〜異世界で契約した従魔がEXランクの魔物達でした〜

ノベルバユーザー327690

第35話〜武魔法大会前夜祭〜

第2章 イングレア王立学園編
第35話〜武魔法大会前夜祭〜
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 いよいよ明日に迫った武魔法大会を前に、今日は参加するイングレア王立学園、フェイルバート王立学園、ノズワール帝立学院の3学校+3カ国の王が集まり宴という名の前夜祭が行われるようだ。


 所謂顔見せといったところだろう。


 今回は僕達の国である、イングレア王国での開催ということで前夜祭もイングレア王国の王城にあるパーティー用の大きな部屋を使って行われるようだ。


 今回は大掛かりなパーティーとはいえ、学生が殆どだったのでガルム陛下の計らいで、服装は余程乱れていなければ各自の自由で良いということになった。


 僕は、いつもの冒険者活動で着るようなラフな格好にした。
 どうやら、シルフィもルディも、僕と同じようにラフな格好で行くつもりのようだ。


 因みに前日にオーグとフィオさんに服装を聞いたら、2人とも正装すると言っていた。


 やっぱり、貴族は気を使うんだなぁと僕は貴族に生まれなくて良かったと心の中で呟いた。


  (それにしても、周りも学生がほとんどのはずなのに正装なんだね)


 そう、王城に着くといつもの衛兵さんが待っていてくれて、パーティー会場である広間に案内されると僕たち以外はほとんどが正装していたのだ。


 僕達のようなラフな格好をしていたのは、一部の生徒だけだった。


 すると目の前から、オーグとフィオさんがやってきた。


オーグ「おはよう、ユーマ。ルディにシルフィもおはよう」


  「おっす。オーグ」


ルディ「オーグくん、おはよ〜」


シルフィ「おはよ、オーグ」


  「フィオさんもおはようございます」


フィオ「みんなおはよう!服装みんなラフだね笑」


  「そうなんだよ。ガルム陛下が自由にして良いって言ったからこういう格好できたら、殆ど正装しててびっくりしたところだよ」


 先日、5人で武魔法大会への作戦会議と各自課題への練習を終えた際、フィオからタメ口でいいと言われたので今はタメ口で話しているのだ。
 呼び捨てでも良いよと言われたが、それはまだ慣れずにさん付けとなっている。


オーグ「ユーマ、そういえば父上がチーム代表挨拶をお前に任せると言っていたぞ」


  「僕が?っていうか代表挨拶って?」


オーグ「今回の武魔法大会に出場する各学校の代表チームが登壇したら各自の名前が読み上げられるんだが、その後にそのチームを代表してキャプテンというかチームリーダーに軽く挨拶してもらってるんだ。それを今回ユーマに任せようって事だな」


  「分かったよ。考えておく」


 5人で談笑していると、ファンファーレがなり扉からガルム陛下、エーゼロッテ王妃、シャルロッテ王女が登場した。


 皆、片膝をついて最敬礼の姿勢を取っていたので僕達もそれにならって、膝をついた。


ガルム「良い、皆楽にしてくれ」


 ガルム陛下の宣言で、皆んな立ち上がっていた。


 各自がグラスを持ち陛下の次の言葉を待った。


ガルム「今日はよく集まってくれた。明日の武魔法大会に向け、今日は英気を養って欲しい。この場では、皆の顔合わせの意味も込めてあるので、他校の生徒との関わりを持つのも良いだろう。では、乾杯!」


「「「「「乾杯!」」」」」


 陛下の乾杯の合図で、皆が近くにいた者とコップを軽くぶつけ合っていた。


 暫く、ルディ達と話しているとまた司会の人が現れた。


「お待たせを致しました。それではこれより、武魔法大会に出場される3学校の代表メンバーに登壇して頂きます。メンバーの皆様は名を呼ばれたら一歩前に出て頂き一礼をして下さい。そして最後に呼ばれるリーダーの人は、そのメンバーを代表して一言申し上げてください。簡単な流れではありますが、説明を終わります。ここまでで、何かご質問ある方はいませんか?」


 会場にいたみんなが、首を横に振っていた。


「では、まずノズワール帝立学院様のご紹介からさせて頂きます。1人目、ロイズ・フォン・バーバル!」


ロイズ「今紹介してもらったロイズだ。帝国では子爵家の長男だ」


 ロイズ君は、少々威圧気味に周囲を睨みつけた後後ろに下がっていった。


  (下がる前に僕の所を凝視していたのは気のせいかなぁ。一応気を付けておこう)


 僕は、心の中でロイズ君に対する警戒心を高めたのだ。


「2人目、ライラット・フォン・インテグラ!」


ライ「はい!ただ今ご紹介に預かりましたライラット・フォン・イングレラです。友人からはライと呼ばれているので皆さんも遠慮無くライと呼んでくれると嬉しいです。僕の父は帝国で辺境伯の爵位を持っているけど、気にせずに話しかけて来てください」


 ライはとびきりの笑顔で軽く自己紹介をしていた。
 笑顔が似合うイケメンだなぁと思った。


「では3人目、リオ・クリザリス」


リオ「はい、みんな初めまして。私はリオ・クリザリスって言うの!みんなリオって呼んでね」


 リオは可愛らしい笑顔でみんなに挨拶していた。
 可愛い子だなぁと心の中で思った。


「続いて、4人目。フィン・マックーガ」


フィン「はい!みんな初めまして。僕の名前はフィン・マックーガです。リオ達と同じく僕の事もフィンって気さくに呼んでくれると嬉しいです」


 フィンもライと同じように、人に好かれそうな笑顔で挨拶をしていた。
 帝国の学校とはいえ、彼らとリオとは仲良くやれそうだなと心の中で積極的に声かけて行こうと決めた僕だった。


「次が最後ですね。5人目、ザラフ・フォン・エーベルバッハ」


ザラフ「ザラフ・フォン・エーベルバッハだ。呼び方は好きにすると良い。私の父は伯爵の爵位を持っているが、気にせず話しかけて貰えると嬉しい」


  (帝国の学校とは聞いていたけど、生徒はそんなに帝国主義を持っていないのか?)


「では、メンバーを代表してリーダーであるザラフ君に代表挨拶をして頂きます。ザラフ君、よろしくお願いします」


ザラフ「ああ。今年のノズワール帝立学院も最強のメンバーが揃ったと自負している。故に、今年も俺達の優勝は揺るぎないだろう。では、皆が怪我のないように良い試合をしよう」


「ザラフ君、素敵な挨拶をありがとう御座いました。会場の皆さま、今一度彼らに大きな拍手をお送りください」


 拍手を受けながら壇上から降りる際、リーダーであるザラフ君がニヤッと口角を上げたのに気付いた僕は、ロイズ君以上に警戒を強めるのだった。


「では、次の学園の紹介ですね。フェイルバード王立学園の皆さまです。拍手でお出迎えください」


 周囲がまた、拍手の渦に巻き込まれると舞台下右側、つまり僕らの左側にいたグループが立ち上がり壇上へ上がった。


「それでは、武魔法大会に出場されるフェイルバード王立学園の皆さまをご紹介します。1人目、カーラ・フォン・マクウェル」


カーラ「はい!皆さん初めまして、私の名前はカーラ・フォン・マクウェルです。学園では2年Sクラスで、今回のメンバー唯一の2年生です。お父さんは、王国の公爵なんだけど、みんな気にせずカーラって気軽に呼んで欲しいな。よろしくお願いします」


 カーラも人懐っこそうな笑顔をしていた。


「カーラさん、ありがとうございました。続いて2人目、ザップ・リアース」


ザップ「おう!俺の名前はザップ・リアースだ。呼び方は呼びやすいように呼んでくれ。体を見てもらえればわかると思うが、ゴリゴリの近接タイプだ。よろしく」


「ザップ君、ありがとうございました。続いて3人目、ヴィエラ・ポールスカー」


ヴィエラ「はい。私の名前はヴィエラ・ポールスカーと申します。魔法使いですが、剣も少し扱えます。私の事も気軽にヴィエラと呼んで頂ければ嬉しいです」


「ヴィエラさん、ありがとうございました。続いて4人目、フェリア様」


フェリア「はい、皆さま初めましてですわ。私の名前はフェリア・フォン・フェイルバードと申します。お察しの通り、フェイルバード王国の第2王女です。王族ですが、気さくにフェリアと声をかけて頂きたいです。よろしくお願いしますわ」


「フェイル様、ありがとうございました。では続いて5人目、スイウェル・バックーガ」


スイ「はい!皆さん初めまして。僕の名前は、スイウェル・バックーガです。友人からはスイとかスイウェルと呼ばれているので、みんなも気軽にそう呼んで欲しいな。みんな、よろしくね」


 スイも爽やかな笑顔をみんなに向けていて、辺りにいた女性陣から黄色い声援が飛んでいた。


「スイウェル君、ありがとうございました。それでは、選抜メンバーを代表してリーダーであるスイウェル君、よろしくお願いします」


スイ「はい!今年のチームは過去最高と言っていいメンバーが揃いました。なので、今年こそ優勝します。皆さん、怪我には気を付けてフェアプレーで自分の持てる最高のパフォーマンスをしましょう」


「スイウェル君、ありがとうございました。それでは、最後にイングレア王立学園の皆さんに登壇していただきます。では、よろしくお願いします」


 僕達、司会の人に頷くと立ち上がり壇上に上がった。
 その時、ガルム陛下の横にいたシャルと目が合い、手を振られたからみんなにバレないようこっそり振っておいた。


「では、最後にイングレア王立学園の代表メンバーを紹介します。まず1人目、フィオ・ローレンツ」


フィオ「はい!皆さん初めましての方もそうでない方もいらっしゃいますが、私はフィオ・ローレンツです。今回のメンバーの中で、唯一の3年生なのでみんなを引っ張って行けるようなプレーをしたいと思っています。よろしくお願いします」


 フィオが頭を下げると、辺りの生徒や教師たちの間でざわめきが起きた。


スイ「へぇ、フィオが唯一の3年生って事は、他の子達は全員フィオより学年が下ということになるな。しかも、フィオが最初に呼ばれたという事は、リーダーではないのか。これは本番が楽しみだ」


ザラフ「ふん!下級生を武魔法大会に出すとは、試合を放棄しているようにしか見えないな。今年も帝国の優勝は確実か」


「皆さま、静粛にお願いします。では2人目、アウグスト殿下」


オーグ「皆も知っていると思うが、この国の第2王子のアウグスト・テラ・イングレアだ。フェイルバード王国の第2王女であるフェリア嬢と同じく、王族ではあるが、気にせずオーグと気軽に呼んで欲しい。よろしく頼む」


 オーグは一礼すると、スッと後ろに下がった。


「では3人目、シルフィ・ホーンベルク」


シルフィ「はい!皆さま、初めまして。イングレア王立学園1年Sクラスのシルフィ・ホーンベルクです。見ての通り、狐の獣人で白狐です。オーグとは、クラスメイトで、仲良くして貰ってます。よろしくお願いします」


 シルフィが頭を下げると、数拍遅れて獣耳がピョコンっと揺れた。


「あのシルフィって子と隣にいる女の子、すげぇ可愛いな」


「ああ、この代表挨拶が終わったら、声掛けてみようぜ」


 何やら、聞きたくない言葉が聞こえてきたが、今は代表挨拶の時だ。
 こっちに集中しよう。


「シルフィさん、ありがとうございました。では4人目、ルディ・リザベート」


ルディ「はい!私の名前は、ルディ・リザベートです。私の両親は、みんなも知ってると思いますが、あの紅銀の大地のメンバーであるユリウスとエイナです。両親から修行を受けた私は、誰にも負けるつもりはありません。本番もよろしくお願いしますね」


 ルディはいつもとは違って、やる気に満ち溢れていた。


「ルディさん、ありがとうございました。では5人目、ユーマ・シンフィールド」


  「はい!皆さん初めまして。僕の名前は、ユーマ・シンフィールドです。僕の両親もルディと同じく、紅銀の大地のメンバーであるブライトとサリーです。両親から修行を受けた僕とルディ、そしてその隣にいるシルフィは、今回の武魔法大会でイングレア王立学園を絶対に優勝に導きます。それと、僕の横にいるルディとシルフィは僕の大切な婚約者なので、もし手を出す人がいたら、どうなるか責任は負えないので気を付けてくださいね」


 そう言うと、僕はルディ達を狙おうとしていた子達の方を向き、少し殺気を飛ばした。


「ユーマ君、ありがとうございました。それではこれで、代表挨拶を終わらさせていただきます。それでは、パーティーの続きをお楽しみくださいませ」


 司会の人が、捌けていくのを確認すると、また辺りが活気付いたように話し合いが繰り広げられていた。


オーグ「ユーマ、中々良かったぞ?」


フィオ「かっこよかったよ、ユーマ君」


 フィオの言葉に、ルディとシルフィも頷いていた。


  「みんな、ありがとう。緊張したけど、噛まずに言えて良かったよ」


 その後も、他校の生徒と話したり、陛下のところに挨拶に行くとシャルが僕の手を取って、挨拶を絶賛してくれていたのは、余談だ。


 明日は、昼から団体戦の抽選会がある。
 そして、明後日からいよいよ武魔法大会の本番だ。


 絶対優勝してやる。クーデターなんて起こさせてたまるかと心に強く誓った僕だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 その一方、ここはイングレア王国王都にあるとある路地裏に2人の人影が現れた。


リース「いよいよね。ここの王都を落とせれば、魔王様もお喜びになられるだろう。ああ、早く人を殺して、この国を消したい!」


ザドキアル「まあ、少し待て!リース。物事には、順序と相応の準備が必要だ。そう焦らずとも、あと数日後には、実行に移せるんだ」


リース「誰に命令してるのかしら?ザドキアル?」


ザドキアル「命令じゃないさ。ただ機会を待てと言っているだけだ」


リース「やっぱり、あんたとじゃあ相性が悪いわね。でも、仕事のパートナーとしては、最高よ」


ザドキアル「ああ、俺も同じ事を考えていたさ」


 この2つの人影の正体は、魔族である。


 後にこの2人の魔族を起点に、イングレア王国最大の厄災が降りかかろうとしている事は、今のユーマ達は知る由もなかった。

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