完璧な辺境伯のお父様が大好きな令嬢は、今日も鈍感

蓮 怜

12、武道具店

お父様が向かったのは大通りの人がたくさん歩いているところからは少し外れたところだった。
いつもの朝の賑やかな感じはなく、どこかひっそりとしているところだった。


「お父様、本当にここであってるの?」


そう私が聞いたのは、お父様が古ぼけた大きな店のようなところで止まった時だった。
「あぁ」とこたえたお父様はそのまま店に入った。


カランカラン


と言うベルの音が響くと中にいる人たちが私たちを見た。中にいる人はいかにも剣をやってるみたいな体格がいい人ばかりだ。
そんな人たちから一斉に見られても特に怖いという恐怖心は起きない。なぜなら、うちの騎士団も同じようなものだからだ。もっというとこの人たちよりも大きい人たちがたくさんいる。お父様とライマが特別なだけで、大体の騎士は力がないと強くはなれない。技だけでうちの騎士団に入れるのは本当に才能がある人だけだ。
そんな訳で私は何も気にせず中に入っていくと


「お嬢ちゃん、ここは危ないところだから外に行きな」


多分優しさのつもりなのだろう中にいる客の中でも強面の人が言った。


「ご忠告ありがとう。でも大丈夫よ。私、剣を習っているからちゃんと扱い方を知っているわ」
「ア゛ア゛!!」


その男が威嚇するような声をあげた。するとお父様が私の前に立って


「私の連れになんか用か?」


なんてドスを聞かせた声で言った。


「なんだよ…っていつも兄さんじゃないか!」


そういうとその男の人はすぐにどこかへ行ってしまった。


「エリー、怖かっただろう?」
「これぐらい全然大丈夫。だって騎士団にいる人で見慣れてるから」


フッ、少し脅されただけで泣いちゃうようなそこらへんの子供とは違うのです!
そうして私たちは店の中に入った。




「お父様、見て!この剣。私もこの剣が欲しい!」
「これは大きいからうまく使うには身長がデカくないと厳しいぞ?」
「それでも…」


と言い募ろうとした時、後ろから「フォッフォッフォッフォ」と笑う声がした。


「お嬢さん、お兄さんのいう通りだよ。これを使ってもお嬢ちゃんは強くなれない。」
「どうして?」
「自分に合う剣じゃないと相手を油断させるような動きが取りにくいからだ。それに動きも遅くなる。」
「う、う〜ん。でも、すごくかっこいい!」
「分かった!お嬢ちゃんが大きくなったらもっとかっこいいものを作ってやろう!」
「これおじいさんが作ったの?」


興味深々な私笑いながらそうだと答えた。


「じゃあ大きくなったらまた買いに行くわ!」
「楽しみにしております。」


結局私はお父様に短剣を買ってもらって店を出た。まるで装飾品のような飾りがついているが鞘から出すと鋭い刃が出てきてとても気に入った。


「ありがとうお父様!」
「気に入ったならいい、護身用にいつでも持っておきなさい」
「はーい!」

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