暗黒騎士物語外伝
ハーピークエスト3
メモルと会った翌日、シズフェ達は船に乗ってキシュ河を上る。
空は晴れ、陽光が水面を反射してキラキラしている。
河を吹く風が心地良いとシズフェは思う。
しかし、全員がそうではなかった。
「まったくシズフェも物好きだな。何で、何の得にもならない事を引き受けるんだよ?それに何で俺まで連れ出されるんだ?」
側にいるノヴィスがぼやく。
ノヴィスは今回の依頼の内容に不満があるのだ。
実際に報酬も安く、全く利益ならないのは確かである。
それに、力と戦いの神トールズの教義では、1人を助けるために2人が犠牲になってはいけない。2人を助けるために1人が犠牲になる事が正しいとされる。
今回の依頼は1人を助けるために2人が犠牲になるかもしれない案件だ。
そのため、トールズの信徒であるノヴィスが不満に思うのは仕方がない事であった。
「もう、それは、悪かったって言っているでしょ! 報酬は私が後で出してあげるわよ!!」
「それはいらねえよ。俺も一応はシズフェの戦士団の仲間だからな。団長が決めた事には付き合うぜ。だが、不満ぐらいは言わせてくれよ」
ノヴィスは手を振って報酬を拒む。
ノヴィスは一応、シズフェが団長を務める戦士団の団員である。
なぜ、ノヴィスがシズフェ達の戦士団に入ったかと言えば読み書きができないからだ。
小さい頃はシズフェと一緒に粘土版で練習したはずなのに、全く身についていない。
ノヴィスからすれば優秀な戦士は読み書きなんか覚えなくても問題ないと思っているからだ。
そのため、読み書きを覚える気がないのだ。
しかし、そのためにノヴィスを戦士団に入団させるはめになった。
自由戦士協会の会員登録する方法には二通りの方法がある。
個人で登録する方法と団体で登録する方法だ。
ちなみに団体とは戦士団の事だ。
戦士団を作るか、もしくは既存の戦士団に入団して、その戦士団を通じて登録をするのである。
どちらにしろ、登録するには、書類を提出しなければならない。
個人で登録する場合、本人が読み書きを出来れば良いが、出来ない時は代筆してくれる人を雇い、代わりに書いてもらって書類を提出する。
実際にアリアディア共和国には代書屋もいるので、金銭さえあれば登録が可能だ。
そして、戦士団を通じて登録する場合は、戦士団に所属する書記等が書類を作成して提出するのである。
自由戦士協会の規約には団体を組織するときは必ず読み書きできる者が入団していなければいけないとされている。
団長が読み書き出来ない時は、書記役を入団させる必要があるのだ。
そのため有名で大きな戦士団には、戦闘をしない団員がいたりする。
また自由戦士協会はなるべく事務の負担を減らすためか、戦士団を組織する事を推奨している。
戦士団を作る事で色々と特典があるのだ。
ノヴィスをいれても6名しかいないが、シズフェ達も戦士団を作っている。
戦士団の名前は「麗しき乙女の戦士団」。
戦士団で登録する時は団体名を付けなければならないから、皆で考えた名前だ。
名前を付けた時は気にならなかったが、改めて考えると、すごく恥ずかしい名称である。
そのため、あまり名乗れないのが欠点だったりする。
ノヴィスは勇者と呼ばれるぐらいなのだからお金はあるだろう。
だから代書屋を雇えば良いのにとシズフェは思う。
しかし、ノヴィスはシズフェ達の戦士団に入る事を希望した。
おそらく、代書屋を探すのが面倒だったのだろう。甘えやがってとシズフェは思う。
まあ、シズフェも知らない仲ではないので、困った時はただ働きしてもらおうと思って、入団を許可した。
だから、今回一緒に来てもらったのであるが、ここまで不平を言われるとは思わなかった。
「ノヴィス君。可愛いシズフェちゃんの頼みなんだから。お願いを聞いてあげるべきだと思うなあ、私は」
話しを聞いていたのか、船に一緒に乗っているシェンナがノヴィスを窘める。
「シェンナさんが、そう言うなら仕方がないですね。もちろん、頑張りますよ!!」
ノヴィスがデレデレしながら言う。
先程までのやる気のなさが嘘みたいであった。
「全くこいつは……」
シズフェは頭が痛くなる。
「それにしてもシェンナさんと一緒に行けるとは、感激ですよ!!」
ノヴィスが握りこぶしを作って力を込めて言う。
確かにその事にシズフェも驚いた。
シェンナが一緒に船に乗っているとは思わなかったからだ。
「ところで今日はどうしたのですか、シェンナさん? どこかに講演に行くのですか?」
「いえ、仕事じゃないの。ちょっと気になる事があるから旅行と言った所かな。そういうシズフェさんこそ、どうしたの?」
「ああ、私達は仕事です。これからハーピーに攫われた子を助けに行く所です」
シズフェは依頼の内容を説明する。
別に秘密にしなければならない内容の仕事ではないので、言っても問題ないはずであった。
「なるほどね。助かると良いね」
「はい」
シズフェ達はその後、色々な事を話す。
ノヴィスがシェンナさ恋人の有無をしつこく尋ねるから、黙らせるのが大変であった。
そんな事を話していると船長にいたリジェナがこちらへと来る。
「シズフェさん。船旅はどうですか?」
「ありがとうございますリジェナさん。船に乗せていただいて」
シズフェはリジェナにお礼を言う。
昨日、シズフェ達が目的地に行くための船を探している時にたまたまリジェナに出会った。
話を聞いたら、リジェナは荷を積んで目的地の近くまで行く事がわかった。
そして、シズフェが途中まで船に乗せて欲しいとお願いしたら、快く承諾してくれた。
しかも、無料である。
報酬よりも出費が多い依頼なだけに、ありがたい事であった。
「別に構いませんよ。それに乗せているのはシズフェさん達だけじゃないですから」
リジェナは船室の方を見て言う。
リジェナの言うとおり私達の他に自由戦士の一団がこの船に乗っているのである。
シズフェが見たところあまり質の良くない戦士団のようであり、そのため近づきたいとは思わなかった。
「そうみたいですね。何という戦士団なのですか?」
「新緑の戦士団の方達ですよ。シズフェさん」
「新緑の戦士団ですって!?」
シズフェは思わず大声を出してしまう。
新緑の戦士団はフィネアスが所属していた戦士団であった。
(まさか、こんな所で出会うなんて……)
シズフェは偶然に驚く。
突然大声を出したので、リジェナは驚いた顔で私を見る。
「どうしたのですか? シズフェさん? 新緑の戦士団がどうかしたのですか?」
「いえ、その実は……」
シズフェは事情を説明する。
「そうだったのですか」
「まさか、そんな事情があったなんて……」
リジェナとシェンナが顔を見合わせる。
「あの、新緑の戦士団って、どういう人達なのですか?」
「どうと言われても。シズフェさん。トルマルキスさんの知り合いの戦士団としか……。ああ、そう言えば今日はいつもと違って、魔術師らしき方が同行されています。マディアさんなら知っているのではないでしょうか?」
リジェナは困った表情で言う。
確かに魔術師の事ならマディに聞いた方が早い。
その魔術師の情報から戦士団の事がわからないだろうかとシズフェは思う。
「そうですか、魔術師が乗っているのなら。マディが知っているかもしれませんね。聞いてきます」
シズフェはリジェナさんとシェンナさんとノヴィスと離れて、マディを呼びに船室に行く。
船室に行くとマディは船酔いになっているノーラをレイリアと共に看病しているところであった。
そのすぐそばには酒に酔って寝ているケイナがいる。
シズフェはマディの側に行くとこれまでの経緯を話す。
「シズちゃん。別に全ての人を知っているわけじゃないのだけど……」
船室に戻り事情を説明するとマディは微妙な顔をする。
魔術師の数は少ないが、それでも人口の多いアリアディア共和国では千人以上いる。
さすがにマディも全員は覚えてはいないのだろう。
「それでも、一応その人を見てもらえない? もしかして知っている人かもしれないよ」
「うん。まあ、そうだね。顔見知りの魔術師が乗っているのに、挨拶をしないのは失礼かもしれないものね」
シズフェはマディと共に新緑の戦士団の所に行く。
新緑の戦士団の人数は約18名程だ。中には12、3歳ぐらいの少年戦士もいる。
シズフェは少し離れた所から彼らを見る。
魔術師らしき人はすぐに見付かった。というよりもその人物は明らかに魔術師の格好をしていたから、わかりやすい。
その人は他の自由戦士達から少し離れた所で本を読んでいる。
「どう、マディ? 知っている人?」
「ううん、知らない。でも、あのローブから見て導師様かもしれない」
「えっ? 魔導師なの?」
シズフェが聞くとマディは頷く。
「うん、私の着ているローブと違うでしょ」
マディは自身の着ているローブを広げる。
魔導師とは魔術師を指導する事ができる能力を持った者に対して、魔術師協会が贈る称号である。
魔導師は他の魔術師を指導する立場にある。
そのため、世間では上位の魔術師だと思われている。
ちなみに魔導師よりも上位の称号は賢者である。最近会った黒髪の賢者チユキがそうだ。
そして、魔導師の称号を持たない魔術師とはローブに違いがあるようであった。
シズフェはマディのローブと見比べるが、違いがわからない。
「でも、おかしいな。アリアディアの魔術師協会支部に所属する導師様の中にあの人はいなかったと思う」
マディは首を傾げる。
「どういう事なの? アリアド同盟の外から来たのかな?」
シズフェも首を傾げる。
魔導師に比べて魔術師の数はさらに少ない。
当然支部に所属する魔導師も少ないので、マディもさすがに知っているはずであった。
「それはわからないよ、シズちゃん。もしかすると、私が知らないだけかもしれない。私が言うのもなんだけど、魔術師の中には引き籠る人って多いから」
「なるほど……」
シズフェは認識を改める。
魔術師は他に比べて変わり者が多いので、自身の研究所に籠って、出て来ない者もいるらしかった。
「でも、導師様に挨拶をしないのも失礼だから、会いに行こうよ、シズちゃん」
「そうね」
シズフェとマディは魔導師であろう男性に近づく。
シズフェ達が近づくと魔導師は本を読むのをやめて顔を上げる。
「君達は?」
「お初にお目にかかります、導師様。私の名はマディア。導師様と同じく知を探究する者でございます。ここで会いましたのも、何かの縁。名を聞かせてはいただけないでしょうか?」
マディが丁寧に口上を述べた後、恭しく礼をする。
そして、返答を待つ。
しかし、魔導師は答えず、少し考え込む。
「あの、導師様?」
反応がないのでマディがとまどう。
「ああ、すまない、魔術師マディア。私はサリアにて魔道を学び、導師の資格を得た者だ。そして、ここに来たのは隠密である。ゆえに名乗る事も許されぬ。名乗らぬ非礼を許していただきたい」
「い、いえ! 導師様! かような理由があったとは知らずに名を聞いて申し訳ありません!!」
マディは頭を下げる。
この魔導師は魔術都市サリアから来たみたいだ。そして、おそらく何か事情が有って、ここにいるようであった。
これならマディが彼を知らないのも無理はない。
(それにしても、名前を言う事も許されない事情とは何だろう? 新緑の戦士団と行動を共にしているのは、その事情からかしら?)
シズフェは疑問に思うが、これ以上聞く事はできない。
「そちらは?」
魔導師がシズフェを見る。
「ああ、こちらは我が友シズフェリア。彼女は女神レーナ様より加護を受けた戦乙女でございます」
「ほう、彼女が、あのレーナの戦乙女!? 確かに戦乙女の兜を身に付けているな」
魔導師は驚き、シズフェが被る左右に翼の飾りがついた兜を見る。
「導師様は、彼女の事をご存じなのですか?」
「いや、知らないが、女神レーナの黒い嵐を退けた奇跡は覚えている。あの暗黒騎士の魔力の波動は凄まじかった。彼の力ならば、アリアディア共和国のみならず、ミノン平野の国々を滅ぼす事もできるだろう。その暗黒騎士を退けた魔法とは一体何だったのか?非常に興味が引かれるな」
そう言って魔導師は遠くを見る。
おそらく、レーナの奇跡の事を思い出しているのだろう。
シズフェもあの時の事を思い出すと、感動で胸がいっぱいになる。
レーナの力により、あの暗黒騎士は前屈みになり苦しみ、そして退散する他なかったのである。
あの映像は世界中の人が見ていたらしい。
だから、魔導師もあの奇跡を見たのだろう。
「そのレーナの戦乙女ならば、さぞ素晴らしい力を持っているのだろうね。機会があるならば、ぜひとも、その力を調べたい物だ」
魔導師がシズフェを興味深く見る。
「確かに私は力を持っています。しかし、これは、私の力ではなく、レーナ様に授かりし力。レーナ様の力は魔術の研究材料ではありません。レーナ様に不敬です」
「思考に枷をはめるか。それは可能性を潰す事になる」
魔導師は残念そうに言う。
「思考は常に自由であれ。思考に禁忌を作らず、あらゆる可能性を模索せよ……」
マディも呟く。
それは魔術師協会の理念の一部であった。
魔術師達が信仰する、知識と書物の女神トトナ様の教義では内心は絶対に自由であるべきだと主張する。
そのため、何とトトナの教義では、神を疑う事すらも許される。
シズフェとしては正直信じられない事だ。
「その通りだよ、魔術師マディア。禁忌を作る事は、可能性を潰す事になる。より高みへと昇りたいのならば、悪魔の力を使う事も許されるべきだ」
魔導師は笑いながら言う。
シズフェはその瞳にはどこか狂気を感じる。
「そんな! 悪魔の力だなんて! 最大の禁忌です!!」
「しかし、戦乙女殿。あの大賢者マギウスは偉大なる悪魔使いであった。その力で様々な奇跡を起こしたのだよ」
魔導師は不敵な笑みを浮かべる。
大賢者マギウスは魔術師協会の創設者の1人だ。
800年以上を生きていて、今でも魔術都市サリアに住む魔術師達を指導している。
また、大賢者マギウスはトトナの使徒で、悪魔を使役する事ができるとの噂であった。
実際にその悪魔の力で助けられた人もいるとシズフェも聞いている。
「どうしたんですかい? 魔術師殿? 何か問題でもあったのか?」
シズフェが大声を出したせいだろうか、誰かが近づいてくる。
いかにも戦士と言う姿の男性だ。
「何でもない、団長。少々、この者達と語らっていただけだ」
魔導師は近づいて来た男性に手を振って言う。
「そうですかい。俺は新緑の戦士団の団長ワルラスだ。お嬢ちゃん、名前は何て言うのだい?」
ワルラスは値踏みするようにシズフェを見る。
笑っているが、その目の奥は笑っていない。
案外、魔導師以上よりも難敵かもしれなかった。
「私は……」
シズフェはそこで言葉をつまらせる。
(うっ、戦士団の名前……。言いたくない)
ワルラスは戦士団名を名乗ったのだから、シズフェも名乗るべきであった。
しかし、「麗しき乙女の団」を名乗れば笑われる可能性もある。
だから、シズフェはどうしようか悩む。
「彼女は女神レーナの戦乙女であるシズフェリア殿だよ、団長」
シズフェが名乗る前に魔導師が代わりに紹介する。
「ほう、あの女神の。その戦乙女様が魔術師殿に何の用だったのですかい?」
「いえ、仲間の魔術師が導師様を見かけたので挨拶しにきました。私はその付き添いです」
「なるほど。ところで戦乙女様は仕事ですかい?」
「はい。依頼主のため、内容は言えませんが……」
シズフェは言葉を濁す。
貴方達が見捨てた少年を助けに行くとはさすがに言えない。
「そりゃそうだ。俺達も依頼内容は言えねえ」
ワルラスは「がははは」と笑う。
どうやら怪しまれなかったようでシズフェは安心する。
「それでは、私達はこれで。レーナ様のご加護が有らんことを。行きましょう、マディ」
「うん、シズちゃん。それでは導師様、また機会があったら、知について語り合いましょう」
シズフェ達は去る。
新緑の戦士団の事が気になって接触を試みたが、特にわかった事は何もない。
だけど、あの魔導師は気になった。
「う~ん、マディ。あの魔導師様の事なんだけど、ちょっと気にならない?」
「えっ、そうかな。私の知っている導師様達も大体あんな感じだけど、魔術の事になると見境がなくなるというか……」
マディは首を傾げる。
高位の魔術師であればあるほど、魔術の研究の事になると見境がなくなる。
そのため、魔術師に中には道を踏み外す者も多い。
そのため、マディからしたら魔導師の態度は普通なのである。
「いや、そうじゃなくて、あの魔導師様に近づいた時に、何かすごい匂いがしたの」
シズフェは首を振る。
先程の魔導師に近づいた時にすごい匂いがしたのだ。
そして、その匂いはデキウスの持っていた魔法薬を何倍も強烈にした匂いだったのである。
「ああ、そういう事か、きっと魔法薬の匂いだね。他の魔術師で似た匂いをさせている人は多いよ」
「えっ、そうなの?」
「うん。まあ、あの匂いはちょっと強烈だったけどね」
シズフェはマディ程には魔術師の知り合いは少ない。マディが言うのなら、ああいう匂いをさせている魔術師は普通なのかもしれない。
「う~ん。だとしたら、私の気のせいかも……。戻りましょうか?」
一応納得した言葉を出すが、シズフェは腑に落ちない何かを感じる。
しかし、それが何なのか確認する方法はなかった。
仕方がないので、シズフェはマディと共に仲間達の所に戻るのだった。
◆
魔術師のマディアと戦乙女のシズフェリアが去るのをキリウスは見送る。
「まさか、戦乙女が一緒に乗っているとは思わなかったぜ」
ワルラスが去った女達を見て言う。
「確かにそうだね、ワルラス団長」
キリウスは頷く。
(ハーピーの事が気になったから、団長について来たが、こんな所で出会うとは思わなかったな)
キリウスがこのような目に会っているのは元はと言えばレーナのせいである。
レーナの光の勇者によって師であるタラボスは殺されたのだ。
それにワルラスの元主人であるアトラナもレーナによって消されたと聞いている。
その戦乙女は敵と見て良いだろう。
「ちっ、あの女神のせいで大損だぜ、くそったれ」
「しかし、団長。彼女達に手を出すのは得策ではない。ここは抑えるべきだ」
「わかっていやすよ」
ワルラスは仕方がないと舌打ちをする。
「そうか、それなら良い。さあ団長、旅を続けようではないか」
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
筆が進まない。
シズフェ編はもっと早く終わらせるつもりだったのですが……。
アルファポリスにも投稿開始したのですが、24hポイントって何でしょう?
どういう基準?
空は晴れ、陽光が水面を反射してキラキラしている。
河を吹く風が心地良いとシズフェは思う。
しかし、全員がそうではなかった。
「まったくシズフェも物好きだな。何で、何の得にもならない事を引き受けるんだよ?それに何で俺まで連れ出されるんだ?」
側にいるノヴィスがぼやく。
ノヴィスは今回の依頼の内容に不満があるのだ。
実際に報酬も安く、全く利益ならないのは確かである。
それに、力と戦いの神トールズの教義では、1人を助けるために2人が犠牲になってはいけない。2人を助けるために1人が犠牲になる事が正しいとされる。
今回の依頼は1人を助けるために2人が犠牲になるかもしれない案件だ。
そのため、トールズの信徒であるノヴィスが不満に思うのは仕方がない事であった。
「もう、それは、悪かったって言っているでしょ! 報酬は私が後で出してあげるわよ!!」
「それはいらねえよ。俺も一応はシズフェの戦士団の仲間だからな。団長が決めた事には付き合うぜ。だが、不満ぐらいは言わせてくれよ」
ノヴィスは手を振って報酬を拒む。
ノヴィスは一応、シズフェが団長を務める戦士団の団員である。
なぜ、ノヴィスがシズフェ達の戦士団に入ったかと言えば読み書きができないからだ。
小さい頃はシズフェと一緒に粘土版で練習したはずなのに、全く身についていない。
ノヴィスからすれば優秀な戦士は読み書きなんか覚えなくても問題ないと思っているからだ。
そのため、読み書きを覚える気がないのだ。
しかし、そのためにノヴィスを戦士団に入団させるはめになった。
自由戦士協会の会員登録する方法には二通りの方法がある。
個人で登録する方法と団体で登録する方法だ。
ちなみに団体とは戦士団の事だ。
戦士団を作るか、もしくは既存の戦士団に入団して、その戦士団を通じて登録をするのである。
どちらにしろ、登録するには、書類を提出しなければならない。
個人で登録する場合、本人が読み書きを出来れば良いが、出来ない時は代筆してくれる人を雇い、代わりに書いてもらって書類を提出する。
実際にアリアディア共和国には代書屋もいるので、金銭さえあれば登録が可能だ。
そして、戦士団を通じて登録する場合は、戦士団に所属する書記等が書類を作成して提出するのである。
自由戦士協会の規約には団体を組織するときは必ず読み書きできる者が入団していなければいけないとされている。
団長が読み書き出来ない時は、書記役を入団させる必要があるのだ。
そのため有名で大きな戦士団には、戦闘をしない団員がいたりする。
また自由戦士協会はなるべく事務の負担を減らすためか、戦士団を組織する事を推奨している。
戦士団を作る事で色々と特典があるのだ。
ノヴィスをいれても6名しかいないが、シズフェ達も戦士団を作っている。
戦士団の名前は「麗しき乙女の戦士団」。
戦士団で登録する時は団体名を付けなければならないから、皆で考えた名前だ。
名前を付けた時は気にならなかったが、改めて考えると、すごく恥ずかしい名称である。
そのため、あまり名乗れないのが欠点だったりする。
ノヴィスは勇者と呼ばれるぐらいなのだからお金はあるだろう。
だから代書屋を雇えば良いのにとシズフェは思う。
しかし、ノヴィスはシズフェ達の戦士団に入る事を希望した。
おそらく、代書屋を探すのが面倒だったのだろう。甘えやがってとシズフェは思う。
まあ、シズフェも知らない仲ではないので、困った時はただ働きしてもらおうと思って、入団を許可した。
だから、今回一緒に来てもらったのであるが、ここまで不平を言われるとは思わなかった。
「ノヴィス君。可愛いシズフェちゃんの頼みなんだから。お願いを聞いてあげるべきだと思うなあ、私は」
話しを聞いていたのか、船に一緒に乗っているシェンナがノヴィスを窘める。
「シェンナさんが、そう言うなら仕方がないですね。もちろん、頑張りますよ!!」
ノヴィスがデレデレしながら言う。
先程までのやる気のなさが嘘みたいであった。
「全くこいつは……」
シズフェは頭が痛くなる。
「それにしてもシェンナさんと一緒に行けるとは、感激ですよ!!」
ノヴィスが握りこぶしを作って力を込めて言う。
確かにその事にシズフェも驚いた。
シェンナが一緒に船に乗っているとは思わなかったからだ。
「ところで今日はどうしたのですか、シェンナさん? どこかに講演に行くのですか?」
「いえ、仕事じゃないの。ちょっと気になる事があるから旅行と言った所かな。そういうシズフェさんこそ、どうしたの?」
「ああ、私達は仕事です。これからハーピーに攫われた子を助けに行く所です」
シズフェは依頼の内容を説明する。
別に秘密にしなければならない内容の仕事ではないので、言っても問題ないはずであった。
「なるほどね。助かると良いね」
「はい」
シズフェ達はその後、色々な事を話す。
ノヴィスがシェンナさ恋人の有無をしつこく尋ねるから、黙らせるのが大変であった。
そんな事を話していると船長にいたリジェナがこちらへと来る。
「シズフェさん。船旅はどうですか?」
「ありがとうございますリジェナさん。船に乗せていただいて」
シズフェはリジェナにお礼を言う。
昨日、シズフェ達が目的地に行くための船を探している時にたまたまリジェナに出会った。
話を聞いたら、リジェナは荷を積んで目的地の近くまで行く事がわかった。
そして、シズフェが途中まで船に乗せて欲しいとお願いしたら、快く承諾してくれた。
しかも、無料である。
報酬よりも出費が多い依頼なだけに、ありがたい事であった。
「別に構いませんよ。それに乗せているのはシズフェさん達だけじゃないですから」
リジェナは船室の方を見て言う。
リジェナの言うとおり私達の他に自由戦士の一団がこの船に乗っているのである。
シズフェが見たところあまり質の良くない戦士団のようであり、そのため近づきたいとは思わなかった。
「そうみたいですね。何という戦士団なのですか?」
「新緑の戦士団の方達ですよ。シズフェさん」
「新緑の戦士団ですって!?」
シズフェは思わず大声を出してしまう。
新緑の戦士団はフィネアスが所属していた戦士団であった。
(まさか、こんな所で出会うなんて……)
シズフェは偶然に驚く。
突然大声を出したので、リジェナは驚いた顔で私を見る。
「どうしたのですか? シズフェさん? 新緑の戦士団がどうかしたのですか?」
「いえ、その実は……」
シズフェは事情を説明する。
「そうだったのですか」
「まさか、そんな事情があったなんて……」
リジェナとシェンナが顔を見合わせる。
「あの、新緑の戦士団って、どういう人達なのですか?」
「どうと言われても。シズフェさん。トルマルキスさんの知り合いの戦士団としか……。ああ、そう言えば今日はいつもと違って、魔術師らしき方が同行されています。マディアさんなら知っているのではないでしょうか?」
リジェナは困った表情で言う。
確かに魔術師の事ならマディに聞いた方が早い。
その魔術師の情報から戦士団の事がわからないだろうかとシズフェは思う。
「そうですか、魔術師が乗っているのなら。マディが知っているかもしれませんね。聞いてきます」
シズフェはリジェナさんとシェンナさんとノヴィスと離れて、マディを呼びに船室に行く。
船室に行くとマディは船酔いになっているノーラをレイリアと共に看病しているところであった。
そのすぐそばには酒に酔って寝ているケイナがいる。
シズフェはマディの側に行くとこれまでの経緯を話す。
「シズちゃん。別に全ての人を知っているわけじゃないのだけど……」
船室に戻り事情を説明するとマディは微妙な顔をする。
魔術師の数は少ないが、それでも人口の多いアリアディア共和国では千人以上いる。
さすがにマディも全員は覚えてはいないのだろう。
「それでも、一応その人を見てもらえない? もしかして知っている人かもしれないよ」
「うん。まあ、そうだね。顔見知りの魔術師が乗っているのに、挨拶をしないのは失礼かもしれないものね」
シズフェはマディと共に新緑の戦士団の所に行く。
新緑の戦士団の人数は約18名程だ。中には12、3歳ぐらいの少年戦士もいる。
シズフェは少し離れた所から彼らを見る。
魔術師らしき人はすぐに見付かった。というよりもその人物は明らかに魔術師の格好をしていたから、わかりやすい。
その人は他の自由戦士達から少し離れた所で本を読んでいる。
「どう、マディ? 知っている人?」
「ううん、知らない。でも、あのローブから見て導師様かもしれない」
「えっ? 魔導師なの?」
シズフェが聞くとマディは頷く。
「うん、私の着ているローブと違うでしょ」
マディは自身の着ているローブを広げる。
魔導師とは魔術師を指導する事ができる能力を持った者に対して、魔術師協会が贈る称号である。
魔導師は他の魔術師を指導する立場にある。
そのため、世間では上位の魔術師だと思われている。
ちなみに魔導師よりも上位の称号は賢者である。最近会った黒髪の賢者チユキがそうだ。
そして、魔導師の称号を持たない魔術師とはローブに違いがあるようであった。
シズフェはマディのローブと見比べるが、違いがわからない。
「でも、おかしいな。アリアディアの魔術師協会支部に所属する導師様の中にあの人はいなかったと思う」
マディは首を傾げる。
「どういう事なの? アリアド同盟の外から来たのかな?」
シズフェも首を傾げる。
魔導師に比べて魔術師の数はさらに少ない。
当然支部に所属する魔導師も少ないので、マディもさすがに知っているはずであった。
「それはわからないよ、シズちゃん。もしかすると、私が知らないだけかもしれない。私が言うのもなんだけど、魔術師の中には引き籠る人って多いから」
「なるほど……」
シズフェは認識を改める。
魔術師は他に比べて変わり者が多いので、自身の研究所に籠って、出て来ない者もいるらしかった。
「でも、導師様に挨拶をしないのも失礼だから、会いに行こうよ、シズちゃん」
「そうね」
シズフェとマディは魔導師であろう男性に近づく。
シズフェ達が近づくと魔導師は本を読むのをやめて顔を上げる。
「君達は?」
「お初にお目にかかります、導師様。私の名はマディア。導師様と同じく知を探究する者でございます。ここで会いましたのも、何かの縁。名を聞かせてはいただけないでしょうか?」
マディが丁寧に口上を述べた後、恭しく礼をする。
そして、返答を待つ。
しかし、魔導師は答えず、少し考え込む。
「あの、導師様?」
反応がないのでマディがとまどう。
「ああ、すまない、魔術師マディア。私はサリアにて魔道を学び、導師の資格を得た者だ。そして、ここに来たのは隠密である。ゆえに名乗る事も許されぬ。名乗らぬ非礼を許していただきたい」
「い、いえ! 導師様! かような理由があったとは知らずに名を聞いて申し訳ありません!!」
マディは頭を下げる。
この魔導師は魔術都市サリアから来たみたいだ。そして、おそらく何か事情が有って、ここにいるようであった。
これならマディが彼を知らないのも無理はない。
(それにしても、名前を言う事も許されない事情とは何だろう? 新緑の戦士団と行動を共にしているのは、その事情からかしら?)
シズフェは疑問に思うが、これ以上聞く事はできない。
「そちらは?」
魔導師がシズフェを見る。
「ああ、こちらは我が友シズフェリア。彼女は女神レーナ様より加護を受けた戦乙女でございます」
「ほう、彼女が、あのレーナの戦乙女!? 確かに戦乙女の兜を身に付けているな」
魔導師は驚き、シズフェが被る左右に翼の飾りがついた兜を見る。
「導師様は、彼女の事をご存じなのですか?」
「いや、知らないが、女神レーナの黒い嵐を退けた奇跡は覚えている。あの暗黒騎士の魔力の波動は凄まじかった。彼の力ならば、アリアディア共和国のみならず、ミノン平野の国々を滅ぼす事もできるだろう。その暗黒騎士を退けた魔法とは一体何だったのか?非常に興味が引かれるな」
そう言って魔導師は遠くを見る。
おそらく、レーナの奇跡の事を思い出しているのだろう。
シズフェもあの時の事を思い出すと、感動で胸がいっぱいになる。
レーナの力により、あの暗黒騎士は前屈みになり苦しみ、そして退散する他なかったのである。
あの映像は世界中の人が見ていたらしい。
だから、魔導師もあの奇跡を見たのだろう。
「そのレーナの戦乙女ならば、さぞ素晴らしい力を持っているのだろうね。機会があるならば、ぜひとも、その力を調べたい物だ」
魔導師がシズフェを興味深く見る。
「確かに私は力を持っています。しかし、これは、私の力ではなく、レーナ様に授かりし力。レーナ様の力は魔術の研究材料ではありません。レーナ様に不敬です」
「思考に枷をはめるか。それは可能性を潰す事になる」
魔導師は残念そうに言う。
「思考は常に自由であれ。思考に禁忌を作らず、あらゆる可能性を模索せよ……」
マディも呟く。
それは魔術師協会の理念の一部であった。
魔術師達が信仰する、知識と書物の女神トトナ様の教義では内心は絶対に自由であるべきだと主張する。
そのため、何とトトナの教義では、神を疑う事すらも許される。
シズフェとしては正直信じられない事だ。
「その通りだよ、魔術師マディア。禁忌を作る事は、可能性を潰す事になる。より高みへと昇りたいのならば、悪魔の力を使う事も許されるべきだ」
魔導師は笑いながら言う。
シズフェはその瞳にはどこか狂気を感じる。
「そんな! 悪魔の力だなんて! 最大の禁忌です!!」
「しかし、戦乙女殿。あの大賢者マギウスは偉大なる悪魔使いであった。その力で様々な奇跡を起こしたのだよ」
魔導師は不敵な笑みを浮かべる。
大賢者マギウスは魔術師協会の創設者の1人だ。
800年以上を生きていて、今でも魔術都市サリアに住む魔術師達を指導している。
また、大賢者マギウスはトトナの使徒で、悪魔を使役する事ができるとの噂であった。
実際にその悪魔の力で助けられた人もいるとシズフェも聞いている。
「どうしたんですかい? 魔術師殿? 何か問題でもあったのか?」
シズフェが大声を出したせいだろうか、誰かが近づいてくる。
いかにも戦士と言う姿の男性だ。
「何でもない、団長。少々、この者達と語らっていただけだ」
魔導師は近づいて来た男性に手を振って言う。
「そうですかい。俺は新緑の戦士団の団長ワルラスだ。お嬢ちゃん、名前は何て言うのだい?」
ワルラスは値踏みするようにシズフェを見る。
笑っているが、その目の奥は笑っていない。
案外、魔導師以上よりも難敵かもしれなかった。
「私は……」
シズフェはそこで言葉をつまらせる。
(うっ、戦士団の名前……。言いたくない)
ワルラスは戦士団名を名乗ったのだから、シズフェも名乗るべきであった。
しかし、「麗しき乙女の団」を名乗れば笑われる可能性もある。
だから、シズフェはどうしようか悩む。
「彼女は女神レーナの戦乙女であるシズフェリア殿だよ、団長」
シズフェが名乗る前に魔導師が代わりに紹介する。
「ほう、あの女神の。その戦乙女様が魔術師殿に何の用だったのですかい?」
「いえ、仲間の魔術師が導師様を見かけたので挨拶しにきました。私はその付き添いです」
「なるほど。ところで戦乙女様は仕事ですかい?」
「はい。依頼主のため、内容は言えませんが……」
シズフェは言葉を濁す。
貴方達が見捨てた少年を助けに行くとはさすがに言えない。
「そりゃそうだ。俺達も依頼内容は言えねえ」
ワルラスは「がははは」と笑う。
どうやら怪しまれなかったようでシズフェは安心する。
「それでは、私達はこれで。レーナ様のご加護が有らんことを。行きましょう、マディ」
「うん、シズちゃん。それでは導師様、また機会があったら、知について語り合いましょう」
シズフェ達は去る。
新緑の戦士団の事が気になって接触を試みたが、特にわかった事は何もない。
だけど、あの魔導師は気になった。
「う~ん、マディ。あの魔導師様の事なんだけど、ちょっと気にならない?」
「えっ、そうかな。私の知っている導師様達も大体あんな感じだけど、魔術の事になると見境がなくなるというか……」
マディは首を傾げる。
高位の魔術師であればあるほど、魔術の研究の事になると見境がなくなる。
そのため、魔術師に中には道を踏み外す者も多い。
そのため、マディからしたら魔導師の態度は普通なのである。
「いや、そうじゃなくて、あの魔導師様に近づいた時に、何かすごい匂いがしたの」
シズフェは首を振る。
先程の魔導師に近づいた時にすごい匂いがしたのだ。
そして、その匂いはデキウスの持っていた魔法薬を何倍も強烈にした匂いだったのである。
「ああ、そういう事か、きっと魔法薬の匂いだね。他の魔術師で似た匂いをさせている人は多いよ」
「えっ、そうなの?」
「うん。まあ、あの匂いはちょっと強烈だったけどね」
シズフェはマディ程には魔術師の知り合いは少ない。マディが言うのなら、ああいう匂いをさせている魔術師は普通なのかもしれない。
「う~ん。だとしたら、私の気のせいかも……。戻りましょうか?」
一応納得した言葉を出すが、シズフェは腑に落ちない何かを感じる。
しかし、それが何なのか確認する方法はなかった。
仕方がないので、シズフェはマディと共に仲間達の所に戻るのだった。
◆
魔術師のマディアと戦乙女のシズフェリアが去るのをキリウスは見送る。
「まさか、戦乙女が一緒に乗っているとは思わなかったぜ」
ワルラスが去った女達を見て言う。
「確かにそうだね、ワルラス団長」
キリウスは頷く。
(ハーピーの事が気になったから、団長について来たが、こんな所で出会うとは思わなかったな)
キリウスがこのような目に会っているのは元はと言えばレーナのせいである。
レーナの光の勇者によって師であるタラボスは殺されたのだ。
それにワルラスの元主人であるアトラナもレーナによって消されたと聞いている。
その戦乙女は敵と見て良いだろう。
「ちっ、あの女神のせいで大損だぜ、くそったれ」
「しかし、団長。彼女達に手を出すのは得策ではない。ここは抑えるべきだ」
「わかっていやすよ」
ワルラスは仕方がないと舌打ちをする。
「そうか、それなら良い。さあ団長、旅を続けようではないか」
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
筆が進まない。
シズフェ編はもっと早く終わらせるつもりだったのですが……。
アルファポリスにも投稿開始したのですが、24hポイントって何でしょう?
どういう基準?
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コメント
眠気覚ましが足りない
更新お疲れ様です。
まぁそう焦らず、まずは気持ちを落ち着けましょう。
焦ると視野が狭くなって失敗してしまうかもしれませんから。
根崎タケル
更新しました。
眠気覚ましが足りない様。誤字報告ありがとうございます。