霧の異世界物語(ミスティアストーリー)

みうけん

第四話  作戦会議

ヨルフ「シャウル、この馬車の様なものはなんだ?三百年前にも同じような乗り物を見たことがあるが、それとはすこし違うな。」
シャウル「これはオウルの乗り物の一つであるソルゴーです。この中に魔術師の応援が乗っています。」
ヨルフ「下りて私にそれを見せるのだ。」
シャウル「ミルオースさん、ソルゴーの中の魔術師たちを下ろしてください。」
シャウルがそう言うとソルゴーの中から何人もの魔術師が下りてきた。ちなみにシャウルの中でのイメージでは魔術師とはフード付きマントを常にかぶっているようなものだったが、中にはパスジルのように騎士の様な見た目をした者もいて、みんな顔を出している。鎧や服の色は見分けのために全員緑統一で男の人だけかと思ったら女性も交じっている。ソルゴーを下りてくる魔術師の列の一番最後にマユイルが下りてきた。マユイルが最後で魔術師の列は途切れ、応援に来た全員がソルゴーから下りた。
シャウルはパスジルとモーシーは来ていないことを少し残念に思った。
ヨルフ「ほう。これが今回応援に駆けつけてくれた魔術師たちか。なかなかいるではないか、よくやったぞシャウル。そして来てくれて感謝するぞ魔術師たちよ。それではこれからコスロー防衛のための作戦を立てる。まずこちらの戦力は魔術師が二百名、木のゴーレムが千体に森の賢者とジュコイルの聖女がそれぞれ一人、敵の戦力は多く見積もって魔物の軍勢が二万に炎の悪魔メジクリアスだ。まず森の中には動物や木々もある。森の中での戦闘は避けたい、アルンとコスローの間での戦闘を前提に考えてもらいたい。」
マユイル「まず炎の悪魔メジクリアスにはたった一人でコスローを燃やし尽くす力があり、シャウルと私でくい止め、倒す必要があるでしょう。そのため残りの魔術師二百名と木のゴーレム千体が二万の魔物の群れとぶつかる構造になります。」
ヨルフ「私の記憶が正しければジュコイルの聖女とは霧の魔術を使う対多数に強い魔術師だった気もするが?」
マユイル「確かに私はメジクリアスにはぶつからずに二万の魔物の群れと戦った方がいいのかもしれません。」
シャウル「以前メジクリアスと戦った時にはまずヤツの発する灼熱の熱気を冷却する必要がありました。また、私の弓でヤツの体力を削ることも可能でした。魔術師二百名で取り囲み、メジクリアスを冷却しながら私が倒すのが得策です。マユイルは二万の魔物を相手にした方がよいでしょう。」
マユイル「確かにそうかもしれません。」
ヨルフ「ではほかに意見のある者はいるか?もちろんほかの魔術師も話してもよいぞ。」
魔術師たちから他の意見はなかった。
ヨルフ「では決定でよいな。マユイルと木のゴーレム千体は二万の魔物の群れの相手、魔術師二百名とシャウルは炎の悪魔メジクリアスの相手をして両方の戦場で勝利を収める。」
マユイル「それで構いません。」
シャウル「私もそれで構いませんが一つ問題があります。おそらくメジクリアスはこちらに捕捉されないように動いてくるはずです。どうやって見つけるのですか?」
ヨルフ「最悪コスローの大森林に入ってくれば分かり、テレパシーを送って知らせられるがそれ以外には思いつかない。」
途端に今まで静かだった魔術師の一人が口を開いた。
魔術師の一人「そのことであれば私の道具を使えば良いと思います。」
そう言うと魔術師は方位磁石の様なものを取り出した。
魔術師の一人「これは半径一キロ以内の中でより魔力の高い方向を刺すコンパスです。この近くで最も高い魔力を持っている大樹ヨルフから一キロ以上離れれば、コンパスのさす方向に炎の悪魔メジクリアスがいるでしょう。」
ヨルフ「確かにこれがあれば作戦は完成したと言えるだろう。ではほかに何かある者はいるか?」
辺りは静かになった。
ヨルフ「では各々解散し作戦会議をするなり休むなりコスロー内であれば好きにすると良い。見張りには木のゴーレムを一体つけている。もし魔物の軍勢が来ればゴーレム知らせが来る。知らせが来たらシャウルに合図をする。シャウルが伝えやすいようにシャウルの半径百メートル以内には入っておけ」

そう言うと魔術師たちは解散し、ヨルフのもとは静かになった。

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