第97話　門での邂逅

早速中へ入ろうとするが・・・・凄い列だ。

どうすんだこれ？

そう思ったが・・・子爵様は、さも当然と言わんばかりに、もう一つある小さな門へ向かう。

え？いいのかそれ？

そう思うが、手招きしてくる。

「なあ・・・こんなでっかい都市に来た事ないから分からんが、いつもこんなのかな？」

「王都はこんなものと聞いてますよ。で、あの小さな門は、荷物がそれほどない富裕層か、貴族、王族しか使いませんけどね。」

「金なら商人の方があるんじゃねえのか？」

「いえ・・・荷物が・・・馬車に・・・・」

カチヤが指す先は、大きな門に並んでる列の一つ・・・やたらでっかい馬車に、荷物満載で並んでる。

「お、あれは儂の馬車でな・・・まあ、わしは先に入るんだが・・・お前さん方見ない顔だが・・・・貴族様かね？」

「ああ・・・・最近男爵になったばかりでな。今日は王様直々に呼び出し食らってな・・・・会った事ないけど。」

「なんと！王様が・・・・何かやらかしましたか？」

「いや・・・ダンジョンの不具合の、修正するきっかけを作ったというか・・・・」

「・・・・え・・・ええ！ではあなた様が噂の？」

「何だ噂って？」

「ついに地方のダンジョンが攻略されたと・・・・そして、その時にダンジョンの不具合を直したと聞き及んでおりますが・・・・」

「少し違うな。１００層は確かに行ったが・・・・俺は不具合を直してねえ。換金ボックスで神に通信して、知らせたけだ。不具合の元を見つけたからな。」

「おおお！素晴らしい！あ・・・あちらの方々がお連れ様ですか？１人は・・・・子爵様ですね。」

「知ってるのか？」


「私こう見えても国中を移動しまくってますから、有力貴族の顔は皆覚えておりますよ・ええ確か・・・・ポーテートの街ではなかったですかな？」

「ああ、その通りだ。」

「そうですか・・・ですが、少し変ですな。ダンジョンの解決をしてからまだ２週間経っておりませんが、どうやってポーテートから王都まで、来られたのですかな？あまりにも早すぎますな。」

「・・・・詳しくは言わないが、ダンジョン１００層、攻略した後な、ご褒美にここのダンジョンに行ける事になってな。本当はさっきまでポーテートのダンジョンだったのさ！」

・・・・少し違うがこう言っといた方がいいだろう・・・・

「何と何と！驚きの連続ですな！あ、そろそろ番ですな・・・・」

あ、俺は閃いた。このおじさん商人だろう？家の一つや二つ、工面してくれるんじゃねえか？もちろん金は出すが。

「なああんた・・・・俺ら暫くここに滞在するから・・・・家が欲しいのだが・・・いい物件ないか？」

「家ですかな？それはまあ、貴族様の元別荘やら色々扱ってはおりますが・・・・」

「じゃあ話は早い！いくつか見繕っといてくれ。あ、後であんたの店に寄らさせてもらおう。」

「おお！では・・・・左様ですか・・・・私の店は大通りに行けばすぐにわかると思いますが、私の名はメルヒオール・ゼーマン、ゼーマン商会をやっとります。」

「そうか・・・俺の名は、ランナルだ。ランナル・エクヴァル。男爵やってるらしい。」

「ではエクヴァル男爵様、後程お待ちしておりますよ。」

よく分からんが、商人と別れた。