〜異世界で契約した従魔がEXランクの魔物達でした〜

ノベルバユーザー327690

第32話〜スタンピード③ sideルディ〜

第2章 イングレア王立学園編
第32話〜スタンピード③ sideルディ〜
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 ユーマ君やシルフィと別れた私は、クリスに乗って空を旋回していた。


  「私達なら、Aランク帯の魔物ぐらいなら倒せると思うけど、無茶するとユーマ君に怒られちゃうからね。そこそこのやつを探さないと」


クリス「グルゥ」


 暫く、空から魔物を探していると一際大きな魔物が視界に入った。


  (あれはキングオーガね。周りには従えているオーガもいるみたいだし、ここで倒さなきゃ被害が大きくなりそうね)


  「クリス、このまま空中で戦おう。風の竜巻を出してくれる?いきなり合体技で行くわよ」


クリス「グルゥ!」


  「行くわよ。〈我が手に来れ、火の魔力よ 集まり火の槍となれ!火槍ファイアランス〉!」


クリス「グルゥ」


 私は、自身のファイアランスとクリスの風属性の竜巻を合わせて1つの大きな魔法としてキングオーガに向けて放った。


 煙が晴れると、キングオーガは毅然として立っていたが、周りにいたオーガ達は纏めて亡骸になっていた。


 私はクリスから降りると、2本の剣を抜いた。


 クリスは私を下ろした後、また空へ上がった。
 実は降りる時に、魔法での援護をお願いしていたのだ。


  「さて、私とクリスの合体魔法を食らっても立っていられるほど硬いあなただけど私の剣は通用するのかしら?」


  〈エンチャント付与!強靭剣〉


 付与魔法で、剣にエンシェントをした途端、2本の剣が光だしたのだ。


 実は、ユーマ君達と修行をしている間に、教えてもらったのがこのエンチャント付与なのです。
 今はまだ1つしか付けれないけど、今を凌ぐぐらいなら出来る。


 私は2本の剣をキングオーガに向けて振り下ろしたが、ギリギリのところで持っていた棍棒のような太い武器で受け止められてしまった。


  (身体強化も掛けてるから何とかなってるけど、切れたら吹っ飛ばされるなぁ)


 これからどうしようかと考えていたが、急な雄叫びが聞こえて来て、私は現実世界に思考を戻された。


???「うおおおおおおっ!」


  (何⁉︎)


 次に見た時には、キングオーガは少し後ろに吹き飛んでいた。


???「嬢ちゃん、大丈夫か?」


  「ええ、大丈夫です。攻撃したのは良いんですけど吹き飛ばないように耐えてるのが精一杯だったので助かりました。ええと、お名前を伺っても良いですか?」


???「ああ。俺はAランク冒険者パーティー、夜風の丘のリーダーをしているガリウスだ。そしてこいつが俺の従魔であるキングウルフのウーラだ。よろしくな」


 ガリウスさんは、とても体が大きくて重そうな大剣を持っていた。


  「私はEランク冒険者パーティー、蒼銀の双翼のルディです。この子は私の従魔でグリフォンのクリスです」


クリス「グルゥ」


 クリスとウーラはお互い頭を付けて挨拶をしていた。


ガリウス「Eランクの冒険者なら王都に残って、街の人の避難誘導や、救助メインじゃなかったか?何でこんな戦場の最前線にいるんだ?」


  「少し待っててください。聞いてみるので」


ガリウス「聞くって誰にだ?


  「うちのパーティーリーダーです」


 そういうと、ユーマ君に念話を飛ばした。


  【ユーマ君、聞こえる?ルディだよ】


ユーマ【ルディ?聞こえるよ。どうしたの?】


  【今、Aランク冒険者パーティーの夜風の丘のガリウスさんにEランク冒険者の私達がなぜ戦場の最前線にいるのかって聞かれてるんだけど、どう答えたら良い?】


ユーマ【それなら陛下に依頼された事と僕達の両親の名前を出して良いよ。それなら満足すると思う】


  【分かった、ありがとうね】


 そういうと、ユーマ君と念和を切り、ガリウスさんの方を向いた。


  「私達が最前線にいるのは、ある方からの依頼を直接受けたからなんです」


ガリウス「それは言える人なのか?」


  「はい。私たちに直接依頼して来た人物は、この国の王様であるガルム国王陛下です」


ガリウス「何⁉︎お前達は陛下と知り合いなのか?」


  「まあ、私たちもですけど私たちの親が陛下と仲良くて、そこから私達も知り合いになった感じですね」


ガリウス「お前達の親というのは誰なんだ?」


  「Sランク冒険者パーティーの紅銀の大地が私達の両親です」


ガリウス「紅銀の大地さんの子供たちなのか⁉︎じゃあ強いわけだな」


  「5歳の頃から、私もリーダーのユーマ君も両親に鍛えられましたからね」


 この2人が会話を出来ているのはお互いの従魔であるグリフォンとキングウルフが威嚇して牽制をしているからである。


ガリウス「そろそろおしゃべりもやめて、キングオーガを倒すか。嬢ちゃんは剣と魔法、どっちが得意だ?」


  「どっちも出来ますけど、剣の方が出来ます。ガリウスさんはその大剣ですよね?」


ガリウス「ああ、この大剣と肉体が俺の武器だ」


  「では、ガリウスさんとウーラは接近戦で削ってください。タイミングを見て私とクリスで魔法をぶっ放します」


ガリウス「分かった!ウーラ、行くぞ」


 ガリウスさんはウーラと一緒に、キングオーガに向けて走っていった。


 私とクリスは1発で決めるため、かなりの量の魔力を込めた。


  「ガリウスさん、ウーラもう下がって良いよ!」


ガリウス「おう!」


ウーラ「ウォン!」


 私は最近習得した炎属性の超級魔法を、クリスはさっきよりも大きな竜巻を起こしていた。


  〈焔の御志よ、災いを灰塵と化せ !炎撃エクスプロージョン!〉


 エクスプロージョンは炎属性の超級魔法で、広範囲に爆発を起こす技である。
 ルディは魔力をコントロールして爆発範囲を円形に広範囲ではなく、前方向に高威力の爆発を起こすなど魔法の指向性を持たせることに成功していたのだ。


ガリウス「なんだこの威力は⁉︎」


 「グオオオっ!」


 炎撃エクスプロージョンと風属性の竜巻を同時に食らったことで流石に耐え切れなかったのか、キングオーガは断末魔をあげて倒れた。
 魔力反応がなかったことから、絶命したことがわかった。


  「私でも、キングオーガを倒せるんだ。ガリウスさんがヘイトを誘導してくれてたおかげです。ありがとうございました」


ガリウス「いや、ルディの魔法の威力が高かったおかげだろう」


 私はガリウスさんと別れた後、念話でユーマ君を呼んでアイテムボックスにキングオーガとオーガの群れの亡骸を入れてもらった。


 その時、ユーマ君は私がキングオーガと配下だったオーガを倒したと聞いてびっくりしていた。

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