス教大聖堂で旦那様とリザベート様の結婚式が大陸全土の人々に見守られながら、厳かに行われたのです。
おふたりの結婚式には、参列希望者が殺到しました。
救国の英雄と聖女様の結婚式です。
誰もが注目しています。
それに加え、おふたりの知人の多さです。
老若男女、貴族から農民まで、分け隔て無く接してこられたおふたりだからこその人望でしょう。
式の1ヶ月前までには参列者を決めておく必要がありますが、なかなか決まりません。
全員参加して頂くこともできず、おふたりからは、『身内だけで』とのご希望もありましたが、通るはずも無く、みんな頭を悩ませていました。
そんな時に、カトウ運輸のヤング様から提案がありました。
カトウ運輸が朝礼や教育に使用している、カメラとプロジェクタという魔道具を使って、全カトウ運輸の物流センターに配信しようというものです。
双方の魔道具共、旦那様が作られた物で、既に全ての物流センターに置かれているそうです。
「ヤングさん、それじゃあ準備お願いしますね。」
最初は渋っていた旦那様も、みんなに押し切られ、了承されました。
こうして、おふたりの結婚式は、カトウ運輸の物流センターに集まった全ての人々に見守られることとなりました。
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「リザベート様、これ全部持って行くのですか?
馬車にはこんなに積めませんが。」
リザベート様につけてある侍女のメアリが目を丸くしてその荷物の山を見ています。
「メアリ、大丈夫よ。こうすれば入るの。」
リザベート様は腰につけたポーチを荷物に向かって開きます。
すると山のような荷物が全て吸い込まれていきました。
リザベート様は、唖然とするメアリを連れて馬車の中に入っていかれました。
2頭立ての馬車は、見た目はそれほど大きくは見えないのですが、その中はとても広くなっています。
亜空間というところにつながっているらしいのですが、よくわかりません。
5LDKのサイズで、風呂トイレ、キッチンにリビング、そして、マサル様、リザベート様のお部屋、随行するわたし達の部屋まであります。
馬車の中に広がっているお屋敷に、メアリは目を更に丸くして固まっています。
「さあ、家具を配置しましょう。
まずは、キッチンからね。
アリスさん、キッチンに置く物はこれだけだったわね。」
わたしはポーチから出された荷物を確認します。
「そうですね。これで全部です。
男手を使って配置させましょう。」
わたしは、今回同行するシェフや警護に当たる庭番を数人呼び、家具を運ぶよう指示します。
こんな非常識な光景は、いくら当家の使用人とはいえ、あまり見せないようにしましょう。
「じゃ次はリビングね。
その次は、メアリの部屋にしましょうか。」
リザベート様は楽しそうです。
結婚式の衣装が決まってから1週間ほど、馬車の中に入れる家具の調達にリザベート様とわたし、メアリの3人で、家具工房や商店を廻りました。
リザベート様は、金銭感覚に優れておられ、商人との駆け引きにも負けておられません。
品物を見る目も確かで、見た目に惑わされず機能的で且つ上品な物を吟味しておられます。
散財しか出来ない貴族婦人が多い中、非常に好感が持てますし、御家の未来は明るいでしょう。
リザベート様は、良い物を適切な価格で購入されますが、それだけではありません。
小さいながらも、良質な家具を適切な価格設定しているような工房や商店をチェックされておられます。
少し疑問に思い尋ねてみました。
「こういった店を育てていくことが、王国の産業の発展につながるのですよ。
経済が発展し、各国が経済力によって豊かさを競う時代になって来た時、こういった良い技術を持った職人や、キチンと物を判断でき、適切な値付けができる商人を多く抱えている国が有利になるの。
マサルさんに教えてもらったんだけどね。」
さすがは、王立アカデミーで歴代最高と言われる才女のリザベート様です。
「さてと、家具や備品も運び終わったわね。
食材はシェフに任せてと、あっそうだ、あれを入れなきゃ。」
「あれって、あの真っ黒な水と匂いのきつい茶色のものですか?」
「そうよ。あれは醤油と味噌って言って、マサルさんの故郷の調味料を再現したものなのよ。
これは、ハーバラ村の時に村のお母さん達みんなで再現に成功したものを、大事に増やしながら使っているのよ。
すごく栄養があってね、体調を崩した子供に味噌を入れたお湯を飲ませると元気になったりするのよね。
どんな食材にも合うのよ。
醤油もね、川魚なんかの臭みが取れて、いい味になるのよね。」
シェフ達も興味深そうに聞いています。
「マサルさん、料理も上手なの。
もし良かったら、この旅の間に、醤油や味噌を使った料理を教えてもらえるようにしましょうか?」
「ありがとうございます。是非お願い致します。」
「じゃあそうしましょう。
わたしも美味しいものが食べられて幸せだわ。」
「リザベート様、わたしも一緒に教えて頂いてよろしいでしょうか?」
「当たり前じゃない。メアリちゃん、あなたよく孤児院のお手伝いしているわよね。
味噌と醤油を少し分けてあげるから、増やし方と料理法を学んで、みんなに食べさせてあげてちょうだいね。」
「ありがとうございます。
頑張ります。」
こうして、馬車に荷物が全て積み込まれた翌日、新しく建てられたマリス教大聖堂で旦那様とリザベート様の結婚式が大陸全土の人々に見守られながら、厳かに行われたのです。
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