完璧な辺境伯のお父様が大好きな令嬢は、今日も鈍感

蓮 怜

6、お、お父様??

お父様は簡単そうに私をみる。


「団長、エミリア様との筋肉量の差を考えてください」


私が完全に呆気にとられているとライマが冷静に言った。
あぁそういえばと言う様に納得した表情をしたお父様が私の腕を触った。


「まだ剣を持つのはきついか?」
「そんな事ないよ!!」


慌ててそう言ったがお父様には見破れていた様で私のフニフニした腕を握ったまま「筋トレもするか!」と爽やかに言った。
その時の絶望した私の顔をみんなにも見せてあげたいくらいだ。ライマも露骨に嫌そうな顔を隠そうともしていなかった。




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地獄だった。お父様がそう言った時から覚悟をしていたが、ホンッットにもう何もしたくない。部屋に戻ってきた私は言うなれば生ける屍状態だった。
侍女達に全ての世話をして貰ってベットですでに横になっている。部屋についてから一歩も歩かずに寝るまでの状態でいれることに本当に感謝しかない。ちなみに、疲れて過ぎている日は食欲も出なくなり夕食を食べない。侍女達は、いつものことなので夕食は持ってこない。その分、早い時間から多めの朝食を用意してくれる。ホントに優秀な人ばかりで助かるなぁと思いながら、今日の地獄を思い出した。




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お父様は、まず『リスト&アンクルウェイト』という手につけるリストバンドの重りをつけられる。私は、手首一つに5キロづつの重りで済んだが、ライマは手首一つに20キロの重りをつけられていた。可哀想にと思いながらライマを見ているとすごくにらまれた。いつもは、丁寧な姿勢を崩すことなんてないが大変そうなときにおちょくるように見るとあんな風ににらまれる。しかもライマは、街にいる破落戸なんかよりも迫力が段違いだ。人によれば腰を抜かすほどだ。まぁ今は、ウキウキとお父様から20キロの重りをつけられていてなんだか間抜けに見える人からにらみつけられているなとしか思っていないけど…w
重りをつけた後は、30キロの重りをつけたお父様と一緒に300mダッシュを5セット行う。少し休憩をとったあとすぐに手につけていた重りを足に変えてキックの練習をする。足の高さが低いとお父様から注意をされる。キックの練習は10分間を3セット。その後に両手両足に重りがついた状態で300mダッシュを5セット。休憩して重りをそのままで腹筋を50回を3セット。最後に重りを全てとった状態で500mダッシュを5セット、真剣での素振り100回でようやく筋トレが終わった。
終わった瞬間全ての気力が無くなることを感じた。なんとか部屋まで自分の足で帰ることができた。


私は、最初のダッシュだけで腕がもげそうになった。二の腕が張ってものすごく痛くなった。ライマの表情に余裕がなくなったのはキックの練習の後半あたりからだった。本当はダッシュの時からキツかったのだろうが、表情までごまかすことができなくなったのはそこからだ。本当にお父様は、その男性にしては太くはない腕のどこに筋肉を隠しているのだろうか?謎で仕方が無い。




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「お嬢様、もうお休み下さい。」


とドロシーが言いながら私に布団をかけた。私は、その言葉に素直に従い、目を閉じた。



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