完璧な辺境伯のお父様が大好きな令嬢は、今日も鈍感

蓮 怜

5、お父様と剣の練習

屋敷に着いてから庭に向かうとすでに騎士達が着いていた。


「ライマ!!」


騎士達の中から私の剣の教師を見つけて声をかけた。


「エミリア様、お帰りなさい」
「騎士のみんな私達より遅くに屋敷を出たのに早く着いているの?!!」
「それは、エミリア様達とは、別のルートを使いましたから」
「それでも早すぎるよ!」
「馬車と馬ではスピードも違いますから」


絶対おかしい!と思いながらむくれていると


「エミリア様も剣の練習をなさいますか?」
「もちろん!!」


当たり前でしょ!と言うふうに言うと「なら着替えてきてください」と言われたので素直に着替えることにした。




ーーーーーーー




「ライマ、着替えた来たよ!ってお父様も一緒にするの?」


着替えてライマの所へ行くとなんとお父様もいた。


「エリー、一緒に鍛錬するか?」
「はい!お父様!!」
「よしっ、その前にライマと久しぶりに一戦しとくか〜?」
「マジで言ってます!?」
「ライマ!!頑張って!」
「エミリア様まで…
 ハァ〜分かりました…」


そう言うとライマは練習用の木刀をお父様に向かって構えた。


「そうこなくてはな」




そう言って近くにあった木刀をとるお父様に向かってライマが一気に距離を縮める様にかけていく。ライマの木刀が当たる前にお父様は木刀で攻撃を防ぐ。そして威力を右にずらしてライマを払い除けすぐさまライマに向かって木刀を振る。それを予測していたライマがギリギリのところで体を捻り攻撃を避ける。体制を整えたライマとお父様は真っ向からいっせいに木刀振る。2人の木刀がギリギリと音を立てそうな程力が真っ向からぶつかる。そこから先に動いたのはお父様で剣を少しずらして力を加える部分を変えた様に見えたら、


「いっっっっった!!!!」


ライマが叫んで木刀が地面に落ちた。


「お父様、ライマに何があったのですか?」


手首の辺りを抑えながら痛がっているライマを見ながらお父様に聞いた。


「木刀を動かして手首に力がいく様にして木刀が手から離れる様にしたんだ」


機嫌良さそうに鼻を鳴らしてお父様は言った。ライマが手首を回しながら


「団長!本気でやりましたよね!!」


少し怒った様に言った。


「ライマ!私も出来るかな??」
「エミリア様、アレはそう簡単に出来るものではありません。」
「なんで?」
「剣の位置をずらすには正面にいる敵の力がかかった状態で手首にだけ力がかかるように微妙にずらすんです。正面から力がかかっている分変な方向にいってしまい、逆に自分に敵の剣が当たって怪我をしてしまうかもしれないのです。」
「お父様はなんで狙ったところに力を加えることができるの?」
「相手の力がどこにどのくらい加わっているのか見極めるんだ。見極めれる様になるにはたくさんの人と剣を交え、見極めて剣を動かせる様になり、思ったところに動かせる様になるにはもっと多くの練習と傷がつきものだ。力もな。
エリーは、どんなに練習をしても実戦で使うには危険が多すぎる。他の練習をした方が勝率は、上がるだろう」
「えぇ〜〜〜!」
「ライマ、危険な練習はエリーにさせるなよ」
「分かっております。」
「お父様、本当のホントに言ってるの!?」
「もちろんだ。怪我でもしたら大変だろう?」
「怪我なんかしないよ?安全にするから〜
 私もカッコよく使ってみたい〜〜!!」
「そんなことを言うなら、危険な剣の練習もやめないといけないな」
「わ、わ、分かりました!!」
(お父様の見えないところで練習するしかなさそうだなぁ)
「ライマは、エリーが危険な真似をしないようにしっかりみておけ」
「えぇ〜!!そんなぁ!!」


分かっています、とキラキラした笑顔でライマが返事し、今日は真剣を私に渡した。


「今日は、騎士たちがいつもやっている素振りを真剣でやりますよ」


真剣を持つとずっしりとした重さが腕にのしかかった。
今まで鍛えてきた分、すぐに剣を落としてしまうことはないが腕に負荷がかかっていることをありありと感じられる。
気合を入れる様に深く息を吸って剣を握りしめた。
お父様達は慣れているので軽々と剣を持ち、ブンッと音を鳴らしながら剣を振った。
私も負けずに剣を振るが全く音がならない。そこから何度か力を込めてやってみるが音がなる気配はなく、腕に痛みを感じる様になってきた。


「ハァ、ハァ、おかしいな」


息を切らしながら言うと


「もっと剣を早く振るんだ」


そう言って私の剣を私の手の上から握ってお父様と一緒に振り下ろす。お父様が持つと一気に軽くなり、ブンッと剣が音を立てた。


「ほら、簡単だろう?」



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